月別アーカイブ: 2023年3月

新型コロナウイルスの治療薬の現状【内科】

新型コロナウイルスが5類に変更されるまで、あと1ヵ月程度となりました。マスクについても個人の判断ということになり、徐々に日常をコロナ前に戻していくという流れが強くなっています。
その中で新型コロナの治療薬についての現状をご紹介してみたいと思います。

現在日本でスタンダードに使われているのが「ラゲブリオ」と「パキロビッド」の2つです。

どちらもウイルスの増殖を抑える経口薬で、原則成人(妊婦さんを除く)かつ、高齢者や内臓疾患など重症化リスク因子をもつ、軽症~中等症の患者さんが対象です。

どちらも重症化リスクを下げる効果が認められていますが、ラゲブリオはそれほど大きな効果はなく、パキロビッドの方が、効果は高いと言われています。ただしパキロビッドは、他の薬との併用禁忌が多く、慢性的な疾患を抱え服薬している場合には使用できないケースもあります。

また塩野義製薬のゾコーバも認可されましたが、こちらは重症化リスクを下げる効果は認められておらず、発症日数を1日減らすという程度の効果しかない(むしろそれすらも怪しい)薬なので、はらこどもクリニックでは、積極的に使用することはありません。

どの薬もかなり高価なため、5類変更で保険治療になった場合、3割負担でも薬代はかなり高額になります。特にゾコーバとパキロビッドは高いので、どうなっていくのか読めない状況です。

またどの薬も12歳以下には治験が行われておらず、使用することはできません。(12歳以下には唯一レムデシベルが使用できますが、主に重症患者向けの点滴薬のため、クリニックでの使用は現実的ではありません。)

総じて「治療」という意味では、ゲームチェンジャー的な薬は残念ながらまだありません。ワクチンを定期的に接種しつつ、できる範囲で、感染予防対策を続けていただければと思います。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

新型コロナ2類→5類、何が変わるのか?

今までは2類相当とされていた新型コロナ感染症が、インフルエンザなどと同じ5類相当に変更されそうです。そうなった時、患者さんにとって何が変わるのか? まず、はらこどもクリニックの場合を色々と書いてみたいと思います。

一番大きな違いとしては、診療費用が無料ではなくなります。5類になると健康保険診療の対象になりますので、高校1年生以上は3割負担となります。中学生以下のお子さんについては、助成があるので無料のままです。

また、場合によっては検査をこれまでのように積極的にはできなくなる可能性はあります。保険診療の場合、診察内容にチェックがかかり、制限が出てくる可能性があるからです。
例えば、PCR、抗原検査の両方は通しませんというようなケースは出てくるかもしれません。自治体によってバラつきもあるため、これは実際に運用段階になってみないと分かりません。

はらこどもクリニックでは、きちんとゾ-ニングされた発熱外来もあり、これまでも新型コロナの診察をしてきましたので、それ以外で大きく変わる点は無いかと思われます。

次に、これまで新型コロナを診察してこなかった医療機関の場合です。5類になることで、どこでも診察できるようになると言われていますが、現実にはそうならない可能性が高いでしょう。感染症患者さんをゾーニングして隔離できない医療機関では、既存の患者さんに感染するリスクがある以上は受け入れることは難しいでしょう。

新潟県では、5類移行後の方向性として、「全ての医療機関で新型コロナウイルスへの感染やその疑いを理由に入院・受診を断らない」という方向性が県主導で確認されたようです。
このように行政側が主体的に行動を起こせば変わるかもしれませんが、どこまで強制力を持たせられるのか、もし無理やり診察させてクラスターが発生した場合はどうするのかなど、実際の運用については難しいことも多いと思われます。

またこれまでの2類相当では、発熱外来の診療単価が高く設定されていました。新型コロナ以外の患者さんを診ることがしにくくなる、隔離ゾーン・減圧室・感染を防ぐ防護服などの設備・装備が必要であるなど、他の感染症よりも診察に手間やお金がかかってしまうからです。

今後は診療単価が下がるため、これまで新型コロナを診てきた医療機関の中には、診察をやめるところが出てくるかもしれません。

5類になると感染者や濃厚接触者の隔離はなくなります。これまで厳しく制限してきたものを一気に無くしてしまうのか、条件付きになるのか、国の方向性をみていく必要性があるでしょう。

