事故予防」カテゴリーアーカイブ

子どものやけどについて【小児科】

家庭で起きやすい子どもの事故に「やけど」があります。

昔は冬になると、やけどは多かったものです。例えば、石油ストーブに触ってしまう、こたつの熱源に直接触ってしまうなどがありましたが、近年では、エアコンやホットカーペットなどに置き換わり、以前と比べてやけどは少なくなりました。

ただし、低温やけどについては注意する必要があります。低温やけどは、体温よりも少し高い温度(44℃~50℃前後)のものに、皮膚が直接長時間触れることによって起こります。症状がひどい場合、皮膚の奥の方までやけどが進行してしまいます。

低温やけどは急激に熱さや痛みなどを感じるわけではないので本人が気づくのが遅く、症状が悪化してしまうケースが多いです。低温やけどによる見た目の変化はありますが、痛みがでるまで患部を確認することはありませんから、気付かないのです。

これを予防するには、熱源となるものに直接触れないようにすることです。例えばホットカーペットなら、上にもう1枚マットを敷いて使用する。カイロなどは直接肌に触れさせず、服の上から貼る。電気毛布などはタイマーを使って、ある程度の時間で切れるようにしておくなどです。

かつて湯たんぽを使用していた時代には、冬になると低温やけどが多くありました。今では湯たんぽを使う人は多くはないと思いますが、使う場合にはタオルなどに巻いて使用したうえで、布団の中が温まったら、寝付く前に布団から出してしまうことがベターでしょう。

またやけどをしてしまった場合の対処としては、すぐにきれいに洗って流水で冷やしてください。また水ぶくれができている場合には潰してはいけません。水ぶくれの中の体液は、治癒効果のある体を守っている成分なので、そのままにしておきましょう。

もしやぶけてしまったら、そこから体液が漏れないよう、かつ雑菌等が入らないよう、ラップを巻いてガードしてください。ガーゼは、体液を吸ってしまい、患部に貼りついてしまうのでやめましょう。

低温やけどはぱっと見てもどの程度症状が重いのかが分からないので、その時に痛みがないからといって軽視せず、必ず医療機関に診てもらうようにしましょう。

ちなみに低温やけどは、高齢者の方に多いです。暖房器具にあたって動かない時間が多いことや皮膚の感覚が鈍くなっているため、より気付きにくく、症状が悪化するケースが見られます。高齢者の方と同居されている場合も注意しましょう。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

家庭でできる子供に対する予防医療 その2

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前回に引き続き、予防医療の観点から考える事故予防について、ご紹介します。前回お話したように、1~14歳の死亡原因の第1位は「不慮の事故」となっています。それだけ危険性が高いものなのに、家庭における事故対策は普及しているとは言いがたい状況になっています。それはなぜなのでしょうか?

例えば、お風呂の水はすぐに抜いているか、ストーブなどの暖房器具にふれなれないようにしているか、階段に柵を設置しているか、高いところに昇れてしまうような踏み台となる棚やケースが置いていないかなどなど、事故防止のためにできる具体的な対策はたくさんあります

しかし、現実には、うちはきちんと見ているから大丈夫という意識で、対策を怠ってしまっていることがほとんどです。

事故というのは、ひとつの事故が他の人への教訓にならないのが厄介なところなのです。一般論や他の事故のケースを挙げても、「うちは大丈夫」という感覚になってしまいがちで、そのご家庭ご家庭にあわせ、具体的な指導を行わないと、事故防止対策が進まないのが大きな問題です。

親御さんが子供のためにできることの中では、簡単かつ重要な分野にもかかわらず、そういう情報が周知されていなかったり、教育がされていないのです。このことは小児科学会でも非常に問題になっており、学会誌などでも随所で事故防止対策にういての記事が掲載されています。さらにいうと、事故防止対策について書いた書籍も多数出版されているのですが、なかなか状況が好転していないのが実情です。

子供の事故を減らすには、親御さんにきちんとした知識と意識を持っていただくことがとても大切です。お子さんの命と健康を守るため、少しでも日常生活の中で、事故の危険性を意識してみてくださいね。

 

所沢市の小児科 はらこどもクリニック

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休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)

家庭でできる子供に対する予防医療 その1

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先日のブログで「予防医療」のひとつとして「予防接種」について書きました。では「家庭でできる子供のための予防治療」というとどんなものをイメージされるでしょうか?

実は子供のための予防医療で、大切なのが「事故の予防」なのです。医療というとどうしても病気というイメージにとらわれがちですが、実際には1~14歳の子供の死亡原因の1位は「不慮の事故」なのです。(0歳児については出生時の異常に伴うことが多いので除いています。)子供の健康と命を守るという点においては、「事故の予防」をきちんと行うことが大切なんですね。

どの年代においても最も死亡率が高い原因は「交通事故」です。車に乗る際のチャイルドシート、シートベルトの徹底、そして子供たちにきちんと交通ルールを学ばせる安全教育を行うことが大切です。常日頃から、信号を守ること、横断歩道を手を挙げて渡ること、道路には飛び出さないことなどを、言い聞かせておきましょう。

死亡率の高い原因の2位が「溺死」です。特に1~4歳児においては、交通事故とそれほど変わらない割合となっています。その内訳のほとんどが家庭の浴槽での事故となっています。日本は外国と比べると溺死の割合が多いの特徴です。浴室が深かったり、洗濯に使うため、浴室にお湯をはりっぱなしにしておくなどの習慣が事故を多くしている要因だと考えられています。浴室での事故に注意を促すため、はらこどもクリニックでは、10ヶ月健診の時に「お宅はどんなお風呂ですか?」ということを聞くようにしています。そのほか、4歳児まででは誤飲などによる窒息死も非常に多くなっています。その他、命を落とすことはないものの、階段や椅子からの転落、ストーブなどでの火傷など、事故件数が多くなっています。おじいちゃんおばあちゃんとの同居世帯では、薬の誤飲による中毒も大きな問題のひとつです。

家庭での事故のほとんどは、親がいるところで起こっているということが注意すべきポイントです。親は気をつけている「つもり」でも、実際には、トイレや家事などもありますから、本当に24時間見ていることは不可能です。そのちょっとした隙に、事故は起こってしまいます。だからあらかじめ、きちんとした事故防止の対策を取っておく必要があります。

次回は、なぜ事故防止対策がなかなか普及していかないのかについて、書いてみたいと思います。

 

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