予防接種」カテゴリーアーカイブ

新型コロナウイルスワクチンの予防接種についてのお知らせ

所沢市では5/17より高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの予防接種が始まりました。

はらこどもクリニックも接種医療機関となっておりますので、予防接種についての注意事項をお知らせさせていただきます。

まず予防接種を行えるのは、接種券がお手元に配られた方のみになります。
原則的に予約のみで、予約は、はらこどもクリニックへの連絡ではなく、自治体の予約システムを利用してください。

専用のコールセンター(0570-005527)、インターネット、LINEの3つの方法で予約が可能です。コールセンターは混雑しているので、インターネットかLINEでの予約がすいているとのことです。

はらこどもクリニックへの直接のお問い合わせや、来院には対応しかねますのでご了承ください。

予約をキャンセルする場合は、なるべく早めにキャンセルをお願い致します。現在使用されているファイザー社のワクチンは取り扱いの制限が多く、直前のキャンセルですと、ワクチンが無駄になってしまうほか、きちんとキャンセルをしないとワクチンを接種したことになってしまいますのでご注意ください。

インターネットとLINEでの予約の場合は、予約の忘れがないようにリマインドの連絡がいくとのことです。電話にはリマインドがありませんので、予約忘れの防止の意味でも、インターネット、LINE予約の方がおすすめかと思います。

予防接種は、発熱や他の病気の方とは別にゾーニングされた「健康外来」での待合、接種となります。「健康外来」は正面右側の入口になります。

 

あわせまして、はらこどもクリニックでは医師、スタッフについて5月1日に1回目のワクチン接種を行ったことをご報告致します。21日に2回目の接種を行う予定です。

参考として、1回目の接種時点での副反応についてもご紹介したいと思います。

原院長については、特に大きな反応はありませんでした。2日間くらいちょっと接種部位が痛いかな?と感じる程度だったとのことです。新井医師についても、少し腫れた程度で大きな反応はありませんでした。

拓麿副院長については、接種後、局所の痛みがだんだんと強くなっていき。接種日の夜は、背中を掻くのに腕を動かすことができないくらいの痛みが出ました。また1日だるさがあったとのことです。若い看護師ではかなり痛みが強く出たケースもありました。

総じて、高齢で免疫反応が鈍くなっているほど、副反応が弱くなる傾向にあり、若い人ほど副反応が強く出ているようです。

また26歳基礎疾患無しの女性看護師がワクチン接種後亡くなったという報道が出ました。3/19 1回目接種、3/22は通常勤務、3/23に死亡確認という経過だったようです。

亡くなった後にCTを撮った結果、直径3.5cmの血腫がみつかり、石灰化も見られたということなので、画像による所見では、死因は腫瘍からの出血、クモ膜下出血の可能性が高いと思われ、ワクチンとの因果関係は否定されています。

現状の予防接種の制度では、ワクチン接種後一定期間に亡くなった方の事例は全て報告されることになっています。例えばワクチン接種の帰りに交通事故に遭って死亡したケースでも、死亡事例として上がるようになっています。

今回の例もワクチン後の死亡ということでそこだけが切り取られて大きく報道されていますが、本当にワクチンが原因で起こった事かどうかは、冷静に判断する必要があります。

はらこどもクリニックのスタッフでも、重篤な副反応が出たケースはありませんので、安心して接種していただければと思います。

おたふくかぜワクチンの接種制限についてのお知らせ

おたふくかぜワクチンの接種制限についてのお知らせです。

製造メーカーより、おたふくかぜワクチンの出荷調整が始まりました。

製造上の問題があり、2社あるおたふくワクチンのうち、1社分が今年の秋頃まで出荷停止になります。

現在、供給不足の状況がまだ分かりませんので、いったん新規のワクチン予約を停止いたします。

ある程度の本数が確保できましたら予約再開をするつもりです。

状況は「ホームページ」、「PUPU NOTE」でお知らせをしてまいりますので、

状況が整うまで、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 

 

 

 

予防接種 筋肉注射と皮下注射 何が違うの?【内科・小児科】

少しずつですが、医療関係者のへの新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、高齢者の方への接種スケジュールを公表する自治体も出てきました。このブログをお読みのみなさんも、テレビや新聞などで、予防接種の写真を目にしたことと思います。

新型コロナウイルスのワクチンについては、「筋肉注射」とされています。筋肉注射は画像のように、皮膚に対して垂直に刺すように針を入れ、皮下組織の下の筋肉に薬液を注射します。

