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アレルゲンとなりやすいものをいつ頃から食べさせるべきか

かつての食物アレルギーに対する考え方では、卵、牛乳、蕎麦などアレルゲンとなりやすい食物は、なるべく食べ始めの年齢を遅くした方がよいというものでした。しかし、現在ではこの考え方は否定されています。

離乳食が始まる4ヵ月後半から5ヵ月頃から、少しずつ試しながら食べさせても全く問題はありません。消化という意味では、ある程度柔らかくすることと量をあげすぎなければ大丈夫です。

ただしピーナッツなどの豆類は、かたまりが間違って気管支に入ると危険です。実際、乳幼児が豆類を詰まらせてしまうケースは少なくありません。そういう意味では、最初はピーナッツそのものよりもピーナッツバターやピーナッツクリームの方が良いかもしれません。

食物アレルギーは、アレルゲンを経皮で吸収すると発症しやすいことが分かっています。(蕎麦を手打ちする蕎麦屋さんが、蕎麦アレルギーになってしまうのは、これが理由です。)

そのため、肌のバリア機能が弱っているアトピー性皮膚炎のお子さんは、食物アレルギーを発症することが多いです。

アトピー性皮膚炎のお子さんについては、スキンケアをきちんと行い、医師のアドバイスを仰いでください。

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〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

[内科・アレルギー科]寒暖差アレルギーはアレルギーではない!?

この時期になると多くのメディアで「寒暖差アレルギー」という言葉が使われます。日中と朝晩の気温差、暖房の効いた部屋と外気温での寒暖差が原因で、くしゃみがとまらなくなったり、蕁麻疹がでるといったアレルギー症状が起こるというものです。

ですが、アレルギーとは何か特定のアレルゲンとなる物質に対し、体の免疫が過剰反応し起こる症状です。寒暖差の場合、アレルゲンとなる物質はありませんから、実はアレルギー反応とは言えません。

寒暖差が激しいと、血管が広がったり(暖)、縮まったり(寒)が激しくなります。この血管の激しい収縮によって起こるのが、寒暖差アレルギーとされているものです。血管の収縮によって免疫を司るマスト細胞というものが刺激され、ヒスタミンを出すことによる反応です。

プロセスは全く違っても、結果としてアレルギーと同じようにヒスタミンが出て症状を起こすので、治療法も通常のアレルギー疾患に対するものと同じになります。そういったところから寒暖差アレルギーという名称がついたのでしょう。

あくまでメディアなどが使う通称で医療界では使わない言葉です。「伝染性紅斑」を通称「リンゴ病」と言うようなものですね。

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[アレルギー科]冬に悪化しがちなアレルギー

冬に悪化する可能性が高いアレルギー疾患といえば、まず「アトピー性皮膚炎」が挙げられます。

アトピーの大敵である乾燥によって、皮膚の保湿が難しくなるからです。乾燥に対して特効薬はありませんので、冬場はとにかくスキンケアを重視して、肌の保湿をきちんと行いましょう。

ちなみに冬の寒さ対策にヒートテックなどの化学繊維素材でできた吸湿発熱性の肌着を愛用されている方も多いと思います。しかし、吸湿発熱性の作用が強いために肌の水分が失われやすく、乾燥してしまうという状況が起こるようです。

また化繊の摩擦による刺激で肌荒れのような症状を起こすケースもあるようです。化繊の吸湿発熱性の肌着を着ると、肌のかゆみ・乾燥などがひどくなる場合には、着用を一旦控えてみるといいかもしれません。特に肌が弱い子どもや、乾燥肌になりがちな高齢者では症状が出やすいという調査もあるので、注意しましょう。

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[アレルギー科]秋冬のアトピー性皮膚炎で注意すべきこと

長かった夏も終わり、ようやく気温も下がってきました。そろそろ冬の足音も聞えてきたでしょうか。

アトピー性皮膚炎の患者さんにとって冬は辛い季節になります。空気が乾燥してくるので、一般的に冬の方が痒みが強くなることが多いからです。

冬に肌を触ってカサカサしているのは、皮膚から水分が失われてしまっている証拠です。特にアトピー性皮膚炎の方は、皮膚のバリア機能が弱くなっており、水分が逃げやすい状態になっています。冬場のアトピー対策は、とにかく保湿を最優先にすることを心がけてください。

