月別アーカイブ: 2023年1月

冬の子どもの発熱【小児科】

現在、新型コロナの流行により、お子さんが発熱した時、必ずしもすべての医療機関で診察できる状態ではなくなっており、親御さんとしてはどうしたら良いのかが分からないということを耳にします。

まず、医療機関では感染発熱患者さんと一般の患者さんを、分けてゾーニングする設備が必要なので、医療機関によっては、発熱患者さんを診られない場合もあります。かかりつけ医が発熱外来に対応しているかどうか、事前に確認しておくことが大切です。

そのうえで、もしかかりつけ医が発熱外来をやっていなかった場合、対応してくれる医療機関を探しておきましょう。

発熱した場合、患者さんとしては、一刻でも早く検査をして欲しいという気持ちになるかもしれません。自分はともかく、お子さんの場合は、特に心配になる気持ちはよく理解できます。

しかし、検査に関していうと、発熱してすぐは体内のウイルス量がそれほど増えていないことが多いため、検査をしても確度が低く、診断がつきにくいという事実があります。発熱に関しては、早期診断がメリットにならない場合があります。

発熱といっても症状は様々です。例えば子どもの場合ですと、割と熱が高めでも、本人が元気に走り回っているようなケースも少なくありません。その場合、寒いなか病院に行っても、逆に症状を悪化させてしまう可能性や、上記にも書いたように有効な診断がつかないことも多いので、無理をして病院に行かず、様子を見ていいでしょう。

悪寒戦慄=寒がりガタガタ震えるような症状が長時間続くような場合は、ウイルス以外の発熱のパターンであることが多いです。

また、けいれんしたり、ぐったりして全身状態が悪いような場合には、医療機関を受診するようにしてください。

現在新型コロナの感染症分類を2類→5類に変更する方向で進んでいるようなので、それによってもまた状況が変わってくることが予想されます。実際に5類になった場合、どのような違いが出てくるのかなども、引き続き発信していきたいと思います。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

市販薬は長期間飲み続けても大丈夫なのか?【内科・小児科】

医療機関にかかる時間などが無い時や、ちょっとした症状が出た時に便利なのが薬局で買える市販薬です。そんな市販薬を常備薬として、長期間飲み続けても大丈夫なのか?という質問を患者さんからいただきました。

昔からあるような市販薬に関しては、基本的に誰が飲んでも副作用が出ないようなレベルの安全性で作られているため、飲み続けても問題はありません。逆に言えば、有効成分が処方薬に比べるとかなり少なめになっているため、効果の程は…ということになります。

ただし特に風邪薬は、小さいお子さんには飲ませない方が良いでしょう。市販の風邪薬には、第一世代の抗ヒスタミン剤(脳に入り作用する)や、咳止めの成分が入っています。症状が良くなる程は有効成分が入っていないことが多いですが、逆に悪い方には効果が出てしまう可能性があります。

薬局で買えるような医薬品は、O T C(Over The Counter)医薬品(=カウンターで気軽に買える医薬品のこと)と言われています。原則的に2歳未満には、市販薬は推奨されていません。イギリス、フランスについては6歳未満、アメリカでは2歳未満の小さいお子さんについては、市販の風邪薬は売らないという指針になっています。

解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)は市販薬でもきちんとした量を服用すれば効果はあります。アセトアミノフェンは非常に安全性が高いので、こちらはお子さんに飲ませても問題ありません。

最近認可されている薬については、処方薬に成分が近いものもあります。花粉症の時期の抗ヒスタミン剤などがこれに当たります。これらの薬については、合う合わないもありますので、副作用や効果を確かめてから使用する薬を決めると良いでしょう。