日本では予防接種というと、針を皮膚に対し斜めに刺し皮下組織に薬液を入れる「皮下注射」の方が一般的ですが、世界では筋肉注射がスタンダードで、皮下注射は日本だけのローカルルールです。筋肉注射は皮下注射よりも免疫効果が高く、副反応も小さい傾向にあるなど、メリットの多い注射法なのです。

ではなぜ日本だけ皮下注射が多いかというと、昔、抗菌剤の筋肉注射によって薬害が出たからです。ワクチンとは関係ありませんでしたが、筋肉注射そのものが避けられ、ワクチン接種についても皮下注射になってしまったのです。(ちなみに生ワクチンについては、皮下注射の方が抗体が上がりやすいことが分かっているので、皮下注射が推奨されています。)

筋肉注射は見た目のイメージから、注射した時の痛みが強いと思われがちですが、実際には筋肉注射だから痛いということはありません。注射の痛みは針の太さや注射をする人の技量によります

筋肉注射が怖いというイメージを抱く方もいるかもしれませんが、皮下注射と比べ効果が高く、副反応の腫れや痛みも少ない方法です。安心して接種を受けていただいて大丈夫です。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

ワクチン接種によるアナフィラキシーショックについて【内科・小児科】

ワクチン接種の副反応としてアナフィラキシーがあります。

アナフィラキシーとは、体内にアレルゲンとなる物質が入ることで、全身にアレルギー反応が現れることです。中でも蕁麻疹などの皮膚症状、呼吸困難、血圧の低下、意識の低下など命にかかわるような症状が起きることをアナフィラキシーショックと言います。

ワクチンには抗原となるタンパク質だけではなく、免疫効果を高めるためのアジュバントをはじめ、様々な成分が添加されています。ごくまれにその添加物に反応してしまうケースがあります。これらの成分は製薬会社の技術の核となる部分であるため、一般的には公開されていないこともあり、事前に防ぐというのはなかなか難しくなっています。

アナフィラキシーは、接種後15分以内に起こることが多いですが、起こった時に医師がいればきちんと対処することが出来ますので、死に至ることはほとんどありません。はらこどもクリニックでは接種後15分以上は院内に残っていただき、様子を見ることにしています。(お会計などの事務手続きの時間も含みますので、それほど長い時間には感じられないと思います。)何かあった時にはすぐに対処できるよう準備しておりますので、ご安心いただければと思います。

はらこどもクリニックでは、開業以来予防接種でのアナフィラキシーショックは0件で、点滴等で3人ほどアナフィラキシーが起こったケースがあります。数字的にみても、かなり珍しいケースであることは事実です。ちなみに日本のワクチンでアナフィラキシーが最も多いのは3種混合ワクチンです。

新型コロナウイルスのワクチンについても、海外での接種事例から副反応のデータがとられていますが、ファイザー製のワクチンでアナフィラキシーショックが報告されています。これらの方については、全員アドレナリンの処方で助かっているということです。

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新型コロナウイルスワクチンについての解説 その2【内科】

今回は新型コロナウイルスのワクチンの中で、ウイルスベクターワクチンと組み換えタンパク質ワクチンについて、解説したいと思います。

 ・ウイルスベクターワクチン
元々遺伝子治療に使われていた手法を用いたワクチンです。人に対して病原性の無いウイルスや弱毒性のウイルスに、抗原となるタンパク質の情報(DNA)を組み込み、ワクチンとしています。ベクターとは運び屋といった意味です。

人の細胞の中に入り込んだDNAに基づいて抗原となるタンパク質(新型コロナの場合は、スパイクタンパク質)が作られ、それに対抗する抗体が作られる仕組みです。

DNAはRNAに比べ物質として安定しているため、運用が容易なことがメリットですが、ワクチン接種によってベクターとなるウイルスそのものに対し、抗体ができてしまうことで、複数回の接種ができない可能性もあります。
今後日本でも使用が想定されるアストラゼネカのワクチンがこのタイプになります。

・組み換えタンパク質ワクチン
抗原となるタンパク質を遺伝子組み換え技術によって作り出し、それをワクチンとして使用します。遺伝子組み換えには酵母や大腸菌などが使われます。