そしてもうひとつ重要なのが、学校においての扱いです。学校では感染を放置すると流行が広まってしまう可能性がある感染症について、学校感染症として、出席停止の期間を設けています。例えばインフルエンザであれば、発症後5日かつ解熱後2日もしくは3日経過するまでとされています。

感染をある程度おさめつつ、社会を正常化していくには、様々な問題が出てくると思われます。2類、5類という括りにこだわらず、柔軟な対処ができるようになってほしいと願います。

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遅延型アレルギー【アレルギー科】

アレルギーの基本の型のひとつに「遅延型アレルギー」があります。

アレルゲンに対して反応する時間が遅い、アレルゲンと接触してから症状が出るまでのラグが大きいのが特徴です。

遅延型アレルギーを利用した分かりやすい例として、結核の検査に使用されるツベルクリン反応があります。ツベルクリン接種後、24~48時間で反応がピークとなり、接種部分が赤くなったり、硬くなるという皮膚反応が出ます。

テニスのトッププレーヤーであるジョコビッチ選手がグルテンの遅延型アレルギーで、陽性判明後、食生活をグルテンフリーにしたところ競技成績が急激に向上したという話もあります。

遅延型アレルギーは、通常のアレルギー反応の単に反応時間が遅いパターンというわけではありません。アレルギー反応が起こるメカニズム自体が違います。

抗原やアレルギー反応が起こる臓器によって症状は千差万別で、症状も全てが軽いわけでもありません。遅延型アレルギーかどうかの判断は非常に難しく、反応が起きた時に組織を取るなどして、きちんとした検査が必要です。

ちなみに健康診断で調べられる項目の中にIgG抗体があり、この数値によって遅延型アレルギーが測定できると言われていますが、これは世界中のアレルギー学会によって医学的に否定されています。日本アレルギー学会でもIgG抗体を遅延型アレルギーの検査指標として用いることに対して注意喚起を出しています。

今でも「IgG抗体 遅延型アレルギー」で検索をかけると、検査を実施している医療機関が出てきますが、参考にはなりませんので、注意してください。

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発熱した時、家庭でできる処置【内科・小児科】

新型コロナの流行で、発熱しても場合によっては医療機関ですぐに診察してもらえないような状況も出ています。そこで、発熱した時、家庭でできる処置について少し書いてみたいと思います。

まず熱があっても冷やすのはNGです。熱が出ている時の人間の身体の反応を見てみましょう。

ウイルスや細菌などの異物が体内に入ると、その反応として身体はサイトカインを出します。サイトカインは脳の体温中枢に作用し、体温のセットポイントを上げます。平熱が37℃であれば39℃になるように温度設定を上げるイメージですね。そうすると、身体はその体温になるように働きます。例えば、身体を震わせて体温を上げるといった働きです。

なぜこのような働きになるかというと、基本的にウイルスやバクテリアなどは、温度が高い方が増殖しにくい、かつ体温を上げることで免疫の働きが高くなるからだと言われています。体温を高く保っておいた方が、体の中に入った異物を退治しやすいのです。

このように脳と身体が体温をあげようとしている時に体を冷やせば、身体はさらに熱を出す方に働くので、逆効果になります。

熱が高くなってつらい場合は、身体を冷やすのではなく解熱剤を使いましょう。解熱剤は脳に作用し、体温のセットポイント自体を下げる効果があります。セットポイントが下がれば、体温を上げようとする働きは弱くなるので、熱が下がるという仕組みです。

さらにサイトカインは最低2つの働きを持っており、発熱サイトカインは免疫を高める効果も持っています。解熱剤は、体温を下げる働きをしても、免疫を抑える効果はないので、解熱剤を使用しても問題ないのです。

また体温が1℃上がるだけでカロリー消費は約12%大きくなると言われています。また汗をかくことで水分が失われるので、発熱時にはしっかりとカロリーと水分を摂るようにしてください。汗をかいたら衣類を着替えるのも大切です。

ちなみに風邪という身近で不思議な病気について書かれた「かぜの科学」という本があります。風邪について勉強になるだけではなく、雑学的な読み物としてもとても面白いので、興味のある方は是非読んでみてください。

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