また第一種医薬品にあたるロキソニンや、胃酸を抑える効果があるガスター10などは、薬剤師の指導の元での販売となりますので、服用には注意が必要です。

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新型コロナ感染症治療薬「ゾコーバ」に関する見解【内科】

国産の新型コロナ感染症治療薬として承認された「ゾコーバ」についての見解を書いていきたいと思います。

ゾコーバはウイルスの増殖を抑える薬です。高齢者や基礎疾患をお持ちの方などを除外した重症化しない患者さんが対象となる薬です。小さい子どもへの治験は行われていないため、12歳未満への処方はできません。また催奇形性があることから、妊婦さんへの処方はできません。

では、効果のほどはどのくらいかということになりますが、承認薬ということで様々なデータが公開されています。最初の治験では、新型コロナの症状20項目について、プラセボ(偽薬)と有為差が無いという結果が出てダメになりました。

今回は改めて症状5項目についての治験を行った結果、8日続く症状が7日に短縮されたという結果になりました。さらにこの治験では解熱剤を併用しているため、残念ながら、実際にはほとんど効果は無い可能性が高いでしょう。

ウイルスの増殖を抑えるタイプの薬は、ウイルスが増える前に服用しなければあまり意味がありません。症状が出るか出ていないかくらいのごく初期に服用すれば効くのかもしれませんが、新型コロナの検査自体が、ある程度ウイルスが増えてからではないと正確な判断が出せないため、ここに矛盾が生じてしまいます。

またもうひとつの問題としては薬価がかなり高いということがあります。新型コロナが2類扱いとされている現状では、治療にかかる費用は全て公費になります。しかし、仮に2類→5類に変更されると、患者さん3割負担となります。

先日ゾコーバを処方できる医療機関が拡大される方向となったため、取り扱う医療機関は多くなると思われますし、患者さんからの要望は増えることが予想されます。

はらこどもクリニックでは、もし患者さんから強い希望があった場合には処方いたしますが、積極的にはおすすめはいたしません。

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アトピー 冬の入浴と入浴後の保湿について【内科・小児科】

今シーズンは寒波が定期的に襲来するとのことで、寒い日が多くなりそうです。寒くなるとやはり湯船に浸かって体を温めたくなります。

アトピー性皮膚炎の場合、温まり過ぎると身体がかゆくなってしまうので、入浴についても少々気を付けて入る方が良いでしょう。

まず皮膚の問題に限らず、お風呂の温度は高すぎない方が良いです。ぬるめでゆっくりと入るのが良いですね。ただし、子どものように体が小さい場合には、体が温まるのが早いので、湯船に浸かるのは3分くらいに留めておくのが良いでしょう。

体を洗う時も、石鹸でゴシゴシ擦るのは良くないので、しっかりと泡立てて優しく洗いましょう。

また入浴後にはしっかりと保湿をしてください。医療機関で処方できる保湿剤は、ワセリン、尿素系の保湿剤、ヘパリン類似物質の3種類に限られます。ワセリンは皮膚を油でコーティングし、水分の蒸発を防ぐという効果がありますが、皮膚の中の方の保湿という意味では効果が薄いと言われています。

尿素は浸透圧によって皮膚に水分を浸透させるという効果があり、保湿という意味では良いのですが、傷があると痛みがあるため、アトピー性皮膚炎の場合、少し辛いかもしれません。

ヘパリン類似物質は血管を拡張する効果があり、水を吸着する物質が含まれるため、保湿の効果が高くなります。

市販の品質のいい保湿剤は、医療系の保湿剤よりも保湿効果が高いものも多いのですが、様々な成分が入っているため、いちがいにどれがいいとは言えません。必ずパッチテストをして、肌に合うかどうかを確かめたうえで、ご自身に合うものを見つけていただければと思います。

ただし、市販に物はいかんせん値段が高く、なかなか継続的にたっぷりと使うのは難しいかもしれません。

そのため現実問題としては、処方されたヘパリン類似物質に頼ることが多くなりそうです。目安として皮膚に塗った後、ティッシュを貼り付けた時に落ちないくらいにたっぷり塗ると良いとされています。多く塗って悪いことは無いのですが、それですと足りなくなってしまう可能性もあります。様子を見ながら適切に保湿をしてください。

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