このタイプのワクチンについては全く新しい製造法というわけではなく、すでに使われているB型肝炎ワクチンと同じになるので、接種実績の多いことがメリットのひとつです。
一般的に免疫原性が低いことが多く、それをいかに上げるかが、各製薬会社の技術となっています。日本の塩野義製薬が治験を開始しているワクチンがこのタイプになります。

 

新しいワクチンということで、皆さんが気にされるのは副作用・副反応のことだと思います。新型コロナウイルスワクチンについては、海外の接種実績を見る限り、副反応の強さ、頻度は少し大きいものの、重篤なケースは報告されていません。少なくとも現在使われている生ワクチンよりは、理論上安全性は高いはずです。生ワクチンはウイルスそのものを体の中に入れますが、これらのワクチンは、抗原タンパク質に関するものしか体に入れないからです。

ただし海外製のワクチンは治験の人種の割合にかなり偏りがあり、ほとんどが白人でアジア系は数%にすぎません。ワクチンでは人種間でリスクが異なる可能性があるので、アジア人では日本がモデルケースのひとつとなると思います。

緊急事態宣言によって新規の感染者数は減少傾向になりますが、無症状や軽症の方が急に症状が悪化し、無くなるというケースも報じられています。少なくともワクチン接種によって、重症化は防げる可能性は高いと思いますので、リスクとベネフィット(利益)をきちんと判断していただきたいと思います。

ワクチンに対して不安があるという方は、まず医療従事者への接種の結果を見て、冷静に判断するという形でもよろしいかと思います。

はらこどもクリニックの医師・スタッフもワクチン接種を行いますので、接種後の副反応などについて、レポートできたらと思っています。

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新型コロナウイルスワクチンについての解説 その1【内科】

医療従事者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種が、2月から始まっています。

使用されたファイザー製のワクチン(mRNAワクチン)、そして今後使用が予定されているアズトラゼネカのワクチン(ウイルスベクターワクチン)は、従来使われてきたワクチンとは、製造方法が異なる新しいワクチンです。今回はこれらの新しいワクチンについて解説していきたいと思います。(不活化ワクチン、生ワクチンについては、過去の記事を参照してください。)

mRNAワクチンとウイルスベクターワクチンの特徴として、「液性免疫」と「細胞性免疫」の両方の免疫を誘導できるということがあります。(不活化ワクチンでは液性免疫の誘導のみ。)

細かい反応については非常に専門的になるので省きますが、大まかに言うと、液性免疫は体の中にウイルス・細菌などの「抗原」に対する「抗体」を作り、ウイルスの活性を失わせる働き。細胞性免疫はウイルスや細菌にやられた細胞を壊すキラーT細胞を作ります。
この2つの免疫が誘導されることで、感染抑制と重症化の抑制に高い効果を得ることが出来ます。
(mRNAワクチンの仕組みについてもっと詳しく知りたい方は、大阪大学名誉教授 宮坂昌之先生のFBに詳しく分かりやすい解説がされていますので、是非ご覧になってみてください。)

・mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン
DNAには様々なタンパク質を合成する設計図が入っています。しかし、DNAから直接タンパク質が合成されるわけではありません。DNAが持つ情報から必要な部分だけが、まずmRNA(メッセンジャーRNA)と呼ばれる物質にコピーされ、そのmRNAの情報をもとにヒトの細胞がタンパク質を合成します。mRNAワクチンは、この反応を利用したワクチンです。

ウイルスの表面にはスパイクタンパク質があり、人間の抗体はこのスパイクタンパク質に対し反応します。ウイルスの遺伝子(DNA)の中からこのスパイクタンパク質の形成に関する部分(RNA)のみを解析し、その情報を転写したmRNAを作ります。そのmRNAを保護する物質に包み、ワクチンとしています。

mRNAは人の細胞の中に入り込み融合すると、mRNAから情報を読み取った人の細胞は、指示通りスパイクタンパク質を作ります。人の体の中の免疫系がこのスパイクタンパク質を認識すると、対応する抗体が作られると共に感染細胞を破壊するキラーT細胞も活性化されるという仕組みです。mRNAの指示によって作られるのはあくまでスパイクタンパク質のみなので、ウイルスそのものではありません。

RNAはいずれ壊れてしまい、ワクチン接種を受けた人の遺伝子の中には組み込まれません。このような仕組みから、理論上、副作用が少なく安全性の高いワクチンと考えられています。

