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2023年4月からのワクチンスケジュール

2023年4月から、お子さんのワクチンスケジュールについて、いくつか変更がありました。

1.四種混合ワクチンの接種開始生後3カ月→生後2カ月
これまで生後3カ月の接種開始だった四種混合ワクチンが、2カ月での接種開始となりました。
これは四種混合ワクチンで予防できる病気(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)のうち、百日咳について、ワクチン未接種の場合、重症化し死亡するケースがあるのではないかという疑いがあったため、接種の時期を早めたという経緯です。

2カ月から接種できるほかのワクチン「ヒブ」・「小児用肺炎球菌」・「ロタ」・「B型肝炎」と合わせ、5つのワクチンを同時接種するのがおすすめです。はらこどもクリニックでワクチンデビューするほとんどのお子さんが、同時接種を選択しています。
ロタワクチンは飲むタイプのワクチンなので、左右の上腕に2本ずつという形になります。

2.HPVワクチン4価→9価へ
4月からこれまで4価だったHPVワクチンが9価ワクチンへ変更となります。4価は3回接種でしたが、9価は15歳未満は2回接種、15歳以上は3回接種となります。HPVワクチンは全額助成が出る定期接種になりますので、接種対象年齢(小学校6年生~高校1年生に相当する女子)の方は、自己負担なしでの接種になります。

また本来接種するはずだった時期に、国が積極的な勧奨を控えており、接種することができなかった世代の方(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)についても、公費負担でキャッチアップ接種が可能です。こちらも9価での接種が可能ですので、是非接種をお願いします。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

原朋邦院長の著書が出版されます

原朋邦院長の著書「小児科一筋60年の医師が説く 子育て5つのカギ」が、幻冬舎より4月28日に出版されます。

子育ての不安や悩みを解消し、親としてどうあるべきかがわかる。子育てに自信が持てない親御さんへ送る育児書になります。

Amazonのページで、概要が確認できますので、ご興味のある方は是非ご覧ください!

「小児科一筋60年の医師が説く 子育て5つのカギ」
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アレルゲンとなりやすいものをいつ頃から食べさせるべきか

かつての食物アレルギーに対する考え方では、卵、牛乳、蕎麦などアレルゲンとなりやすい食物は、なるべく食べ始めの年齢を遅くした方がよいというものでした。しかし、現在ではこの考え方は否定されています。

離乳食が始まる4ヵ月後半から5ヵ月頃から、少しずつ試しながら食べさせても全く問題はありません。消化という意味では、ある程度柔らかくすることと量をあげすぎなければ大丈夫です。

ただしピーナッツなどの豆類は、かたまりが間違って気管支に入ると危険です。実際、乳幼児が豆類を詰まらせてしまうケースは少なくありません。そういう意味では、最初はピーナッツそのものよりもピーナッツバターやピーナッツクリームの方が良いかもしれません。

食物アレルギーは、アレルゲンを経皮で吸収すると発症しやすいことが分かっています。(蕎麦を手打ちする蕎麦屋さんが、蕎麦アレルギーになってしまうのは、これが理由です。)

そのため、肌のバリア機能が弱っているアトピー性皮膚炎のお子さんは、食物アレルギーを発症することが多いです。

アトピー性皮膚炎のお子さんについては、スキンケアをきちんと行い、医師のアドバイスを仰いでください。

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子どもにサプリは必要?

現在日本では、大人用だけではなく子供向けのサプリもとてもたくさん出ています。

では、子どもにサプリが必要なのかというと…必要な場合もあれば、不要な場合もあり、どちらとも言えます。

例えば、サプリでよく見かける「鉄分」を見てみましょう。

実は母乳には鉄分が余り多く含まれているわけではありません母乳育児では、乳児期後期に鉄欠乏になりやすいことが知られています。

実際、沖縄の乳幼児健診では、10~20%程度貧血の子どもが見つかるというデータもあります。この場合には、鉄分を補うサプリメントは有効ということになります。

次にやはり子供向けサプリの代表格「カルシウム」です。今の日本では給食に牛乳が出ますし、ご家庭の食卓にも牛乳や乳製品が並ぶのが日常です。そのため、基本的には成長にマイナスを及ぼすほどカルシウムが不足するというのは考えにくいです。

