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ワクチン接種によるアナフィラキシーショックについて【内科・小児科】

ワクチン接種の副反応としてアナフィラキシーがあります。

アナフィラキシーとは、体内にアレルゲンとなる物質が入ることで、全身にアレルギー反応が現れることです。中でも蕁麻疹などの皮膚症状、呼吸困難、血圧の低下、意識の低下など命にかかわるような症状が起きることをアナフィラキシーショックと言います。

ワクチンには抗原となるタンパク質だけではなく、免疫効果を高めるためのアジュバントをはじめ、様々な成分が添加されています。ごくまれにその添加物に反応してしまうケースがあります。これらの成分は製薬会社の技術の核となる部分であるため、一般的には公開されていないこともあり、事前に防ぐというのはなかなか難しくなっています。

アナフィラキシーは、接種後15分以内に起こることが多いですが、起こった時に医師がいればきちんと対処することが出来ますので、死に至ることはほとんどありません。はらこどもクリニックでは接種後15分以上は院内に残っていただき、様子を見ることにしています。(お会計などの事務手続きの時間も含みますので、それほど長い時間には感じられないと思います。)何かあった時にはすぐに対処できるよう準備しておりますので、ご安心いただければと思います。

はらこどもクリニックでは、開業以来予防接種でのアナフィラキシーショックは0件で、点滴等で3人ほどアナフィラキシーが起こったケースがあります。数字的にみても、かなり珍しいケースであることは事実です。ちなみに日本のワクチンでアナフィラキシーが最も多いのは3種混合ワクチンです。

新型コロナウイルスのワクチンについても、海外での接種事例から副反応のデータがとられていますが、ファイザー製のワクチンでアナフィラキシーショックが報告されています。これらの方については、全員アドレナリンの処方で助かっているということです。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

新型コロナウイルスワクチンについての解説 その2【内科】

今回は新型コロナウイルスのワクチンの中で、ウイルスベクターワクチンと組み換えタンパク質ワクチンについて、解説したいと思います。

 ・ウイルスベクターワクチン
元々遺伝子治療に使われていた手法を用いたワクチンです。人に対して病原性の無いウイルスや弱毒性のウイルスに、抗原となるタンパク質の情報(DNA)を組み込み、ワクチンとしています。ベクターとは運び屋といった意味です。

人の細胞の中に入り込んだDNAに基づいて抗原となるタンパク質(新型コロナの場合は、スパイクタンパク質)が作られ、それに対抗する抗体が作られる仕組みです。

DNAはRNAに比べ物質として安定しているため、運用が容易なことがメリットですが、ワクチン接種によってベクターとなるウイルスそのものに対し、抗体ができてしまうことで、複数回の接種ができない可能性もあります。
今後日本でも使用が想定されるアストラゼネカのワクチンがこのタイプになります。

・組み換えタンパク質ワクチン
抗原となるタンパク質を遺伝子組み換え技術によって作り出し、それをワクチンとして使用します。遺伝子組み換えには酵母や大腸菌などが使われます。

このタイプのワクチンについては全く新しい製造法というわけではなく、すでに使われているB型肝炎ワクチンと同じになるので、接種実績の多いことがメリットのひとつです。
一般的に免疫原性が低いことが多く、それをいかに上げるかが、各製薬会社の技術となっています。日本の塩野義製薬が治験を開始しているワクチンがこのタイプになります。

 

新しいワクチンということで、皆さんが気にされるのは副作用・副反応のことだと思います。新型コロナウイルスワクチンについては、海外の接種実績を見る限り、副反応の強さ、頻度は少し大きいものの、重篤なケースは報告されていません。少なくとも現在使われている生ワクチンよりは、理論上安全性は高いはずです。生ワクチンはウイルスそのものを体の中に入れますが、これらのワクチンは、抗原タンパク質に関するものしか体に入れないからです。

ただし海外製のワクチンは治験の人種の割合にかなり偏りがあり、ほとんどが白人でアジア系は数%にすぎません。ワクチンでは人種間でリスクが異なる可能性があるので、アジア人では日本がモデルケースのひとつとなると思います。

緊急事態宣言によって新規の感染者数は減少傾向になりますが、無症状や軽症の方が急に症状が悪化し、無くなるというケースも報じられています。少なくともワクチン接種によって、重症化は防げる可能性は高いと思いますので、リスクとベネフィット(利益)をきちんと判断していただきたいと思います。