一方でRNAは非常に壊れやすく不安定な物質のため、これをどう人の細胞まで壊さずに届けるかが課題でした。今回のファイザーのワクチンでは、mRNAを脂質で包み、かつ-70℃以上の超低温で保管することで、それを可能にしています。

mRNAワクチンは、今回の新型コロナウイルスのワクチンとして初めて利用される実用化された技術ではありますが、以前から次世代のワクチンとして研究されてきた製造法です。元々がんのワクチンとして長く研究されていましたが、がんの場合抗原の特定が難しく、実用化に至りませんでした。新型コロナウイルスの感染拡大によって、実践投入が早まったということになります。実用化こそ初めてなものの、技術としては真新しいものではなく、きちんと研究されてきたもので、理論上では安全性も高く、効果も高いと思われます。

遺伝子解析の技術が上がり、ウイルスが持つ遺伝子の解析が容易になってきたことや、該当のウイルスの遺伝子さえ手に入ればすぐに対応したワクチンを製造できるため、ウイルスが変異した場合でも対応しやすいというメリットがあります。

上に書いたように体の中に入れるにはあくまでスパイクタンパク質に関わるRNAだけなので、他の必要ないタンパク質が体に入らないことも大きいメリットです。コロナウイルスは、抗体を持っていた方が症状が重篤化する抗体増強反応があることも分かっているので、なるべく余計なタンパク質は身体の中に入れたくないという点もポイントです。
今後日本でも流通が予想されるモデルナのワクチンもこのタイプになります。

長くなってしまったので、アストラゼネカのワクチンで使用されているウイルスベクターワクチンいついては次回に解説します。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
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日本脳炎ワクチンについて

日本脳炎の予防接種を予約済みの方には、既に個別に連絡をさせていただいておりますが、現在日本脳炎のワクチンの供給が全国的に不足しており、接種スケジュールを変更せざるをえない状況になっています。

国内の7割ほどのシェアがあったメーカーのワクチンに製造上の問題が発生し、供給がストップしてしまったためです。

(ワクチンメーカーからのリリースにつきましては、こちらをご覧ください。)
https://www.biken.or.jp/wp-content/uploads/2021/01/210115_biken.pdf

ワクチンの製造には非常に時間がかかるため、出荷が再開されるのは12月の予定とのことです。

日本脳炎の予防接種は、1期、2期合わせて4回の接種となり、厚労省より1回目、2回目の接種を優先するよう通達が来ております。当面の間は、供給数に応じての接種になることをご了承いただけますと幸いです。

日本脳炎自体は、日本全国で年間10人ほどの発症数となっており、埼玉、東京、神奈川ではここ数年の発症数は「0」、埼玉については40年ほど患者さんは出ておりません。
ハイリスクなのは九州、高知、三重茨城などです。(茨城は年に1人程度、千葉は数年前に1人患者さんが出ています。)

また日本脳炎は蚊を媒介して感染しますので、流行は夏になります。
以上のことから、埼玉県内にお住まいの方であれば、今すぐにワクチンを接種しなくてもリスクはそれほど高くはないと思われます。

日本脳炎の予防接種をご希望の方は、入荷次第当院ホームページや予約ページ、当院公式アプリ『PUPUNOTE』にて発信いたしますのでご確認ください。

ご迷惑、ご不便をおかけいたしますが、皆さまのご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

ワクチン接種についての法改正 何が変わったのか?[小児科]

2020年10月に予防接種に関する法律が変わりました。これはロタウイルスワクチンの定期接種化に伴って改正されたものです。

改正されたポイントを端的にまとめると「注射生ワクチンは4週間隔空ける必要があるが、それ以外の異なるワクチンはいつ接種してもいい」となったことです。

例えばこれまでは注射生ワクチンである「MRワクチン」を接種した場合、次にどんなワクチンを接種する場合でも4週間空ける必要がありました。しかし、今回の改正により次に接種するのが経口生ワクチンや不活化ワクチンであれば、特に間隔を空ける必要がなくなりました。極端なことを言うと、異なるワクチンであれば毎日連続で接種することが可能だということです。

注意しなければならないのは「異なるワクチン」というところです。各ワクチンには効果的に免疫を獲得するための定められた接種間隔があります。例えば不活化ワクチンであるヒブワクチンは、1回目接種と2回目接種では4~8週間隔空けなければなりません。ヒブワクチンを接種した次の日に肺炎球菌ワクチンを接種することはできますが、ヒブを続けて接種することはできません