ただし、カルシウムは吸収率が非常に悪いことで知られています。それを助け、吸収率を上げてくれるのがビタミンDです。

ビタミンDは日光に当たることで体内で生成されます。そのため冬場、日照時間が少ない北国では、ビタミンDが不足してしまうということが日本でもありました。

また日本の成人女性はビタミンDの摂取量が足りていないと言われています。その場合には、カルシウムではなく、ビタミンDをサプリで補ってあげることは有効です。(ちなみにビタミンDはしいたけなどのキノコ類に多く含まれています。特に干ししいたけは、ビタミンDが豊富です。特に女性は、普段から積極的にキノコ類を摂れるとよいですね。)

また今ではワクチン接種が進んでいるため、子どもが感染することはほとんどありませんが、はしかはビタミンAが足りていないと重症化します。そのため、かつてはビタミンAのシロップを子どもに飲ませていたということもありました。

ビタミンA、Dは脂溶性のため、過剰摂取をすると身体に害があります。またカルシウムや鉄分も摂りすぎは良くありません。しかし、過剰にならなければ問題なく、定められた使用量を守っていれば悪いことはありません。

子供向けサプリには絶大な効果がある…とは言えませんが、摂取することに問題はありません。

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新型コロナウイルスの治療薬の現状【内科】

新型コロナウイルスが5類に変更されるまで、あと1ヵ月程度となりました。マスクについても個人の判断ということになり、徐々に日常をコロナ前に戻していくという流れが強くなっています。
その中で新型コロナの治療薬についての現状をご紹介してみたいと思います。

現在日本でスタンダードに使われているのが「ラゲブリオ」と「パキロビッド」の2つです。

どちらもウイルスの増殖を抑える経口薬で、原則成人(妊婦さんを除く)かつ、高齢者や内臓疾患など重症化リスク因子をもつ、軽症~中等症の患者さんが対象です。

どちらも重症化リスクを下げる効果が認められていますが、ラゲブリオはそれほど大きな効果はなく、パキロビッドの方が、効果は高いと言われています。ただしパキロビッドは、他の薬との併用禁忌が多く、慢性的な疾患を抱え服薬している場合には使用できないケースもあります。

また塩野義製薬のゾコーバも認可されましたが、こちらは重症化リスクを下げる効果は認められておらず、発症日数を1日減らすという程度の効果しかない(むしろそれすらも怪しい)薬なので、はらこどもクリニックでは、積極的に使用することはありません。

どの薬もかなり高価なため、5類変更で保険治療になった場合、3割負担でも薬代はかなり高額になります。特にゾコーバとパキロビッドは高いので、どうなっていくのか読めない状況です。

またどの薬も12歳以下には治験が行われておらず、使用することはできません。(12歳以下には唯一レムデシベルが使用できますが、主に重症患者向けの点滴薬のため、クリニックでの使用は現実的ではありません。)

総じて「治療」という意味では、ゲームチェンジャー的な薬は残念ながらまだありません。ワクチンを定期的に接種しつつ、できる範囲で、感染予防対策を続けていただければと思います。

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発熱した時、家庭でできる処置【内科・小児科】

新型コロナの流行で、発熱しても場合によっては医療機関ですぐに診察してもらえないような状況も出ています。そこで、発熱した時、家庭でできる処置について少し書いてみたいと思います。

まず熱があっても冷やすのはNGです。熱が出ている時の人間の身体の反応を見てみましょう。

ウイルスや細菌などの異物が体内に入ると、その反応として身体はサイトカインを出します。サイトカインは脳の体温中枢に作用し、体温のセットポイントを上げます。平熱が37℃であれば39℃になるように温度設定を上げるイメージですね。そうすると、身体はその体温になるように働きます。例えば、身体を震わせて体温を上げるといった働きです。

なぜこのような働きになるかというと、基本的にウイルスやバクテリアなどは、温度が高い方が増殖しにくい、かつ体温を上げることで免疫の働きが高くなるからだと言われています。体温を高く保っておいた方が、体の中に入った異物を退治しやすいのです。

このように脳と身体が体温をあげようとしている時に体を冷やせば、身体はさらに熱を出す方に働くので、逆効果になります。

熱が高くなってつらい場合は、身体を冷やすのではなく解熱剤を使いましょう。解熱剤は脳に作用し、体温のセットポイント自体を下げる効果があります。セットポイントが下がれば、体温を上げようとする働きは弱くなるので、熱が下がるという仕組みです。

