月別アーカイブ: 2017年11月

平熱と体温計

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今回も「熱」についてお話したいと思います。

みなさんは、自分の「平熱」は何℃だと思っていますか?

人間の平熱というと大体37℃前後ということが言われています。しかし、これは正確な数値とは言えず、実際には平熱が何℃かというのは、医学的にはっきりと結論が出ていません。

平熱37℃というのは、昔の大規模調査に基づいた数値ではあるのですが、その調査では脇の下で温度を測りました。残念ながら、脇の下で測るやり方では、正確な体温は測れないのです。

体温を測る際には、体の表面ではなく、なるべく体の内部の温度を測らなければいけません。一番正確なのは、肛門から体温計を入れて直腸内の温度を測ることです。

はらこどもクリニックでは、乳児の体温を正確に知りたい時は、このやり方を用いています。その次は、口の中に体温計を入れて測る方法です。脇で測るのよりも簡単で正確なのですが、日本では余り好まれるやり方ではないようで、普及していません。

脇で測る場合は、最低10分、本来は40分くらいじっとして測らないと正確な数値は出ません。実際昔は、熱があって病院にいくと、10分かけて水銀の体温計で熱を測ったものでした。

また、市販されている電子式の体温計も正確な体温を教えてくれるとは言えません。今の体温計は予測式(測り始めの温度の上昇値をもとに計算して予測値を出すタイプ)がほとんどで、実際の熱を測っているわけではないからです。そのため、そのときの測り方や、子供の状態によって、かなり結果にばらつきが出てしまうのです。

耳で測るタイプの体温計も、耳の「外耳骨」という部分にセンサーが当たってしまうと、数値がかなり低く出てしまうので、きちんと測るのは難しいのです。

平熱や熱に対する耐性は、子供によって個人差があります。大切なのは、その子がどのくらいの熱だと元気がなくなってしまうのか、しっかりと把握しておくことです。

体温を測る時には、なるべく同じ条件で(例えば、毎回座って左脇で測るなど)、体温が何℃だと調子が悪くなっているかを判断しましょう。体温37.5℃超え=発熱しているという判断ではなく、その体温計で測った場合、何℃以上になるとお子さんが調子を崩すのか、きちんと知っておくことが必要です。

 

所沢市の小児科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
診療時間 午前 8:40〜12:00  午後 15:00〜18:00
受付時間 平日 8:30〜18:00  土曜日 8:30〜12:00
休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)

おねしょは何歳まで? その2

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前回に引き続き、「おねしょ」の話題です。

実際におねしょを治す時にどういうことをするかというと、まずは夜寝る前、就寝中、朝起きた時の3回の検尿を行い、尿の濃度が濃くなっているか検査します。これは、おねしょがおしっこの濃度を調整するホルモンの異常が原因という場合もあるからです。(ちなみに過去におねしょの相談がきっかけで、脳腫瘍をみつけたこともあります。)

そこで異常がなかった場合、はらこどもクリニックでは、おねしょ治療用の電極付アラームを貸し出しています。アラームを寝る時に着けるだけという、非常に簡単なものです。過去の実績ですと効果の早い子で3日、ほぼ数日で治ってしまいます。やはり小学校高学年になって、治したいという気持ちが強い子は、治るのが早いように思います。

また、ADHDの子どもにおねしょの頻度が高く、投薬するとしなくなることがあることも分かっています。行動に問題(多動、集中力困難等)があるときは、それも含めて相談されることをお勧めします。

おねしょは子供の自尊心なども関係するデリケートな問題です。おねしょが友達にばれるのが怖くて、わざわざ住んでいる所から遠い病院に行くという方もいます。親御さんが心配する気持ちだけではなく、お子さん本人の気持ちをしっかりと汲み取って、子供を傷つけるような無理なトレーニングはせず、小児科医に相談してみてください。

 

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おねしょは何歳まで? その1

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親御さんが悩まれることのひとつに「おねしょ」がありますね。昼はすぐに外れても、夜寝る時には、なかなかおむつを卒業できないという場合も少なくありません。今は紙おむつの質も良くなり、おねしょをしても違和感が少ないことも、おねしょの原因のひとつかもしれません。

おねしょは、多くの場合、病気というわけではないので、自然とおさまるのを待てばよいと思うのですが、やはり小学校に入ったりすると、子供本人の気持ちも含め、色々と難しい問題も出てきます。

まず、おむつを外すトレーニングについてですが、アメリカの小児科学会では、2歳前に始めないように勧告を出しています。そのことがトラウマとなって、かえっておむつが外れるのが遅くなるということが分かっているからです。