特にお子さんの場合、自分で保湿に気をつけるということは難しいと思います。親御さんが忘れないよう、定期的に肌のチェックと保湿を行ってあげてください。

ちなみにアトピー性皮膚炎の原因としてハウスダストがありますが、冬の時期にダニの反応が多く出るのは、北海道や東北などの寒い地域です。意外かもしれませんが、寒い地域は気密性の高いお家が多く、冬場に暖房で温かくしているとダニが増えてしまうのです。ダニが多い環境になると、他のアレルギー疾患も発症しやすくなります。冬場はなるべくこまめにカーペットやお布団の掃除を行って、ダニが繁殖しないようにしてください。

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[アレルギー科]アレルゲン免疫療法のメリットと欠点

当ブログでも度々話題にしているアレルゲン免疫療法ですが、今回は改めてそのメリットと欠点についてご紹介したいと思います。

現在のアレルゲン免疫療法には、定期的に通院してもらい注射を打つ「皮下免疫療法」毎日患者さん自身で薬を飲んでもらう「舌下免疫療法」があります。全てのアレルギーに対し認められているわけではなく、スギ・ダニ(ハウスダスト)に対する治療が一般的なものとなります。

免疫療法のメリットは、治療を続けることでアレルギー症状が出なくなったり、長期にわたり症状をおさえることができるということです。また、新たな花粉(ハンノキ、シラカバ等)の反応(感作)を抑えることもできると言われています。

ただし、免疫療法は長期間継続して治療を行う必要があり、なかなか続かないのが欠点でもあります。免疫療法の治療期間は最低3年できれば5年と言われています。2年ですと治療を止めると症状が戻ってしまうことが多く見られます。

はらこどもクリニックでは、40歳以下の方の継続率が6割程度といったところでしょうか。特に花粉症の治療として行う場合、花粉の季節に近い時期は患者さんも危機感を持って通院、薬を続けてくれるのですが、喉もと過ぎれば熱さを忘れるという言葉があるように、しばらくすると忘れてしまう、止めてしまうことが多くなります。逆に高齢者の方の場合、薬を毎日飲む習慣があるため舌下免疫の治療が問題なく続くケースもあります。

最近では幼いお子さんでも花粉症の症状が強く出る子もいます。お子さんの場合、保険診療は5歳からとなっています。皮下免疫療法でお子さんの治療が続かない原因として、中学校から高校になるとクラブや部活動などで学校の時間が遅くなり、定期的な通院をするには生活パターンが合わなくなるというのがあります。

舌下免疫療法の場合、ある程度親御さんによるコントロールが必要になります。お子さんの場合、命にかかわる薬でも飲み忘れることがあるので、きちんと親御さんが薬を飲ませないと続かないでしょう。

中高校生になった時に薬を飲まなくても良いような状態にするには、小学校低中学年から治療を開始する必要があるため、小さい頃から始めておくのも選択肢のひとつです。

はらこどもクリニックでは、アレルゲン免疫療法を始めたいという方には、皮下と舌下どちらの治療法が良いのかを含め、それぞれのメリット、デメリットをきちんと説明し選択していただいています。

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[アレルギー科]花粉-食物アレルギー症候群とは?

食材による口腔内のアレルギー反応を「口腔アレルギー症候群」と言います。口の周りがピリピリしたり、喉の奥がイガイガしたりといった症状が現れます。その中でも、花粉との交差反応により起こるアレルギー症状を「花粉-食物アレルギー症候群=pollen-food allergy syndrome(PFAS)」と呼ぶようになりました。

少し前に大田区の小学校でビワを食べた子どもたち11人がアレルギー症状で救急搬送されるというニュースがありました。これはPFASが原因と思われ、花粉によるアレルギーが、他の植物に対するアレルギーを引き起こした分かりやすい例でしょう。

