月別アーカイブ: 2020年9月

2020年 インフルエンザ予防接種についての考え方

はらこどもクリニックでは、10月1日より高齢者の方、それ以外の方については10月26日より、インフルエンザワクチンの接種を開始します。今シーズンは、新型コロナウイルスの影響でインフルエンザワクチンについても例年とは異なる状況になっていますので、はらこどもクリニックの方針を含め、ご案内したいと思います。

●インフルエンザワクチンの供給状況
先日厚労省よりインフルエンザの予防接種についての通達がありました。定期接種となっている65歳以上の高齢者の接種を10/1~10/25までに優先的に行い、続いて10/26から6か月~9歳未満の小児、妊娠中の女性、基礎疾患がある方を優先的に接種するというものです。
新型コロナウイルスの問題はなくても、インフルエンザのハイリスクグループは高齢者です。小児は罹患率こそ高いものの、生命のリスクという意味では低いです。同時感染ということになると、高齢者はさらにリスクが上がるため、そのリスクを下げるためにも、高齢者に接種を促進することは必要であると考えています。

メディアなどでもインフルエンザ予防接種について積極的に報じていることもあり、今シーズンは例年より接種希望者が増えることが予想されています。
対してワクチンの供給数は昨年の1割増に留まっており。約6300万人分となっています。また6300万人分が一気に供給されるわけではないので、特に接種開始当初は供給が安定しない可能性もあります。はらこどもクリニックでは、ワクチン確保量を見ながら接種予約を受けさせていただきます。ご了承いただけますと幸いです。

●インフルエンザと新型コロナウイルスの重複感染
最も避けたいのが、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行です。発病パターン(インフルエンザの場合、発症が早く、症状が急にくる)である程度判断はきくだろうと思いますが、同じ風邪の症状で似ているため、判断がつきにくいのは確かです。

またコロナウイルスとインフルエンザウイルスは同時感染することもあります。実際に中国の武漢では、かなりの数の重複感染が報告されており、特にB型と同時感染した場合に重症化する可能性が指摘されているので、ワクチンで症状を抑えられるインフルエンザの方は、きちんと抑えておくべきでしょう。

●インフルエンザワクチンの接種回数
日本では13歳未満の小児には1シーズンに2回のワクチン接種が推奨されています。一方で世界保健機構(WHO)やアメリカ疾病予防センター(CDC)では、9歳以上は過去に2回以上の接種歴があれば1シーズンに1回接種、2回未満の接種歴であれば、2回接種を推奨しています。

これは1回接種と2回接種で予防効果にそれほど差が見られないことが分かっているからです。日本でも慶応大学小児科の新庄正宜先生がまとめた2019年の論文で20,033例と多くの患者さんを検討しています。この論文によると、生後6か月~6歳の小児については、1回接種と2回接種で予防効果に差が認められませんでした。

以上のことから、はらこどもクリニックでは、3歳以上はWHOやCDCの基準に沿って、接種歴を見て基本1回接種3歳未満は前述の新型コロナウイルスとの重複感染のリスクをできるだけ減らすため、またアジアで発症例の多いインフルエンザ脳症(発症すると致死率も高い重篤な症状です。)のリスクを減らすため、ワクチン供給の状況を見ながら可能であれば2回接種という方針を取らせていただきます。

●インフルエンザワクチン接種の時期について
インフルエンザワクチン接種による抗体持続期間は4~5か月程度と言われています。また最後の方は抗体値が落ちてきます。例年流行のピークが1~3月になるため、余り早めに打ち過ぎてしまうと、2月~3月頃には抗体値が落ちてしまっている可能性があります。
そのため接種時期としては流行が始まる少し前、11月~12月頃に接種するのが理想的です。また今シーズンは、新型コロナの感染予防対策によって、インフルエンザの患者数が例年に比べ激減しています。

