月別アーカイブ: 2021年5月

女性に多い病気 側弯症(そくわんしょう)【小児科】

側弯症(そくわんしょう)とは背骨が左右に弯曲し、ねじれを伴う場合もある病気です。女性の方が圧倒的に発症例の多い病気で、男性の5~7倍になると言われています。

原因は分からないことが多く、代謝や他の疾患による影響が大きいと考えられています。

背が伸びる思春期の時期に発症することが多く、発症頻度としては高いのですが、発症していてもほとんどの場合が軽度なので、診断がつかずにそのまま過ごしてしまうケースも少なくありません。

学校健診の中でチェックしますが、軽度の場合、学校健診の短い時間で診断をつけるのは難しいのが現状です。また自治体によっては専門である整形外科が関わっていることもありますが、学校健診は内科医が務めることが多いのも、診断が難しい理由のひとつです。

また診断の方法として、上半身裸で屈ませ、後ろから肩の位置を見るという形になるため、思春期の女子生徒を裸にするという事に対する抵抗感(担任が男性教諭だった場合は特に)も、診察を難しくさせています。

側弯症は高度になると心肺を圧迫するなどの大きな影響が出ますが、軽度の場合、放っておいてもそれほど問題が無いことが多いです。

もし側弯症の疑いがあった場合、精密検査を行い、症状の重さによって経過観察や矯正治療、重度の場合は手術を行います。

ちなみに原院長は56年ほど小児科医として経験を積んでいますが、学校健診で見つかった事例で、手術までに至った例を経験したことはありません。(手術例は全て骨の系統疾患を持つ例でした。基本的に手術を必要とするほど重度の症例は極めて稀です。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

新型コロナウイルスワクチンの予防接種についてのお知らせ

所沢市では5/17より高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの予防接種が始まりました。

はらこどもクリニックも接種医療機関となっておりますので、予防接種についての注意事項をお知らせさせていただきます。

まず予防接種を行えるのは、接種券がお手元に配られた方のみになります。
原則的に予約のみで、予約は、はらこどもクリニックへの連絡ではなく、自治体の予約システムを利用してください。

専用のコールセンター(0570-005527)、インターネット、LINEの3つの方法で予約が可能です。コールセンターは混雑しているので、インターネットかLINEでの予約がすいているとのことです。

はらこどもクリニックへの直接のお問い合わせや、来院には対応しかねますのでご了承ください。

予約をキャンセルする場合は、なるべく早めにキャンセルをお願い致します。現在使用されているファイザー社のワクチンは取り扱いの制限が多く、直前のキャンセルですと、ワクチンが無駄になってしまうほか、きちんとキャンセルをしないとワクチンを接種したことになってしまいますのでご注意ください。

インターネットとLINEでの予約の場合は、予約の忘れがないようにリマインドの連絡がいくとのことです。電話にはリマインドがありませんので、予約忘れの防止の意味でも、インターネット、LINE予約の方がおすすめかと思います。

予防接種は、発熱や他の病気の方とは別にゾーニングされた「健康外来」での待合、接種となります。「健康外来」は正面右側の入口になります。

 

あわせまして、はらこどもクリニックでは医師、スタッフについて5月1日に1回目のワクチン接種を行ったことをご報告致します。21日に2回目の接種を行う予定です。

参考として、1回目の接種時点での副反応についてもご紹介したいと思います。

原院長については、特に大きな反応はありませんでした。2日間くらいちょっと接種部位が痛いかな?と感じる程度だったとのことです。新井医師についても、少し腫れた程度で大きな反応はありませんでした。

拓麿副院長については、接種後、局所の痛みがだんだんと強くなっていき。接種日の夜は、背中を掻くのに腕を動かすことができないくらいの痛みが出ました。また1日だるさがあったとのことです。若い看護師ではかなり痛みが強く出たケースもありました。

総じて、高齢で免疫反応が鈍くなっているほど、副反応が弱くなる傾向にあり、若い人ほど副反応が強く出ているようです。

また26歳基礎疾患無しの女性看護師がワクチン接種後亡くなったという報道が出ました。3/19 1回目接種、3/22は通常勤務、3/23に死亡確認という経過だったようです。

亡くなった後にCTを撮った結果、直径3.5cmの血腫がみつかり、石灰化も見られたということなので、画像による所見では、死因は腫瘍からの出血、クモ膜下出血の可能性が高いと思われ、ワクチンとの因果関係は否定されています。

現状の予防接種の制度では、ワクチン接種後一定期間に亡くなった方の事例は全て報告されることになっています。例えばワクチン接種の帰りに交通事故に遭って死亡したケースでも、死亡事例として上がるようになっています。