ワクチンに対して不安があるという方は、まず医療従事者への接種の結果を見て、冷静に判断するという形でもよろしいかと思います。

はらこどもクリニックの医師・スタッフもワクチン接種を行いますので、接種後の副反応などについて、レポートできたらと思っています。

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新型コロナウイルスワクチンについての解説 その1【内科】

医療従事者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種が、2月から始まっています。

使用されたファイザー製のワクチン(mRNAワクチン)、そして今後使用が予定されているアズトラゼネカのワクチン(ウイルスベクターワクチン)は、従来使われてきたワクチンとは、製造方法が異なる新しいワクチンです。今回はこれらの新しいワクチンについて解説していきたいと思います。(不活化ワクチン、生ワクチンについては、過去の記事を参照してください。)

mRNAワクチンとウイルスベクターワクチンの特徴として、「液性免疫」と「細胞性免疫」の両方の免疫を誘導できるということがあります。(不活化ワクチンでは液性免疫の誘導のみ。)

細かい反応については非常に専門的になるので省きますが、大まかに言うと、液性免疫は体の中にウイルス・細菌などの「抗原」に対する「抗体」を作り、ウイルスの活性を失わせる働き。細胞性免疫はウイルスや細菌にやられた細胞を壊すキラーT細胞を作ります。
この2つの免疫が誘導されることで、感染抑制と重症化の抑制に高い効果を得ることが出来ます。
(mRNAワクチンの仕組みについてもっと詳しく知りたい方は、大阪大学名誉教授 宮坂昌之先生のFBに詳しく分かりやすい解説がされていますので、是非ご覧になってみてください。)

・mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン
DNAには様々なタンパク質を合成する設計図が入っています。しかし、DNAから直接タンパク質が合成されるわけではありません。DNAが持つ情報から必要な部分だけが、まずmRNA(メッセンジャーRNA)と呼ばれる物質にコピーされ、そのmRNAの情報をもとにヒトの細胞がタンパク質を合成します。mRNAワクチンは、この反応を利用したワクチンです。

ウイルスの表面にはスパイクタンパク質があり、人間の抗体はこのスパイクタンパク質に対し反応します。ウイルスの遺伝子(DNA)の中からこのスパイクタンパク質の形成に関する部分(RNA)のみを解析し、その情報を転写したmRNAを作ります。そのmRNAを保護する物質に包み、ワクチンとしています。

mRNAは人の細胞の中に入り込み融合すると、mRNAから情報を読み取った人の細胞は、指示通りスパイクタンパク質を作ります。人の体の中の免疫系がこのスパイクタンパク質を認識すると、対応する抗体が作られると共に感染細胞を破壊するキラーT細胞も活性化されるという仕組みです。mRNAの指示によって作られるのはあくまでスパイクタンパク質のみなので、ウイルスそのものではありません。

RNAはいずれ壊れてしまい、ワクチン接種を受けた人の遺伝子の中には組み込まれません。このような仕組みから、理論上、副作用が少なく安全性の高いワクチンと考えられています。

一方でRNAは非常に壊れやすく不安定な物質のため、これをどう人の細胞まで壊さずに届けるかが課題でした。今回のファイザーのワクチンでは、mRNAを脂質で包み、かつ-70℃以上の超低温で保管することで、それを可能にしています。

mRNAワクチンは、今回の新型コロナウイルスのワクチンとして初めて利用される実用化された技術ではありますが、以前から次世代のワクチンとして研究されてきた製造法です。元々がんのワクチンとして長く研究されていましたが、がんの場合抗原の特定が難しく、実用化に至りませんでした。新型コロナウイルスの感染拡大によって、実践投入が早まったということになります。実用化こそ初めてなものの、技術としては真新しいものではなく、きちんと研究されてきたもので、理論上では安全性も高く、効果も高いと思われます。

遺伝子解析の技術が上がり、ウイルスが持つ遺伝子の解析が容易になってきたことや、該当のウイルスの遺伝子さえ手に入ればすぐに対応したワクチンを製造できるため、ウイルスが変異した場合でも対応しやすいというメリットがあります。

上に書いたように体の中に入れるにはあくまでスパイクタンパク質に関わるRNAだけなので、他の必要ないタンパク質が体に入らないことも大きいメリットです。コロナウイルスは、抗体を持っていた方が症状が重篤化する抗体増強反応があることも分かっているので、なるべく余計なタンパク質は身体の中に入れたくないという点もポイントです。
今後日本でも流通が予想されるモデルナのワクチンもこのタイプになります。

長くなってしまったので、アストラゼネカのワクチンで使用されているウイルスベクターワクチンいついては次回に解説します。

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