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迷走神経反射【内科・小児科】

日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種がかなり進んでいます。ワクチンの副反応とは別に、注射を打つ時に気を付けなければならないのが「迷走神経反射」です。

人間には内臓の動きをコントロールする自律神経があり、自律神経の中には「交感神経」と「副交感神経」があります。人間がアクティブに起きている時には、通常身体活動を活発化させる「交感神経」が強く働いています。

しかし、過緊張になると身体の自律神経のバランスが変わり、交感神経→副交感神経にスイッチが切り替わってしまう場合があります。この状態が「迷走神経反射」です。

症状としては、気分が悪くなったり、ひどい場合は急に意識が無くなって倒れてしまったり、椅子から転げ落ちてしまったりがあります。これはワクチンの副反応ではなく、ワクチン接種、注射に対する恐怖や緊張から引き起こされるものなのです。

はらこどもクリニックでも過去に1例だけ「迷走神経反射」を起こした患者さんがおられました。過去ツベルクリン反応の注射で倒れた経験があったそうで、その記憶がフラッシュバックして、気分が悪くなったというものです。

迷走神経反射自体は、過緊張などからくるものですから、基本的にはなるべくリラックスして接種を受けるということにつきます。新型コロナウイルスの場合は薬液の量も少なく、注射の針も小さいものです。また肩に接種なので、針が刺さるところを見なくて済むなどの心理的要素もあり、比較的迷走神経反射は起こりにくいと考えています。

しかし万が一迷走神経反射が起きてしまった時倒れてけがをしてしまう可能性があるので、基本的には座った状態で、注射前後で気分が悪くなったら、ベッドに横になるなどして、気分を落ち着けます。落ち着いてくれば症状は治まりますので、何かあったら遠慮なく医師や看護師に声をかけてください。

ちなみに迷走神経反射は、体質ではなく誰にでも起こり得ます。ワクチン接種よりも採血時の方が血を見ることになるので、起こりやすいです。原院長は、輸血の交差反応の検査に使用する2ccの採血で倒れる男性を何人も見てきたそうです。

まだ接種をされていない方は、ワクチン接種を過度に恐れず、なるべくリラックスして受診するようにしてください。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

mRNAワクチンの有効性が高い理由【内科】

 

現在、世界中で様々な新型コロナウイルスのワクチンが出回っています。日本で使用されているのはファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンです。この2つのワクチンは90%を超える高い有効率があり、他のワクチンに比べても、非常に有効性が高いことが分かっています。

ウイルスベクターワクチンであるアストラゼネカのワクチンは、有効率約75%、またシノバックの不活化ワクチンは50%程度という調査結果もあるようです。

こうして見ると、シノバックのワクチンは、効果が低いように思われますが、そもそも不活化ワクチン自体の有効率はそれほど高くありません。例えば私たちが毎年のように接種するインフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、有効率は50%程度だと言われています。

有効率とは、ワクチンを接種しなかった場合と接種した場合で、どのくらい発症者が減少したかの数字です。例えば100人の人がいてワクチンを接種しなかった場合、50人の人が感染症を発症したとします。対してワクチンを接種した場合、発症者は5人に減少しました。
発症者の数は50人→5人になり45人の減少です。ワクチンを接種していない時の発症人数を100%とし、割合に直すと発症者が100%→10%になり、90%減少したことになります。この減少の割合を有効率と言います。有効率50%の場合は、ワクチンを接種した場合でも100人中25人の人が発症する計算になります。

新型コロナのワクチンでmRNAワクチンの成績が良いのは、液性免疫だけではなく、細胞性免疫を誘導するからと考えられています。
液性免疫はウイルスのスパイクタンパクに対応する抗体を作り、ウイルスのスパイクを無効化し、細胞に取り付きにくくする免疫反応です。
対して細胞性免疫は、ヘルパーT細胞とキラーT細胞によって、ウイルスに感染した細胞をウイルスごと殺してしまうようなイメージです。液性免疫が反応の性質上、変異株に対して効果が低いのに比べ、細胞性免疫は変異株にも高い効果を示すことが分かってきています。