日本における花粉症のほとんどは「スギ花粉」が原因です。しかしこのスギ花粉に対するアレルギー反応が、徐々にハンノキやシラカバに対しても広がっていくケースがあります。さらにこのハンノキへの反応が、バラ科の植物への反応に広がっていきます。バラ科には食用にされる果物が多いため(ビワ、モモ、リンゴ、サクランボ、イチゴなど)、普段の何気ない食生活で、急にアレルギー反応を引き起こしてしまうケースが出てくるのです。

なぜこんなことが起こるのでしょうか。植物が感染防御のために持っているタンパク質(PR-10)があります。花粉とバラ科でこのPR-10の構造が似ているため、交差反応が起こってしまうのです。

最近では、スギ花粉から他の植物へアレルギー反応が広がるケースが本当に多くなっています。小さいお子さん、2歳くらいでもハンノキ、シラカバへの反応が見られる患者さんも少なくありません。症状としては軽い方が多いのですが、ごくまれにアナフィラキシーを起こす方もいます。スギへの反応が高い方に起こりやすいので、花粉症自体も症状が重い方が多いです。

PFASを防ぐ治療のひとつが「免疫療法」です。他のアレルギーが起こる前、早めにスギに対する免疫療法を行うと、他の植物に対する交差を抑えることができると言われています。免疫療法は花粉の時期には始められませんので、もし「PFASかも?」という方は、きちんと検査をして今のうちに免疫療法を検討するのも良いかもしれませんね。

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[アレルギー科]夏場のアトピー性皮膚炎のケア

前回は石鹸について紹介しましたが、アトピー性皮膚炎の患者さんが使ってよいか迷うものに「日焼け止め」があります。結論から言うと、日焼け止めは使っても構いません。ひどい日焼けはアトピー性皮膚炎を悪化させてしまう可能性があります。

ただし日焼け止めもメーカーによっては香料などが入っていますので、そういった物質が原因で皮膚炎を引き起こす場合もあります。必ずパッチテストをして、長時間つけていてもかゆくならない、赤くならないものを選びましょう。

ちなみに、日焼けの原因である「紫外線」は必ずしもアトピーに悪いということにはならないのが難しいところです。

実はアトピー性皮膚炎の治療のひとつに「紫外線を当てる」という療法があります。皮膚に紫外線を当てることで、一時的にアトピーの症状が重くなるものの、皮膚の免疫細胞が深くもぐり、表皮での免疫反応が起きにくくなる、それによってアトピーの症状が改善するという原理です。

「海水はアトピーを治す」、「毎日海に入っていたらアトピー性皮膚炎が治った」などの話は昔からあります。おそらくこれは海水の効果ではなく、この紫外線の効果により、肌の免疫機能に変化が起きたことで、症状が改善したと考える方が自然でしょう。

とはいえ夏場の自然光ですと、光が強すぎるのと、DNAを壊す波長が入っているため、当たりすぎるのは良くありません。きちんと日焼け対策は行いましょう。

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[アレルギー科]アトピー性皮膚炎と石鹸

アトピー性皮膚炎の患者さんがお風呂に入ったとき、身体を洗うのに石鹸、ボディソープを使うべきかどうか、これは昔から問題になってきたポイントです。

現在、アレルギー学会のアトピー治療におけるガイドラインでは、医師が患者さんに対し「石鹸は使わないように」と指導するのは不適切だとされています。

皮膚のバリア機能が弱くなっているアトピー性皮膚炎の患者さんにとって、肌を清潔に保つことはとても良いことです。そのためには石鹸、ボディソープはとても有効な道具です。問題は「石鹸を使うか否か」ではなく、「石鹸をどう使うか」なのです。

具体的にいうと、湿疹のひどいところを石鹸でゴシゴシと擦ってしまうのは良くありません。石鹸を使う時はしっかりと泡立てて、泡でやさしく洗う。そして、石鹸の成分が残らないようしっかりと流すことです。泡立てて使えば、石鹸の成分が肌に残りにくいのです。全身一律に洗うのではなく、症状のひどいところはより丁寧にやさしく洗う必要があります