これにより予防接種の全体スケジュールの管理がかなり楽になることが予想されます。特に同時接種をしないスケジュールを組む場合は恩恵が大きいでしょう。同時接種をしている場合はそれほど影響はなさそうです。

ちなみにはらこどもクリニックでは、通院の回数が少なくなり、お子さんが痛い思い、怖い思いをする回数が少なくなる同時接種を推奨しています。同時接種は医学的に安全性と効果についてきちんとエビデンスがある接種法ですので、安心して接種を受けてください。

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インフルエンザの流行状況[内科・小児科]

新型コロナウイルスと共に流行が危惧されたインフルエンザですが、今のところ流行の兆しはありません。11月の感染者数は、去年の0.2%ほどとのことです。秋から冬にかけて流行するインフルエンザ以外の感染症も例年と比べるとかなり少なくなっています。
みなさんが新型コロナ対策として、きちんとした予防行動を続けていることが大きいのだと思われます。

一方でインフルエンザワクチンの予防接種の状況を見てみると、今年は政府や医師会などが積極的にプロモーションした結果、例年は接種しない方たちも接種を受けたりするなどしたため、ワクチンの需要に供給が追い付かない状況になっています。
インフルエンザワクチンは必要だからといってすぐに作れるものではありませんので、新規の安定した供給は難しいでしょう。現在でもお子さんに接種できていないというご家庭もあるのではないでしょうか。

ただ始めに書いたように、インフルエンザの流行はまだきておりませんので、焦る必要はないかと思います。とはいえワクチンは接種した方が当然良いので、今からでも接種できるのであれば、なるべく接種してください。
例年年末年始に里帰りや旅行などで日本国民大移動が起こるため、そこで一気に感染が広がることが多いのです。今年はコロナの影響で公共交通機関を使った移動をする人も少ないとは思いますが、これから接種すれば流行の終わりである3月頃まできちんと抗体価がもつでしょう。

はらこどもクリニックでは、新型コロナウイルス感染対策のため、1日に接種できる人数を制限しておりますが、インフルエンザワクチン接種を引き続き行っていますこちらから、予約ページにお入りください。

本格的な冬に突入し新型コロナがまた感染拡大している中では、いつもなら何でもないようなちょっとした発熱にも神経質にならざるをえないかもしれません。ただ新型コロナウイルスは現在まで子どもへの感染が少なく、子ども間で感染が広がるというケースがほとんどみられません。子どもへの感染は、家庭内での同居家族からの感染がほとんどです。

通常の感染症は、集団生活をしている子どもたちが感染し、そこからお子さんといる時間の多いお母さんへ、そこからお父さんへという流れで感染が広がるケースが多いのに対し、新型コロナウイルスの場合は、まず外に出ることが多いお父さんが感染→お母さん→お子さんという、逆パターンの流れをとることが多いです。

大人が最初に風邪の症状をしめし、その後でお子さんにうつったというケースは注意した方が良いかもしれません。

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2020年 インフルエンザ予防接種についての考え方

はらこどもクリニックでは、10月1日より高齢者の方、それ以外の方については10月26日より、インフルエンザワクチンの接種を開始します。今シーズンは、新型コロナウイルスの影響でインフルエンザワクチンについても例年とは異なる状況になっていますので、はらこどもクリニックの方針を含め、ご案内したいと思います。

●インフルエンザワクチンの供給状況
先日厚労省よりインフルエンザの予防接種についての通達がありました。定期接種となっている65歳以上の高齢者の接種を10/1~10/25までに優先的に行い、続いて10/26から6か月~9歳未満の小児、妊娠中の女性、基礎疾患がある方を優先的に接種するというものです。
新型コロナウイルスの問題はなくても、インフルエンザのハイリスクグループは高齢者です。小児は罹患率こそ高いものの、生命のリスクという意味では低いです。同時感染ということになると、高齢者はさらにリスクが上がるため、そのリスクを下げるためにも、高齢者に接種を促進することは必要であると考えています。

メディアなどでもインフルエンザ予防接種について積極的に報じていることもあり、今シーズンは例年より接種希望者が増えることが予想されています。
対してワクチンの供給数は昨年の1割増に留まっており。約6300万人分となっています。また6300万人分が一気に供給されるわけではないので、特に接種開始当初は供給が安定しない可能性もあります。はらこどもクリニックでは、ワクチン確保量を見ながら接種予約を受けさせていただきます。ご了承いただけますと幸いです。