ウイルスベクターワクチンも細胞性免疫を誘導しますが、ベクターに対する免疫反応が起こるため効率が悪くなっている可能性があります。
不活化については、液性免疫のみの誘導になり、抗体増強反応を起こす可能性もあることから、今回の新型コロナウイルスに対しての効果は厳しいものがありそうです。また、ウイルスを無害化する時にタンパク質が変質しているほか、本来抗体を作るために必要なタンパク以外の、余計なタンパクも含まれているため、どうしても効果は弱くなってしまいます。

ただしmRNAワクチンは、RNAが物質として非常にもろいため、取り扱いに難があります。アストラゼネカのワクチンは、ファイザーやモデルナのワクチンに比べれば取り扱いは簡単で、1回接種で良いというメリットもあります。

また今後は日本のシオノギの組み換えタンパクワクチンも出てくる予定です。組み換えタンパクワクチンは既にB型肝炎ワクチンなどで実用化されており、取り扱いも難しくなく、コストも安価です。

このように有効率だけではなく、ワクチンによって様々なメリット・デメリットがありますので、流行の状況を見ながら、適切にワクチン接種を進めていくべきでしょう。

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新型コロナウイルスワクチンの予防接種についてのお知らせ

所沢市では5/17より高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの予防接種が始まりました。

はらこどもクリニックも接種医療機関となっておりますので、予防接種についての注意事項をお知らせさせていただきます。

まず予防接種を行えるのは、接種券がお手元に配られた方のみになります。
原則的に予約のみで、予約は、はらこどもクリニックへの連絡ではなく、自治体の予約システムを利用してください。

専用のコールセンター(0570-005527)、インターネット、LINEの3つの方法で予約が可能です。コールセンターは混雑しているので、インターネットかLINEでの予約がすいているとのことです。

はらこどもクリニックへの直接のお問い合わせや、来院には対応しかねますのでご了承ください。

予約をキャンセルする場合は、なるべく早めにキャンセルをお願い致します。現在使用されているファイザー社のワクチンは取り扱いの制限が多く、直前のキャンセルですと、ワクチンが無駄になってしまうほか、きちんとキャンセルをしないとワクチンを接種したことになってしまいますのでご注意ください。

インターネットとLINEでの予約の場合は、予約の忘れがないようにリマインドの連絡がいくとのことです。電話にはリマインドがありませんので、予約忘れの防止の意味でも、インターネット、LINE予約の方がおすすめかと思います。

予防接種は、発熱や他の病気の方とは別にゾーニングされた「健康外来」での待合、接種となります。「健康外来」は正面右側の入口になります。

 

あわせまして、はらこどもクリニックでは医師、スタッフについて5月1日に1回目のワクチン接種を行ったことをご報告致します。21日に2回目の接種を行う予定です。

参考として、1回目の接種時点での副反応についてもご紹介したいと思います。

原院長については、特に大きな反応はありませんでした。2日間くらいちょっと接種部位が痛いかな?と感じる程度だったとのことです。新井医師についても、少し腫れた程度で大きな反応はありませんでした。

拓麿副院長については、接種後、局所の痛みがだんだんと強くなっていき。接種日の夜は、背中を掻くのに腕を動かすことができないくらいの痛みが出ました。また1日だるさがあったとのことです。若い看護師ではかなり痛みが強く出たケースもありました。

総じて、高齢で免疫反応が鈍くなっているほど、副反応が弱くなる傾向にあり、若い人ほど副反応が強く出ているようです。

また26歳基礎疾患無しの女性看護師がワクチン接種後亡くなったという報道が出ました。3/19 1回目接種、3/22は通常勤務、3/23に死亡確認という経過だったようです。

亡くなった後にCTを撮った結果、直径3.5cmの血腫がみつかり、石灰化も見られたということなので、画像による所見では、死因は腫瘍からの出血、クモ膜下出血の可能性が高いと思われ、ワクチンとの因果関係は否定されています。

現状の予防接種の制度では、ワクチン接種後一定期間に亡くなった方の事例は全て報告されることになっています。例えばワクチン接種の帰りに交通事故に遭って死亡したケースでも、死亡事例として上がるようになっています。

今回の例もワクチン後の死亡ということでそこだけが切り取られて大きく報道されていますが、本当にワクチンが原因で起こった事かどうかは、冷静に判断する必要があります。

はらこどもクリニックのスタッフでも、重篤な副反応が出たケースはありませんので、安心して接種していただければと思います。

予防接種 筋肉注射と皮下注射 何が違うの?【内科・小児科】

少しずつですが、医療関係者のへの新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、高齢者の方への接種スケジュールを公表する自治体も出てきました。このブログをお読みのみなさんも、テレビや新聞などで、予防接種の写真を目にしたことと思います。