また、多くの石鹸はアルカリ性となっています。このアルカリが肌に触れると荒れやすくなるので、弱酸性や中性のものを使うと良いでしょう。

もうひとつ注意したいのは、衣料用の洗剤です。今はほとんどが全自動洗濯機だと思いますが、すすぎの際に洗剤が衣服に残っていることがあります。(最近若手のイケメン俳優たちがやっている洗剤のCMで、このようなメッセージがありますね。)

この衣服に残った洗剤の成分が、服を着ることで常に肌にふれ、肌へ大きなダメージを与えることがあります。一度、洗濯後の衣類の洗剤残りをチェックしてみて、もし残っているようなら、すすぎを1回増やすなどの対策をとるとよいでしょう。

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[アレルギー科]アトピー性皮膚炎の治療指針

数あるアレルギー疾患の中でも、患者さんのQOLに大きく影響を及ぼすのが「アトピー性皮膚炎」ではないでしょうか。人によって症状の重さに程度の差はありますが、痒み、併発する食物アレルギー、見た目の問題など、対処しなければならない問題が数多くあります。

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、肌が水分を保つことができにくくなり、肌から水分が蒸発してしまいます。また肌が炎症を起こし、痒みを伴う湿疹が出ます。

アトピー性皮膚炎の治療では、この湿疹をきちんとケアし、皮膚のバリア機能を保ってあげることが最も重要になります。それにより、他の食物アレルギーの発症を防いだりすることができるのです。そのためには、ステロイド軟膏薬を適切に塗ることが大切です。

アトピー性皮膚炎の治療過程において多く見られるのは、ステロイド軟膏の塗り方を医師から指導されていないケースです。ステロイド軟膏にはいくつか種類があり、症状の度合いによってどれを処方するか決めなければなりません。また、肌からの吸収率も部位によって異なる(顔や首は吸収率が高く、手先は吸収率が低いなど)ため、塗る部位によっても差別化が必要になります。

はらこどもクリニックでは、ステロイド軟膏を処方する際には、必ず医師が塗り方を実演して患者さんに見てもらいます。小児のアトピー治療では、親御さんが「こんなに量を塗るの?」と驚かれるケースもあるくらい、軟膏はきちんと塗らなければ効果が得られません。

例えば飲み薬なら、「1日3回毎食後に2錠ずつ」など用量・用法が決められており、患者さんはそれに沿って薬を服用します。なぜ軟膏でも同じことをしないのでしょうか?

ステロイド軟膏を怖がる方もいますが、きちんと使えば副作用などの害はありません。逆に言えば、だからこそ医師の指導が大切だと考えています。

以前にもアトピー性皮膚炎についての記事を書いていますので、是非ご覧ください。

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[アレルギー科]ピーナッツ・アレルギーの対処法と他アレルギーとの関連

食物アレルギーについて、「小さい時にはアレルゲンを食べさせない」→「アレルゲンはなるべく早いうちから食べさせた方がよい」という風に変っているという話題は、当ブログでも度々触れてきました。

これは当然日本だけではなく、世界的な流れです。例えばアメリカではピーナッツアレルギーの子供が非常に多いことで知られていますが、かつてはピーナッツを食べさせるのは3歳くらいからとされてきました。ところが実際にはピーナッツデビューを遅らせることで、アレルギーリスクがむしろ増えていることが分かり、今では固形物が食べられる月齢ならば、ピーナッツデビューをして構わない、むしろ食べさせた方がよいという方針に大転換されました。これは2017年のことなので、わずか2年前です。

それまではずっとエビデンス(科学的根拠)が無い状態で、アレルゲンを避けるということになっていたのですね。常識やコモンセンスというものが悪い意味でバイアスをかけてしまった最たる例でしょう。

ちなみにピーナッツアレルギーは、ローストした方が出やすく、油で揚げたほうが出にくいというデータがあるようです。調理方法でもアレルギーの出やすさは変わってくるものなのですね。

長くなったので今回はこの辺で。次回は花粉症とピーナッツアレルギーの関連性についてご紹介したいと思います。

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