●インフルエンザと新型コロナウイルスの重複感染
最も避けたいのが、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行です。発病パターン(インフルエンザの場合、発症が早く、症状が急にくる)である程度判断はきくだろうと思いますが、同じ風邪の症状で似ているため、判断がつきにくいのは確かです。

またコロナウイルスとインフルエンザウイルスは同時感染することもあります。実際に中国の武漢では、かなりの数の重複感染が報告されており、特にB型と同時感染した場合に重症化する可能性が指摘されているので、ワクチンで症状を抑えられるインフルエンザの方は、きちんと抑えておくべきでしょう。

●インフルエンザワクチンの接種回数
日本では13歳未満の小児には1シーズンに2回のワクチン接種が推奨されています。一方で世界保健機構(WHO)やアメリカ疾病予防センター(CDC)では、9歳以上は過去に2回以上の接種歴があれば1シーズンに1回接種、2回未満の接種歴であれば、2回接種を推奨しています。

これは1回接種と2回接種で予防効果にそれほど差が見られないことが分かっているからです。日本でも慶応大学小児科の新庄正宜先生がまとめた2019年の論文で20,033例と多くの患者さんを検討しています。この論文によると、生後6か月~6歳の小児については、1回接種と2回接種で予防効果に差が認められませんでした。

以上のことから、はらこどもクリニックでは、3歳以上はWHOやCDCの基準に沿って、接種歴を見て基本1回接種3歳未満は前述の新型コロナウイルスとの重複感染のリスクをできるだけ減らすため、またアジアで発症例の多いインフルエンザ脳症(発症すると致死率も高い重篤な症状です。)のリスクを減らすため、ワクチン供給の状況を見ながら可能であれば2回接種という方針を取らせていただきます。

●インフルエンザワクチン接種の時期について
インフルエンザワクチン接種による抗体持続期間は4~5か月程度と言われています。また最後の方は抗体値が落ちてきます。例年流行のピークが1~3月になるため、余り早めに打ち過ぎてしまうと、2月~3月頃には抗体値が落ちてしまっている可能性があります。
そのため接種時期としては流行が始まる少し前、11月~12月頃に接種するのが理想的です。また今シーズンは、新型コロナの感染予防対策によって、インフルエンザの患者数が例年に比べ激減しています。

例えば沖縄では9月13日までの患者数はわずか7人で、昨年同期の1000分の1とのことです。埼玉県でも今のところ流行は見られません。

3歳未満、また3歳以上でも条件にマッチした方で2回接種の場合は、10月に1回目、できれば4週間開けて2回目というスケジュールになりますが、3歳以上で1回接種の場合は、余り焦って早めに接種する必要はないと考えます。
また、高齢者以外の方の接種については、原則10/26からとさせていただきますが、厚労省の通達は強制ではありません。特別な事情がある限り、25日よりも前の接種を妨げないとありますので、ご相談ください。基礎疾患のある小児の方は、お電話にてご相談ください。

●まとめ
はらこどもクリニックは、予防接種の場合「健康外来(専用入口あり)」での診察となり、発熱患者さんとは隔離された空間での接種となりますので安心してご来院いただけます。ただし、密を避けるという観点から、健康外来の待合室に同時に入っていただける患者さんの数も限られるため、1日の接種数が例年に比べると制限される可能性が高いです。なるべくスムーズな形で進めたいと思いますので、接種をご希望のみなさんにもご協力をお願い致します。

予約受付については、9月27日よりインターネット予約を開始しておりますが、前述の通りワクチンの供給量をみながら予約を受付させていただきます。
またお子さんの場合、定期接種の他のワクチンとの同時接種もできますので、スケジュール的にも同時接種がおすすめです。

新型コロナについてもそうでしたが、メディアはエビデンスのある数字の検証などよりも、センセーショナルに恐怖を煽るような報道を行います。インフルエンザについても、新型コロナとの重複感染などを必要以上に強調するような報道が出るのではないかと危惧しています。
多くの人が我先に接種をとなると、本来接種が必要な方のワクチンが無くなってしまう可能性もあります。このブログを読んでくださっている皆さんには、冷静な判断をしていただきたいと願っています。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
診療時間 午前 8:40〜12:00  午後 15:00〜18:00
受付時間 平日 8:30〜18:00  土曜日 8:30〜12:00
休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)