さらにサイトカインは最低2つの働きを持っており、発熱サイトカインは免疫を高める効果も持っています。解熱剤は、体温を下げる働きをしても、免疫を抑える効果はないので、解熱剤を使用しても問題ないのです。

また体温が1℃上がるだけでカロリー消費は約12%大きくなると言われています。また汗をかくことで水分が失われるので、発熱時にはしっかりとカロリーと水分を摂るようにしてください。汗をかいたら衣類を着替えるのも大切です。

ちなみに風邪という身近で不思議な病気について書かれた「かぜの科学」という本があります。風邪について勉強になるだけではなく、雑学的な読み物としてもとても面白いので、興味のある方は是非読んでみてください。

「かぜの科学」:https://amzn.to/3k2ozj6

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HPV9価ワクチンについて【小児科】

3月4日は、国際HPV啓発デーです。

HPVとはヒトパピローマウイルスの略です。HPVは主に性接触によって感染が広がり、感染するとイボのような腫瘍ができます。中でも子宮頸部に腫瘍ができやすく、それが悪性になると子宮頸がんになります。子宮頸がんのほとんどは、HPV感染によるものだと考えられています。

ワクチン接種によって、そのリスクを大幅に軽減することができるのですが、日本では定期接種にもかかわらず、長い間、積極的勧奨が控えられていたため、接種率が非常に低く、子宮頸がんで亡くなる女性は年間約3000人にのぼると言われています。

HPVには型が15タイプあり、ワクチンはそのうちハイリスクな型をカバーするものです。これまでの2価、4価のワクチンで60~70%程度をカバーできていましたが、9価ワクチンによってさらにカバーできる型が増えました。

9価ワクチンは既に世界ではスタンダードで、日本では導入が非常に遅れてしまっています。

今後は定期接種において9価ワクチンが選択できるようになります。定期接種のため、対象年齢の女子(小学校6年~高校1年相当の女子)については、接種費用が全額公費負担となります。

また上にも書いた積極的勧奨が控えられていた時期に対象年齢だったため、接種を受けられていない方については、キャッチアップ接種が実施される予定です。市町村によって公費助成の制度が異なる可能性がありますので、お住いの自治体のWEBサイトなどで確認してみてください。

またHPVワクチンは、本来、女性だけではなく男性も接種するべきワクチンです。男性が接種しておけば、将来的にパートナーとなる女性のリスクを減らすことができますし、男性自身もHPVによる病気を防ぐことができるからです。

陰茎にイボができたり、オーラルセックスによって喉に影響が出る場合もあります。悪性の場合は、陰茎がん、肛門がん、喉頭がんなどのがんになる場合もあるのです。

男性も定期接種の対象になっている国は数多く、オーストラリアでは子宮頸がんは希少がんと同等の数に減ってきており、2028年頃には、子宮頸がんという病気自体がゼロになるのではないかと予想されています。

ちなみに日本では、このペースでいくと子宮頸がんの撲滅は2260年頃になると推定されています。今後は男子への定期接種かも実現してもらいたいと強く願います。

子宮頸がんはワクチンで防ぐことのできる数少ないがんです。定期接種の対象年齢、そしてキャッチアップ世代で接種をしていない方、ご自身の命を守るために、是非接種をしていただきたいと思います。

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子どものしもやけ【小児科】

1月の終わりには10年に一度の大寒波も到来し、今年はなかなか厳しい冬が続いています。昔に比べると暖房や防寒服が良くなったため、絶対数は減りはしましたが、この季節、お子さんがしもやけになることも少なくないでしょう。

しもやけとは低温により血流が悪くなる循環障害です。指の先が腫れたり紫色に変色したりします。またその状態で温まって急に血流が良くなると、組織が壊れ、強いかゆみが出ます。

子どもは身体が小さいため、寒さの影響を受けやすくしもやけになりやすいです。しかしながら、手袋や靴下が嫌いな子も多く、床が冷たくても靴下を履かなかったり、自転車に乗る時に手袋をつけなかったりで、しもやけになりやすい手足の末端を守れないことも多いです。