例えば沖縄では9月13日までの患者数はわずか7人で、昨年同期の1000分の1とのことです。埼玉県でも今のところ流行は見られません。

3歳未満、また3歳以上でも条件にマッチした方で2回接種の場合は、10月に1回目、できれば4週間開けて2回目というスケジュールになりますが、3歳以上で1回接種の場合は、余り焦って早めに接種する必要はないと考えます。
また、高齢者以外の方の接種については、原則10/26からとさせていただきますが、厚労省の通達は強制ではありません。特別な事情がある限り、25日よりも前の接種を妨げないとありますので、ご相談ください。基礎疾患のある小児の方は、お電話にてご相談ください。

●まとめ
はらこどもクリニックは、予防接種の場合「健康外来(専用入口あり)」での診察となり、発熱患者さんとは隔離された空間での接種となりますので安心してご来院いただけます。ただし、密を避けるという観点から、健康外来の待合室に同時に入っていただける患者さんの数も限られるため、1日の接種数が例年に比べると制限される可能性が高いです。なるべくスムーズな形で進めたいと思いますので、接種をご希望のみなさんにもご協力をお願い致します。

予約受付については、9月27日よりインターネット予約を開始しておりますが、前述の通りワクチンの供給量をみながら予約を受付させていただきます。
またお子さんの場合、定期接種の他のワクチンとの同時接種もできますので、スケジュール的にも同時接種がおすすめです。

新型コロナについてもそうでしたが、メディアはエビデンスのある数字の検証などよりも、センセーショナルに恐怖を煽るような報道を行います。インフルエンザについても、新型コロナとの重複感染などを必要以上に強調するような報道が出るのではないかと危惧しています。
多くの人が我先に接種をとなると、本来接種が必要な方のワクチンが無くなってしまう可能性もあります。このブログを読んでくださっている皆さんには、冷静な判断をしていただきたいと願っています。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
診療時間 午前 8:40〜12:00  午後 15:00〜18:00
受付時間 平日 8:30〜18:00  土曜日 8:30〜12:00
休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)

交差免疫って何?[内科、アレルギー科]

新型コロナウイルス関連のニュースの中に時折出てくる「交差免疫」という言葉、今回はこれについて少しご紹介したいと思います。

人間の免疫系には「交差免疫」もしくは「交差反応」と言われるものがあります。先日、「新型コロナウイルスに対しても、交差免疫がある」という論文が発表されました。これからさらに検証がされていくでしょうが、端的に言うと、過去に感染した旧型のコロナウイルスに対する免疫が、新型コロナウイルスに対しても有効に働くというようなことです。

ウイルスや細菌が体の中に入ると、それが抗原となり抗体ができます。例えば、ある抗原Aのタンパク質と構造的に似たような別の抗原Bがあった場合、Aに対する抗体がBに対しても作用する場合があるのです。

胃腸炎を引き起こすロタウイルスは全部で8種類あると言われていますが、ワクチンは1価、もしくは5価です。しかしワクチンに入っていない型でも交差的に抗体が働くことで、完全に発症を防げないまでも重篤化を防ぐことが出来ます。

これは免疫が良い方に作用した場合ですが、逆もあります。アレルギーにおける交差反応です。このブログでも何度か紹介していますが、一番日本人に身近なのは「スギ花粉」の交差反応です。スギ花粉に対してアレルギーを持っている場合、スギ花粉とタンパク質の構造が似ている「シラカバ」や「ハンノキ」に対してもアレルギーが発症します。さらにそれが「バラ科」の植物に広がってしまうというのが、まさに交差反応なのです。

日本で新型コロナウイルスの重症者が少ない理由は、まだ確定的に分かったわけではありませんが、日本では冬にコロナウイルスが流行するため、春先に新型コロナウイルスが入ってきたとき、免疫が残っていて作用したことが理由なのではないかという説もあります。

ただし新型コロナウイルスに関しては、抗体があることで免疫系が暴走し、症状が重くなる「抗体増強反応」があると言われているため、必ずしも抗体があることが有利に働くかは分かりません。

今世界中でワクチンの開発が進んでいますが、そのワクチンでできる抗体が本当に有効で、抗体増強反応のリスクはないのか、きちんと実証を重ねていかなければならないでしょう。

