月別アーカイブ: 2020年12月

子どもがADHDかも?と思った時は[小児科]

近年子どもの発達障害について取り上げられることが多くなり、一般的にも認知されるようになってきました。発達障害の中でもADHD(注意欠陥・多動性障害)については数も多いことから、かなり浸透している印象です。
逆にテレビやネットで様々な情報があふれており、不安になってしまう親御さんもいるのではないかと思います。今回はお子さんがADHDかも?と思った時にどうすれば良いか、参考になるように書いてみたいと思います。

まずADHDの兆候は早くて1歳数か月には見られるようになります。他の子とは動きが異なり、そこら中を動き回る、走り回るような行動を見せます。集中力で判断しようとしてもこの年代では分かりづらいですが、保育園などに入園すると他の子と行動が違うため、目立つようになります。

4歳、5歳頃になると、動きが活発になるので危険性も高くなります。特徴的なのは回りからのコントロールが効かないことで、それによって保育園では手に負えなくなるケースも出てきます。保育園では年中、年長でADHDの兆候が分かりやすくなることも多いです。

お子さんがADHDかも?となった時、発達障害をきちんと診ている医療機関に相談するという方法もありますが、余り医者に行こうという発想になる親御さんは少ないと思います。大概の方が、まずどこに相談すれば良いか迷ってしまうのではないでしょうか。
まず最初の相談窓口としては自治体があります。各自治体によって名称や体制は様々ですが、発達障害などを支援する部署や機関があります。所沢市の場合、こどもと福祉の未来館内の「こども支援センター 発達支援エリア『マーガレット』」があります。

ちなみに医師が健診や診察の際に様子を見て、ADHDなどの兆候を確認することもありますが、乳幼児健診などですと判断しづらいのが実際のところです。所沢市の場合、5歳児健診がないので、時期的にも難しい状況があります。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

年末年始 休診日のお知らせ(2020年~2021年)

年末年始(2020~2021年)休診日のお知らせです。

12月29日(火)~ 1月3日(日)は、休診とさせて頂きます。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。

なお、所沢地区で年末年始に診療をしている医療機関は「所沢医師会ホームページ」の休日当番医ページにて記載がありますので、万が一診療が必要な場合には参考にしてください。

> 休日急患当番医のご案内(所沢市医師会)

所沢市の小児科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
診療時間 午前 8:40〜12:00  午後 15:00〜18:00
受付時間 平日 8:30〜18:00  土曜日 8:30〜12:00
休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)

インフルエンザの流行状況[内科・小児科]

新型コロナウイルスと共に流行が危惧されたインフルエンザですが、今のところ流行の兆しはありません。11月の感染者数は、去年の0.2%ほどとのことです。秋から冬にかけて流行するインフルエンザ以外の感染症も例年と比べるとかなり少なくなっています。
みなさんが新型コロナ対策として、きちんとした予防行動を続けていることが大きいのだと思われます。

一方でインフルエンザワクチンの予防接種の状況を見てみると、今年は政府や医師会などが積極的にプロモーションした結果、例年は接種しない方たちも接種を受けたりするなどしたため、ワクチンの需要に供給が追い付かない状況になっています。
インフルエンザワクチンは必要だからといってすぐに作れるものではありませんので、新規の安定した供給は難しいでしょう。現在でもお子さんに接種できていないというご家庭もあるのではないでしょうか。

ただ始めに書いたように、インフルエンザの流行はまだきておりませんので、焦る必要はないかと思います。とはいえワクチンは接種した方が当然良いので、今からでも接種できるのであれば、なるべく接種してください。
例年年末年始に里帰りや旅行などで日本国民大移動が起こるため、そこで一気に感染が広がることが多いのです。今年はコロナの影響で公共交通機関を使った移動をする人も少ないとは思いますが、これから接種すれば流行の終わりである3月頃まできちんと抗体価がもつでしょう。

はらこどもクリニックでは、新型コロナウイルス感染対策のため、1日に接種できる人数を制限しておりますが、インフルエンザワクチン接種を引き続き行っていますこちらから、予約ページにお入りください。