新型コロナウイルスのワクチンについては、「筋肉注射」とされています。筋肉注射は画像のように、皮膚に対して垂直に刺すように針を入れ、皮下組織の下の筋肉に薬液を注射します。

日本では予防接種というと、針を皮膚に対し斜めに刺し皮下組織に薬液を入れる「皮下注射」の方が一般的ですが、世界では筋肉注射がスタンダードで、皮下注射は日本だけのローカルルールです。筋肉注射は皮下注射よりも免疫効果が高く、副反応も小さい傾向にあるなど、メリットの多い注射法なのです。

ではなぜ日本だけ皮下注射が多いかというと、昔、抗菌剤の筋肉注射によって薬害が出たからです。ワクチンとは関係ありませんでしたが、筋肉注射そのものが避けられ、ワクチン接種についても皮下注射になってしまったのです。(ちなみに生ワクチンについては、皮下注射の方が抗体が上がりやすいことが分かっているので、皮下注射が推奨されています。)

筋肉注射は見た目のイメージから、注射した時の痛みが強いと思われがちですが、実際には筋肉注射だから痛いということはありません。注射の痛みは針の太さや注射をする人の技量によります

筋肉注射が怖いというイメージを抱く方もいるかもしれませんが、皮下注射と比べ効果が高く、副反応の腫れや痛みも少ない方法です。安心して接種を受けていただいて大丈夫です。

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新型コロナウイルスワクチンについての解説 その1【内科】

医療従事者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種が、2月から始まっています。

使用されたファイザー製のワクチン(mRNAワクチン)、そして今後使用が予定されているアズトラゼネカのワクチン(ウイルスベクターワクチン)は、従来使われてきたワクチンとは、製造方法が異なる新しいワクチンです。今回はこれらの新しいワクチンについて解説していきたいと思います。(不活化ワクチン、生ワクチンについては、過去の記事を参照してください。)

mRNAワクチンとウイルスベクターワクチンの特徴として、「液性免疫」と「細胞性免疫」の両方の免疫を誘導できるということがあります。(不活化ワクチンでは液性免疫の誘導のみ。)

細かい反応については非常に専門的になるので省きますが、大まかに言うと、液性免疫は体の中にウイルス・細菌などの「抗原」に対する「抗体」を作り、ウイルスの活性を失わせる働き。細胞性免疫はウイルスや細菌にやられた細胞を壊すキラーT細胞を作ります。
この2つの免疫が誘導されることで、感染抑制と重症化の抑制に高い効果を得ることが出来ます。
(mRNAワクチンの仕組みについてもっと詳しく知りたい方は、大阪大学名誉教授 宮坂昌之先生のFBに詳しく分かりやすい解説がされていますので、是非ご覧になってみてください。)

・mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン
DNAには様々なタンパク質を合成する設計図が入っています。しかし、DNAから直接タンパク質が合成されるわけではありません。DNAが持つ情報から必要な部分だけが、まずmRNA(メッセンジャーRNA)と呼ばれる物質にコピーされ、そのmRNAの情報をもとにヒトの細胞がタンパク質を合成します。mRNAワクチンは、この反応を利用したワクチンです。

ウイルスの表面にはスパイクタンパク質があり、人間の抗体はこのスパイクタンパク質に対し反応します。ウイルスの遺伝子(DNA)の中からこのスパイクタンパク質の形成に関する部分(RNA)のみを解析し、その情報を転写したmRNAを作ります。そのmRNAを保護する物質に包み、ワクチンとしています。

mRNAは人の細胞の中に入り込み融合すると、mRNAから情報を読み取った人の細胞は、指示通りスパイクタンパク質を作ります。人の体の中の免疫系がこのスパイクタンパク質を認識すると、対応する抗体が作られると共に感染細胞を破壊するキラーT細胞も活性化されるという仕組みです。mRNAの指示によって作られるのはあくまでスパイクタンパク質のみなので、ウイルスそのものではありません。

RNAはいずれ壊れてしまい、ワクチン接種を受けた人の遺伝子の中には組み込まれません。このような仕組みから、理論上、副作用が少なく安全性の高いワクチンと考えられています。