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はらこどもクリニックには3つの入口があります。

感染症の診察においては、院内感染対策として、予防接種や乳幼児健診と発熱患者さんなどの診療は、空間的に隔離することが効果的です。

はらこどもクリニックでは、患者さんの症状に合わせ、3つの入口、および待合室を空間的に隔離した状態で設置しています。
現在新型コロナウイルスが流行している中で、待合、診察の場所を分けるということは、患者さん、そして院内で働く職員を守るためにとても大切なことです。
今回は改めて、はらこどもクリニックの3つの入口についてご紹介したいと思います。

①一般診療入口
一般患者の方と急患の方専用の入口です。

②健康外来
予防接種や乳幼児健診など、病気にかかっていない健康な方用の入口です。

③感染室入口
発熱をされているなど感染症の疑いが強い患者さん専用の入口です。

これら3つは待合室、診療場所も分かれており、空間的に隔離されています。
またそれぞれの空間で会計からお薬の受け取りまでできますので、最後まで他の待合・診療スペースと重なることはありません。

お電話での予約の際には必ず「発熱の有無」をお伝えください。
ネット予約の場合は必ず発熱があるかどうかの記載をお願い致します。
それによりどの入り口から入っていただくかをご案内させていただきます。

感染待合室については個室が2室のみとなっておりますので、待合室に入れる患者さんの数に限りがあります。また、はらこどもクリニックに到着しましたら、一度お電話にてご連絡ください。
待合室の状況を見て、車の中でお待ちいただくなどの対応を取らせていただくことがございますので、ご了承お願い致します。

新型コロナウイルスやインフルエンザの疑いがある患者さんの場合には、感染室入口から入っていただき、感染室専用の待合室で待っていただくことになりますので、他の患者さんとの空間的な接触はありません。

安心してご来院ください。

院内設備のご案内につきましては、動画でわかりやすくまとめておりますので、そちらをご覧ください。

院内のご案内はこちら:https://hara-kodomo.com/info.html

まだしばらくの間、新型コロナウイルスの影響が続くと思いますが、ご協力をお願い致します。

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HPVワクチンの重要性と安全性 その2[小児科]

前回に引き続きHPVワクチンのお話です。

過去、HPVワクチンが原因とされる失神やけいれんが取り沙汰され、積極的な接種が控えられてしまったわけですが、その後の調査でワクチンに問題はなく、これらの症状はワクチンとの因果関係がないことが分かっています。名古屋で因果関係の有無を調べた大規模な調査(通称:名古屋スタディ)でも、ワクチンを接種した人と接種していない人の間で、有為な差は出ないことが分かっています。

当時はマスメディアが、科学的根拠やエビデンスなしにセンセーショナルに報じたことで、世間に漠然とした恐怖が広がってしまいました。しかし、安全なワクチンをイメージだけで危険ととらえ、実際に死の危険性がある子宮頸がんに罹患してしまっては本末転倒です。

ちなみにHPVワクチンは粘性が強めのため、太い針で接種することが多いワクチンなのです。そのため痛みも強めのため、失神は注射そのものに対するショック反応が大きいことが分かっています。特に接種年齢が思春期真っ只中にあるため、精神的なストレスが身体に及ぼす影響も大きいのでしょう。アメリカではHPVワクチン接種の際に失神するケースがクローズアップされたことがありましたが、日本では件数は少ないです。

このようなことが分かってきていますから、現在では接種の際には心理的な不安やストレスをきちんとケアして接種することが求められています。お子さんだけではなく、親御さんも含め、HPVワクチン接種に不安のある方に対しては、きちんと安全性や効果について説明させていただきます。

HPVワクチンを怖がらず、定期接種の期間内にきちんと接種してください。

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HPVワクチンの重要性と安全性 その1[小児科]

定期接種に指定されているワクチンながらも、厚労省が積極的な推奨をしないという方針を打ち出したため、大きく接種率が下がってしまっているのが「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン」です。