本格的な冬に突入し新型コロナがまた感染拡大している中では、いつもなら何でもないようなちょっとした発熱にも神経質にならざるをえないかもしれません。ただ新型コロナウイルスは現在まで子どもへの感染が少なく、子ども間で感染が広がるというケースがほとんどみられません。子どもへの感染は、家庭内での同居家族からの感染がほとんどです。

通常の感染症は、集団生活をしている子どもたちが感染し、そこからお子さんといる時間の多いお母さんへ、そこからお父さんへという流れで感染が広がるケースが多いのに対し、新型コロナウイルスの場合は、まず外に出ることが多いお父さんが感染→お母さん→お子さんという、逆パターンの流れをとることが多いです。

大人が最初に風邪の症状をしめし、その後でお子さんにうつったというケースは注意した方が良いかもしれません。

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PCR検査、抗体検査、抗原検査の違いとは?その2[内科]

前回に引き続き、新型コロナウイルスについての各種検査についての解説です。

・抗原検査
ウイルスそのものを検出する検査です。検査キットにはそのウイルスに反応する抗体が塗ってあり、採取した検体に抗原があると反応するという仕組みです。インフルエンザの検査として行われることが多く、受けたことがある方も多いのではないでしょうか。

抗体検査は検査キットの質によって感度のバラつき幅が大きく、キットに使われている抗体が特定のウイルスだけに反応するピュアなものであることが重要です。インフルエンザなどでは交差が多くあるので、偽陽性も多くなります。

検体の採取方法としては、PCR検査と同じく

①鼻の孔から喉に綿棒を入れ採取する(鼻腔咽頭ぬぐい液)
②唾液から採取する
③鼻の孔から2cm程度綿棒を入れ採取する(鼻腔ぬぐい液)の3つがあります。

こちらもPCR検査と同じく、死んだウイルスでも反応が出る可能性があります。
現状出回っている検査キットがどれだけ確度が高いのかは、何とも言えないところです。本当に新型コロナウイルスにだけ反応しているのか、旧型とのクロスはないのかなど検証ができていないからです。

・抗体検査
ウイルスに感染すると体の中には、そのウイルスに対応する抗体が作られます。その抗体の有無を調べる検査です。抗体ができるまでは時間がかかるので、ウイルスに感染していたとしてもすぐには検査をすることができません今ウイルスに感染しているかどうかではなく、あくまで2週間以上経った時の答え合わせとして使える検査です。

ウイルスの表面にはスパイクという鍵のようなタンパク質がたくさんあり、抗体はそのスパイクに対応して作られます。新型コロナウイルスの場合、このスパイクの型が旧型のコロナウイルスとの交差があると言われています。そのため抗体検査を受けたとしても、本当に新型コロナウイルスに対応した抗体であるかの確認はできません。

検体の採取方法としては血液検査になり、正確性を期すなら注射器による採血が必要です。最近では指先に少し傷をつけて血液を採取する自宅検査用のキットも出回っていますが、指先には皮脂をはじめとして様々なものが付着していることが多く、検査の感度は決して高いとは言えません。

また抗体検査で陽性だったからと言って、新型コロナウイルスに感染しない、発症しないという保証はありません。先ほど書いた旧型との交差の可能性のほか、新型コロナウイルスでは抗体を持っている方が症状が重くなる「抗体増強反応」も確認されていて、まだウイルスと抗体の関係について分かっていないことが多いからです。
抗体検査が陽性→自分は新型コロナウイルスに抗体がある→感染しないからどこに行っても大丈夫!ということにならないように注意しましょう。
抗体検査は現状、新型コロナウイルスの感染の判定としては使いにくい検査です。

以上前回も含め検査の解説をしてきました。検査の感度には幅が大きく、決して絶対視できるものではありません。検査を受けたから安心ということにはなりませんので、検査の有無、検査結果に左右されず、きちんと感染予防対策を取るようにしてください。

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PCR検査、抗体検査、抗原検査の違いとは?その1[内科]