一方でRNAは非常に壊れやすく不安定な物質のため、これをどう人の細胞まで壊さずに届けるかが課題でした。今回のファイザーのワクチンでは、mRNAを脂質で包み、かつ-70℃以上の超低温で保管することで、それを可能にしています。

mRNAワクチンは、今回の新型コロナウイルスのワクチンとして初めて利用される実用化された技術ではありますが、以前から次世代のワクチンとして研究されてきた製造法です。元々がんのワクチンとして長く研究されていましたが、がんの場合抗原の特定が難しく、実用化に至りませんでした。新型コロナウイルスの感染拡大によって、実践投入が早まったということになります。実用化こそ初めてなものの、技術としては真新しいものではなく、きちんと研究されてきたもので、理論上では安全性も高く、効果も高いと思われます。

遺伝子解析の技術が上がり、ウイルスが持つ遺伝子の解析が容易になってきたことや、該当のウイルスの遺伝子さえ手に入ればすぐに対応したワクチンを製造できるため、ウイルスが変異した場合でも対応しやすいというメリットがあります。

上に書いたように体の中に入れるにはあくまでスパイクタンパク質に関わるRNAだけなので、他の必要ないタンパク質が体に入らないことも大きいメリットです。コロナウイルスは、抗体を持っていた方が症状が重篤化する抗体増強反応があることも分かっているので、なるべく余計なタンパク質は身体の中に入れたくないという点もポイントです。
今後日本でも流通が予想されるモデルナのワクチンもこのタイプになります。

長くなってしまったので、アストラゼネカのワクチンで使用されているウイルスベクターワクチンいついては次回に解説します。

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日本脳炎ワクチンについて

日本脳炎の予防接種を予約済みの方には、既に個別に連絡をさせていただいておりますが、現在日本脳炎のワクチンの供給が全国的に不足しており、接種スケジュールを変更せざるをえない状況になっています。

国内の7割ほどのシェアがあったメーカーのワクチンに製造上の問題が発生し、供給がストップしてしまったためです。

(ワクチンメーカーからのリリースにつきましては、こちらをご覧ください。)
https://www.biken.or.jp/wp-content/uploads/2021/01/210115_biken.pdf

ワクチンの製造には非常に時間がかかるため、出荷が再開されるのは12月の予定とのことです。

日本脳炎の予防接種は、1期、2期合わせて4回の接種となり、厚労省より1回目、2回目の接種を優先するよう通達が来ております。当面の間は、供給数に応じての接種になることをご了承いただけますと幸いです。

日本脳炎自体は、日本全国で年間10人ほどの発症数となっており、埼玉、東京、神奈川ではここ数年の発症数は「0」、埼玉については40年ほど患者さんは出ておりません。
ハイリスクなのは九州、高知、三重茨城などです。(茨城は年に1人程度、千葉は数年前に1人患者さんが出ています。)

また日本脳炎は蚊を媒介して感染しますので、流行は夏になります。
以上のことから、埼玉県内にお住まいの方であれば、今すぐにワクチンを接種しなくてもリスクはそれほど高くはないと思われます。

日本脳炎の予防接種をご希望の方は、入荷次第当院ホームページや予約ページ、当院公式アプリ『PUPUNOTE』にて発信いたしますのでご確認ください。

ご迷惑、ご不便をおかけいたしますが、皆さまのご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

ワクチン接種についての法改正 何が変わったのか?[小児科]

2020年10月に予防接種に関する法律が変わりました。これはロタウイルスワクチンの定期接種化に伴って改正されたものです。

改正されたポイントを端的にまとめると「注射生ワクチンは4週間隔空ける必要があるが、それ以外の異なるワクチンはいつ接種してもいい」となったことです。

例えばこれまでは注射生ワクチンである「MRワクチン」を接種した場合、次にどんなワクチンを接種する場合でも4週間空ける必要がありました。しかし、今回の改正により次に接種するのが経口生ワクチンや不活化ワクチンであれば、特に間隔を空ける必要がなくなりました。極端なことを言うと、異なるワクチンであれば毎日連続で接種することが可能だということです。