今回の例もワクチン後の死亡ということでそこだけが切り取られて大きく報道されていますが、本当にワクチンが原因で起こった事かどうかは、冷静に判断する必要があります。

はらこどもクリニックのスタッフでも、重篤な副反応が出たケースはありませんので、安心して接種していただければと思います。

スギ花粉の免疫療法 新規開始について【アレルギー科】

スギ花粉の免疫療法につきまして、ヒノキ花粉のシーズンが終わる6月から新規の治療を開始したいと思います。(免疫療法の詳細については、こちらの記事をご覧ください)

免疫療法には、定期的に通院して注射を行う皮下免疫療法と、患者さんご自身で毎日1回薬を服用する舌下免疫療法がありますが、基本的には舌下免疫療法で治療を行っています。

舌下免疫療法の治療の流れについてご説明すると
①まず最初に採血をし、アレルギー検査を行います。
②初回の薬の服用については、アナフィラキシーの可能性がありますので、必ず来院していただき服用します。服用後、問題が無いかどうか院内で30分程度待機していただきます。
③2回目についても薬の量を増やしますので、来院して薬を服用していただきます。
④最初のうちは、様子を見ながら薬の濃度を調整していきます。この期間につきましては、必要に応じて何度か来院していただくことになります。
⑤その後は決められた量の薬を1日1回患者さんご自身で服用してていただきます。特に問題が無いようであれば、長期分(1カ月~2カ月分)の薬を処方いたします。

舌下免疫療法の治療期間は最低でも3年、基本は5年と言われています。(治療の状況によってはさらに伸びる場合もあります。)2年で止めてしまうと、3年目に元に戻ってしまう例が多く報告されています。1日1回薬を服用するというのは簡単なようで意外と忘れがちで、面倒になって服用を止めてしまうというケースも少なくありません。

薬を服用する時間については特に指定は無いのですが、服用後5分間は、飲食やうがいはしないでください。また服用の2時間前~2時間後の間は、激しい運動と入浴は避けるようにしてください。

飲酒の習慣がある場合、アルコールとの併用はいけませんので、お酒を飲む時間の前後を避け、朝に服用するなどしてください。

治療期間が長期に渡るとはいえ、効果自体はもっと早く出ることが多いです。例えば今年の6月から治療を始めた場合は、来年の花粉シーズンにはある程度の効果が期待できるでしょう。

舌下免疫療法については公的な健康保険が効きます。15歳未満の場合、医療費の助成がありますので、自己負担なしで治療できます。

ちなみにはらこどもクリニックでは、スギだけではなくダニの免疫療法も行っています。ダニをやっている医療機関は埼玉県内でもほとんどありません。免疫療法は、辛いアレルギー症状を抑えられる数少ない治療法です。免疫療法をご希望の方はお気軽にご相談ください。

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摂食障害は治療が難しい病気【内科・小児科】

女性に多く見られる病気に「摂食障害」があります。食事を食べない、食べられなくなる「拒食症」と際限なく食べてしまう「過食症」の2つの症状があり、どちらか一方ではなく、拒食と過食を行ったり来たりするようなケースもあります。

はらこどもクリニックでも過去30数人の患者さんを診ていますが、男性は1人だけで、残りは全員女性です、

摂食障害を患っている人の数は、最新の統計によると日本国内で20万人を超えると言われています。症状が軽い人を入れると、決して珍しい病気とは言えません。近年若年化も進んでおり、小学校高学年でも摂食障害になるお子さんもいます。

摂食障害は治療がとても難しい病気です。自殺率を含めた致死率も高く、危険な病気でもあります。メンタル面の影響が強く、何かのきっかけで発病しても、明確な原因が特定できることは少なく、特効薬的な治療薬もありません。
近年では発達の問題も関わっている可能性も指摘されています。はらこどもクリニックで診た患者さんでは、真面目で成績の良い子が多く、父親との葛藤を抱えている子が多かった印象です。

患者さんご本人、治療に当たる医師、そして患者さんのご家族が辛抱強く付き合っていかなければならない病気です。

また摂食障害をきちんと診てくれる医療機関が少ないという問題もあります。

摂食障害は治療が難しく、時間がかかるため、そもそも診ないというところも多いのです。
治療としても医師よりも心理士のような対応が必要で、きちんと診れる医師も多くありません。設備の揃った大きな病院だから診てくれるというわけでもなく、治療を断られてしまうケースもあります。

かかりつけ医があればそちらに相談し、摂食障害に対応できるしかるべき医療機関を紹介してもらいましょう。

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