また冬でも水遊びをしたり、手を洗ってもきちんと拭かなかったりと、手足を濡れたままにしておくのも、しもやけになりやすい原因のひとつです。

しもやけを防ぐには、手足の血行を良くすればよいので、当たり前のことですが、なるべく冷やさないようにすることが大切です。また手足が冷たくなったらマッサージをするとか、外から帰ってきたら、すぐ手足をお湯につけるというのも有効です。

しもやけになってしまった場合には、ヒルロイドなどヘパリン類似物を患部に塗るのが有効です。ヘパリン類似物質は血管を拡張し、血の巡りをよくする効果があります。お風呂上りや、学校へ行く前など、1日に数回、マッサージをしながら塗り込んであげましょう。

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冬の子どもの発熱【小児科】

現在、新型コロナの流行により、お子さんが発熱した時、必ずしもすべての医療機関で診察できる状態ではなくなっており、親御さんとしてはどうしたら良いのかが分からないということを耳にします。

まず、医療機関では感染発熱患者さんと一般の患者さんを、分けてゾーニングする設備が必要なので、医療機関によっては、発熱患者さんを診られない場合もあります。かかりつけ医が発熱外来に対応しているかどうか、事前に確認しておくことが大切です。

そのうえで、もしかかりつけ医が発熱外来をやっていなかった場合、対応してくれる医療機関を探しておきましょう。

発熱した場合、患者さんとしては、一刻でも早く検査をして欲しいという気持ちになるかもしれません。自分はともかく、お子さんの場合は、特に心配になる気持ちはよく理解できます。

しかし、検査に関していうと、発熱してすぐは体内のウイルス量がそれほど増えていないことが多いため、検査をしても確度が低く、診断がつきにくいという事実があります。発熱に関しては、早期診断がメリットにならない場合があります。

発熱といっても症状は様々です。例えば子どもの場合ですと、割と熱が高めでも、本人が元気に走り回っているようなケースも少なくありません。その場合、寒いなか病院に行っても、逆に症状を悪化させてしまう可能性や、上記にも書いたように有効な診断がつかないことも多いので、無理をして病院に行かず、様子を見ていいでしょう。

悪寒戦慄=寒がりガタガタ震えるような症状が長時間続くような場合は、ウイルス以外の発熱のパターンであることが多いです。

また、けいれんしたり、ぐったりして全身状態が悪いような場合には、医療機関を受診するようにしてください。

現在新型コロナの感染症分類を2類→5類に変更する方向で進んでいるようなので、それによってもまた状況が変わってくることが予想されます。実際に5類になった場合、どのような違いが出てくるのかなども、引き続き発信していきたいと思います。

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市販薬は長期間飲み続けても大丈夫なのか?【内科・小児科】

医療機関にかかる時間などが無い時や、ちょっとした症状が出た時に便利なのが薬局で買える市販薬です。そんな市販薬を常備薬として、長期間飲み続けても大丈夫なのか?という質問を患者さんからいただきました。

昔からあるような市販薬に関しては、基本的に誰が飲んでも副作用が出ないようなレベルの安全性で作られているため、飲み続けても問題はありません。逆に言えば、有効成分が処方薬に比べるとかなり少なめになっているため、効果の程は…ということになります。

ただし特に風邪薬は、小さいお子さんには飲ませない方が良いでしょう。市販の風邪薬には、第一世代の抗ヒスタミン剤(脳に入り作用する)や、咳止めの成分が入っています。症状が良くなる程は有効成分が入っていないことが多いですが、逆に悪い方には効果が出てしまう可能性があります。

薬局で買えるような医薬品は、O T C(Over The Counter)医薬品(=カウンターで気軽に買える医薬品のこと)と言われています。原則的に2歳未満には、市販薬は推奨されていません。イギリス、フランスについては6歳未満、アメリカでは2歳未満の小さいお子さんについては、市販の風邪薬は売らないという指針になっています。

解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)は市販薬でもきちんとした量を服用すれば効果はあります。アセトアミノフェンは非常に安全性が高いので、こちらはお子さんに飲ませても問題ありません。

最近認可されている薬については、処方薬に成分が近いものもあります。花粉症の時期の抗ヒスタミン剤などがこれに当たります。これらの薬については、合う合わないもありますので、副作用や効果を確かめてから使用する薬を決めると良いでしょう。

また第一種医薬品にあたるロキソニンや、胃酸を抑える効果があるガスター10などは、薬剤師の指導の元での販売となりますので、服用には注意が必要です。

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