注意しなければならないのは「異なるワクチン」というところです。各ワクチンには効果的に免疫を獲得するための定められた接種間隔があります。例えば不活化ワクチンであるヒブワクチンは、1回目接種と2回目接種では4~8週間隔空けなければなりません。ヒブワクチンを接種した次の日に肺炎球菌ワクチンを接種することはできますが、ヒブを続けて接種することはできません

これにより予防接種の全体スケジュールの管理がかなり楽になることが予想されます。特に同時接種をしないスケジュールを組む場合は恩恵が大きいでしょう。同時接種をしている場合はそれほど影響はなさそうです。

ちなみにはらこどもクリニックでは、通院の回数が少なくなり、お子さんが痛い思い、怖い思いをする回数が少なくなる同時接種を推奨しています。同時接種は医学的に安全性と効果についてきちんとエビデンスがある接種法ですので、安心して接種を受けてください。

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HPVワクチンの重要性と安全性 その2[小児科]

前回に引き続きHPVワクチンのお話です。

過去、HPVワクチンが原因とされる失神やけいれんが取り沙汰され、積極的な接種が控えられてしまったわけですが、その後の調査でワクチンに問題はなく、これらの症状はワクチンとの因果関係がないことが分かっています。名古屋で因果関係の有無を調べた大規模な調査(通称:名古屋スタディ)でも、ワクチンを接種した人と接種していない人の間で、有為な差は出ないことが分かっています。

当時はマスメディアが、科学的根拠やエビデンスなしにセンセーショナルに報じたことで、世間に漠然とした恐怖が広がってしまいました。しかし、安全なワクチンをイメージだけで危険ととらえ、実際に死の危険性がある子宮頸がんに罹患してしまっては本末転倒です。

ちなみにHPVワクチンは粘性が強めのため、太い針で接種することが多いワクチンなのです。そのため痛みも強めのため、失神は注射そのものに対するショック反応が大きいことが分かっています。特に接種年齢が思春期真っ只中にあるため、精神的なストレスが身体に及ぼす影響も大きいのでしょう。アメリカではHPVワクチン接種の際に失神するケースがクローズアップされたことがありましたが、日本では件数は少ないです。

このようなことが分かってきていますから、現在では接種の際には心理的な不安やストレスをきちんとケアして接種することが求められています。お子さんだけではなく、親御さんも含め、HPVワクチン接種に不安のある方に対しては、きちんと安全性や効果について説明させていただきます。

HPVワクチンを怖がらず、定期接種の期間内にきちんと接種してください。

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ウイルスと薬 その2[内科]

ウイルスと薬についてのお話の続きです。今回はウイルスとワクチンについて書いてみます。

ウイルスは増殖するとき、宿主の細胞増殖の機能を利用して、自分の遺伝子であるRNAをどんどんコピーしていきます。この時、約3%の割合で何らかの変異があると言われています。ウイルス感染症では、体内に何百万個ものウイルスがいる状態になります。わずか3%の変異率でも、母数が多いので、変異したウイルスが登場する可能性が非常に高いのです。さらに多くの人に感染が広がればなおさらです。このようにウイルスはめまぐるしく変異を繰り返すため、ワクチンができても有効な効果を得にくい場合があるのです。

また、報道番組やワイドショーなどでは、抗体ができていれば、コロナウイルスに罹りにくい、症状が出ないというような論調もありますが、これは正しくありません。

新型コロナウイルスの感染では、ウイルス感染が引き金となって自己免疫系が自分の血管や臓器を攻撃することによって、血管系の疾患や多臓器不全などの重い症状が起こるということが分かってきています。この場合、むしろ抗体がある方が、症状が重篤化する可能性があります。(サイトカインストーム、ADE。)

例えばデング熱は、4つの型があり、ある型に感染し抗体ができると、次に別の型に感染した場合、重篤化する可能性が高いことが分かっています。またネココロナウイルスでは、ウイルスに抗体をもった猫が、同じウイルスに感染すると重篤化することがあるそうです。

実は単純に「接種したときに抗体を作る」だけのワクチンであれば簡単に作れます。不活化や弱毒化したウイルスを体内に入れれば抗体自体はできるからです。ただし、その抗体が正しくウイルスの抑制に働くかどうかは、きちんと検証を積み重ねなければ分からないのです。

同じくコロナウイルスが原因のSARS、MERSでは、ワクチンはできていません。上に書いた変異や抗体・免疫の問題で、有効なワクチンが作れなかったのです。ウイルスに対するワクチンの開発は、とても難しいのです。