おねしょをした時に子供を叱ることも良くありません。「おねしょは悪である」、「おねしょをした子供は悪い子である」というメッセージになり、子供の自尊心を傷つけてしまいます。自尊心が傷ついた子供がおおらかに、希望をもって育つことは難しくなります。おねしょは必ず治る、仕方がないこととと親も子も受け入れていることも大切なのです。

では、何歳までにおねしょがおさまらなかったら、治療を考えた方が良いのか?という問題ですが、これには明確な年齢はありません。おねしょの原因は、明確には分からない事も多く、身体的なことだけではなく、精神的なことも大きく関係しているからです。

相談が多いのは、5・6歳の小学校に上がる頃です。5歳で約15%のお子さんが、おねしょをしているという統計があります。そして小学校高学年になったタイミングです。学校行事で林間学校や修学旅行に行くまでに、おねしょを治しておきたいという希望が多いからです。

次回はおねしょの治し方についてご紹介しようと思います。

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発熱あれこれ「熱は冷やさない!」

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だいぶ秋も深まってきて、いよいよ冬の到来もすぐそこまできていますね。空気も乾燥してくるので、子供たちが感染症にかかり、熱を出すことが多くなってきます。ということで今回は「発熱」について書いてみたいと思います。

まず熱が出たときの対処法ですが、基本的に体を冷やすことをしてはいけません。熱が上がるのは、体内に侵入したウイルスや細菌を殺すための防御反応です。体が熱を上げようとしているときに冷やしてしまうと、体はもっともっと熱を上げようとしてしまいます。結果発熱が重くなり、熱痙攣などを起こす可能性も出てきてしまいます。熱が上がっている状態の時には、体を冷やさないで温めてあげるのが基本です。

熱が上がっているときには、子供は寒がり、震えも出ます。そして体は熱いのに手足は冷たくなっているのが特徴です。熱の状態をしっかりと見極めてあげましょう。

今の親御さんたちが子供の頃は、熱と言うと氷枕や氷嚢をおでこに当てるというような事をされたと思いますが、これはやらないであげてください。ちなみにヨーロッパでは昔から熱があったら水風呂に入れるという習慣があるようですが、これは医学的に否定されています。絶対にNGです(笑)

熱が上がりきると、今度は汗が出て子供は暑がるようになります。こうなったら少し涼しくしてあげましょう。また汗をかくので、肌着を替えたり、脱水症状にならないように水分をこまめに摂ることも大切です。この状態の時には、おでこに冷却シートなどを貼ってやっても構わないでしょう。暑がっているのでひんやりとして気持ちが楽になるかもしれません。ちなみに冷却シートには熱を下げるほどの効果はないので、そちらは期待しないようにしてくださいね。あくまで気持ちの問題です(笑)

子供の発熱は、頻繁に起こるからこそ、その対処を知っていて損はありません。今後も発熱については色々とご紹介していきたいと思います。

 

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お子さんに何かあったらまず小児科に!

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はらこどもクリニックでは、患者さんに「お子さんに何かあったらまずは小児科医に来てください」ということをお伝えしています。それは、小児科が「子供の健康をトータルで診ることができる総合医」だからです。小児科医というと内科医的な捉え方をされることが多いのですが、実際には、子供に関する様々な症状について勉強しています。

お子さんが何らかの症状を発症したとき、何科に行くかというのは、親御さんが悩まれることのひとつだと思います。いわゆる風邪や熱の場合には、まず小児科という判断をする方が多いのではないかと思います。対して、「じんましんが出た」・「皮膚がかぶれている」・「目が赤い」というような場合には、専門科である皮膚科や眼科に行かれる方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際には皮膚や眼などの症状でも小児科で対応できることがほとんどなのです。例えばじんましんでは、子供の場合、多くはアレルギー性ではなく、身体の調子を崩したことで発症します。皮膚ではなく、全身の病気の一部の可能性もあります。また、いわゆる「プール熱」と言われるアデノウイルスの感染では、症状のひとつとして結膜炎や目やにがあります。もちろん小児科医は、これらの症状に対して、塗り薬や点眼薬を処方することが出来るわけです。

はらこどもクリニックの患者さんの中にも、じんましんが出たから皮膚科に行って、風邪の症状もあったので、その後で来たという方や、眼科に行ったものの小児眼科に明るい先生ではなく、小児科に行くよう言われて来たという方がいらっしゃいました。つまり病院のハシゴ状態です。これでは、時間的にも身体的にも負担がかかってしまいます。医者が言うのもなんですが、病院に来る回数は少ないほうが良いのです。

子供になにかあったら、まずはかかりつけの小児科医に相談してみてください。はらこどもクリニックでは、子供の総合医として、しっかりと診断をさせていただきます。そのうえで診断の結果、より高度な検査や、専門医の判断を仰ぐ必要があれば、きちんと信頼できる病院に紹介をさせていただきますのでご安心ください。

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