気温、湿度が低くなり、新型コロナウイルスの感染者数は増加しています。そんな中、PCR検査をはじめ、新型コロナウイルスについて検査のできる医療機関も多くなってきました。現在、新型コロナウイルスについては、いくつかの検査方法があります。今回はその違いについて解説してみたいと思います。

・PCR検査
ウイルスがもつDNA、RNA(遺伝子)の断片を増殖させ、体の中にウイルスが存在しているかどうかを確認できる検査です。現在ある検査方法の中では感度は最も高く、少ないウイルスの量でも検出できるのが特徴です。

検体の採取方法としては3種類あります。
①鼻の孔から喉に綿棒を入れ採取する(鼻腔咽頭ぬぐい液)
②唾液から採取する
③鼻の孔から2cm程度綿棒を入れ採取する(鼻腔ぬぐい液)

①の場合、検体を採取る医療者のウイルス曝露の可能性も少なくなく、感染予防の装備をきちんと揃える必要がありましたが、②・③の場合、曝露は限定的なため、検査をする側・される側、どちらのハードルも下がりました。

現状、PCRが検査の感度が最も高いため、PCR自体の本当の感度を確認する術はありません。判定する機器や検査を行う医療者の技量などによってかなり幅があると思った方が良いでしょう。一般的に30~70%程度と言われています。
またウイルス感染からの日数によっても感度に違いがあり、濃厚接触から4日で33%、症状が出た当日で62%、症状が出てから3日目で80%ほどというデータもあります。
また症状が無くても何回もPCR検査では陽性になる可能性もあります。これは検査の手法上、ウイルスが生きていても死んでいても反応するからです。

新型コロナウイルスに対する陰性証明を出してくれとお願いされることがあります。ここに書いた通り、最も感度の高いPCR検査でも良くて70%ですから、厳密な意味での陰性の証明にはなりません。
ただ出張などのお仕事の都合上、どうしても陰性証明が必要な場合は、PCR検査を実施しての発行となります。

長くなりましたの続きはまた次回「抗原検査」「抗体検査」について解説していきます。

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冬にかけてウイルス感染症にかかりやすくなるのはなぜ?[内科・小児科]

今回はコロナウイルスをはじめとして、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、RSウイルスなどウイルス感染症が、秋から冬にかけて増える理由を解説していきたいと思います。

まずひとつが「温度」です。ウイルスは一般的に温度が低い方が活発化して増えやすくなる種類が多いと言われています。例えば風邪の原因となるライノウイルスは32~33度で増殖しやすくなります。人間の体温はもっと高いわけですが、寒くなると鼻で息を吸う時、冷たい外気にさらされるため鼻孔の温度が32~33度程度になります。それで鼻の奥でウイルスが増えてしまい、風邪の症状がでるというわけです。

次に「湿度」です。新型コロナウイルスにとって「ソーシャルディスタンス」という言葉が一般的になりましたが、ウイルスの感染力の強さには、どこまで広範囲にウイルスが飛んで広がるかも重要なファクターとなります。ウイルスが体内から外に出る時は飛沫などに付着して浮遊するのですが、湿度が高いとこの飛沫が重くなるため、飛ぶ距離が短くなると言われています。

逆に乾燥していると飛沫が軽くなり遠くまで飛ぶので感染が広がりやすくなります。乾燥しても失活しないタイプのウイルスが、この利点を生かして秋から冬の乾燥した時期に感染力が強くなります。代表的なものがノロウイルスです。

また乾燥によって鼻やのどの粘膜の機能が働きにくくなるという影響もあるでしょう。

元々コロナウイルスは冬に流行するウイルスですので、新型コロナウイルスもおそらくそうでしょう。Go toキャンペーンをはじめとして、感染者数の増加の原因が色々と取りざたされていますが、冬になると感染が広がるのは、ある意味で当然のことと言えます。

こまめな手洗い、マスク、人との距離、換気、栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠、できることをきちんとして感染しない、感染させない生活を心がけましょう。

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