アメリカでは早ければ年内にワクチンが接種できるという報道もありましたが、これがどこまで有効なのかは、実際に接種してみないと分からない部分がかなりあると思います。

しばらくはこのウイルスとうまく付き合いながら、感染を押しとどめていくしかありません。3密を避ける、手洗いをする、マスクを上手に使うなどの対策をきちんととって、なるべく感染しない、させないようにしていきましょう。

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BCG接種 4か月健診の実施について[小児科]

現在一時的に集団→個別に変更されている「BCG接種」と「4か月健診」について、はらこどもクリニックでの実施についてのご紹介です。
まず「BCG接種」、「4か月健診」のどちらも月・金のみとなっております。
予防接種と乳幼児健診については、発熱やその他疾患の患者さんとは隔離ゾーニングされた「健康外来」での診察となりますので、安心してご来院ください。

■BCG接種
BCG接種は、結核の予防接種です。
通常は接種後、10日頃から1~2か月で接種部分が赤くなり、強い反応が出てくるのですが、既に(過去を含め)結核に感染していた場合、接種後、それよりも早めに接種部が赤くなって強い反応を示す場合があります。これを「コッホ現象」と言います。

コッホ現象が出た場合、なるべく速やかにツベルクリン反応(ツベルクリン液を入れる注射です)をし、注射部位の反応を確認、結核感染の疑いを特定する必要があります。乳幼児が結核菌に感染すると、重篤な疾患につながる可能性があるので、きちんと検査しなければならないからです。

ただし、BCG接種については、基本的に集団接種だったことから扱った経験が少ない医師が多いのが実情です。いわゆるハンコ注射と呼ばれるもので、他の予防接種とは別物だからです。
また、医療機関によってはツベルクリン反応の薬剤を常備していることが少なく、その場でツベルクリン反応をできないところもあります。子どもの場合、ツベルクリン反応の感度が良いので、コッホ現象が認められたら、本来はすぐにやらなければなりません。

そもそも現代では結核自体が非常に珍しい病気となっていて、特に小児結核で入院できる病院は全国でわずか5つしかありません(2020年6月現在)。そのため実際に結核を診たことのある医師は非常に少ないのです。

はらこどもクリニックでは、原拓麿副院長が、厚労省の小児結核の班会議のメンバーを3年間務めた経験があり、小児のBCG接種及びツベルクリン反応について、きちんと診察することが出来ます。
BCG接種の場合、このようにコッホ現象の有無等を含め、他の予防接種よりも経過観察に時間がかかるため、他の予防接種とは分けての実施となります。月・金以外での接種はできませんので注意してください。

同時接種については、BCG接種時に他のワクチン接種は可能です。集団接種のスケジュールに縛られることがありませんので、ワクチン全体スケジュールとしては、立てやすくなるかと思います。
(ちなみに大人で結核感染の疑いがあった場合は、ツベルクリン反応ではなく、採血をしてインターフェロンγ遊離試験という方法で結核感染の特定を行うことが主流となっています。)

■4か月健診
4か月健診では、問診、身体測定、発育・発達の確認、栄養状態の確認、精巣や外性器の異常の診断などを行います。所沢市より、空間的に他の診察とは隔離するように指示が出ているため、他の診察を行っていない月・金のみでの実施となります。

本来、乳幼児健診の中で、4か月健診は行政が直接実施する健診です。そのため医師だけではなく、保健師、心理士、栄養士など様々な職種の人間が参加して行います。これは、子どもだけではなく、お母さんの心身の健康状態を守るために非常に重要なことなのです。

子どもの異常や疾患については、それよりも前の乳幼児健診で見つかることも多く、4か月健診で初めて見つかるというケースはそれほど多くありません。しかし、ご家族の問題、お母さんの育児不安、虐待の有無、産後うつ等の問題については、この4か月健診で心理士さんの問診などを通じてピックアップできることが多いのです。極端な話、医師は要らない…とまでは言いませんが、他に重点を置いている大切な検診のひとつです。

そのため、行政としてもなるべく早く集団健診に戻したいのではないかと思っていますし、本来そうあるべきだと思います。
子育ては、特にお母さんにとても負担がかかってしまうのが現実です。何か気になること、不安に思うことがあれば、遠慮なく、健診時、診察時に相談してください。

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