HPVは、子宮頸がんの原因となるウイルスであり、HPVワクチンを接種することで、子宮頸がんのリスクを大幅に下げることが出来ます。子宮頸がんはワクチンで防げる数少ないがんなのです。

日本では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんに罹患し、約3千人が死亡しています。またこれまでは40~50代が罹患のピークだったものが、20~30代の若い女性にも増えてきており、患者数、死亡者数も増加傾向にあります。接種率の低下が、如実に悪い方向へ出てしまっているのです。

HPVは元々人間の体にはいないウイルスで、基本的に性交渉で感染することが多いです。最初の性交渉で感染することがあるため、その前にワクチンを接種しておく必要があります。

現在日本で流通しているワクチンは4価ですが、既に世界の流れは9価ワクチンであり、日本でも先日9価の製造承認が下りていますので、もうしばらくすれば9価ワクチンが出回るのではないかと思っています。

日本では定期接種は女性のみで、12歳から16歳の3月31日までが定期接種の期間に指定されています。もしまだ期間に猶予があるようでしたら、少し待って9価を接種した方が良いかもしれません。

ちなみにアメリカでは、HPVワクチンは女性だけではなく、男性も定期接種になっています。男性も接種しておけば、それだけ女性への感染リスクも下がるわけですから、本来は男性も接種すべきです。そもそもHPVは子宮頸がんの原因となりますが、それ以外の外性器周辺にできる疾患も引き起こします。

代表的なものに「尖圭コンジローマ」がありますし、陰茎がん、オーラルセックスをした場合は、咽頭がんの原因にもなります。

感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、感染してしまった後は取り除くことは難しいため、基本的にはワクチンで予防するしかないウイルスです。(※ただし感染しても自然と体内から排出されることもあるため、必ずしもすべての人に、ウイルスが体内にとどまり続けるわけではありません。)

長くなってしまったのでこのへんで。次回はHPVワクチンの安全性について書いてみたいと思います。

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オンライン診療について

はらこどもクリニックでは8月よりオンライン診療をスタートしました。
オンライン診療システムの「CLINICS」を使った診療になります。
現時点ではオンライン診療については、初診は受け付けておりません。一度来院していただき、オンラインでも問題ないと医師が判断した方のみのご利用とさせていただきます。
当面の間、慢性疾患をお持ちの方、育児や発達についての相談などで活用していければと考えております。

オンライン診療の利用方法
①「CLINICS」のアプリを「App store」もしくは「Googleplay」から、お手持ちのスマートフォンやタブレットにダウンロードしてください。
②アプリをインストールして、事前登録を行ってください。診察料は基本的にクレジットカードでの支払いとなりますので、クレジットカードの登録が必須になります。
③CLINICSアプリより、オンライン診療の予約を取ってください。
※はらこどもクリニックより返信がいきますので、そこで予約成立となります。予約手続きのみでは、予約は成立しておりませんので、ご注意ください。
④予約の時間になりましたらアプリを立ち上げるか、PC上にてCLINICSへログインし、お待ちください。はらこどもクリニックの担当医より呼び出しがありますので、「オンライン診療を開始する」をタップし、接続してください。
⑤医師とビデオ通話が接続され、診療が開始されます。
⑥お薬が必要な場合には、院外処方もしくはレターパックにてご自宅までお届けします。

CLINICSへの登録自体には費用は掛かりません。登録だけはしておくと、何か通院できないといった状況になった時に便利かもしれません。

オンライン診療はとても便利なシステムではありますが、触診が出来ないことや、顔色や皮膚の状態などを目で確認したくても、カメラの性能や照明の環境によって画質が左右されてしまうなど、対面診療には及ばないところも多々あります。

現在はまだ試験的な運用になり、こちらも初めてのことが多くなりますので、トラブルがあるかもしれません。なるべく多くの方に便利に利用していただける運用を目指していきますので、ご協力よろしくお願い致します。

オンライン診療についての詳細
https://hara-kodomo.com/online.html

CLINICSの詳しい使い方については、CLINICSのご利用ガイドをご覧ください。
https://clinics.medley.life/guide

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