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スギ花粉 舌下免疫療法新規受付について

今年のスギ花粉舌下免疫療法の新規受付についてお知らせさせていただきます。

花粉飛散の状況を見つつにはなりますが、スギ・ヒノキ花粉が落ち着くであろう6月から新規の受付を開始する予定です。

今シーズンは昨シーズンと比べてもとびぬけて飛散量が多く、ここ10年で最強とも言われるほどでした。花粉症の方はかなり辛い思いをされたと思います。

舌下免疫療法については、最低3年、理想は5年程度治療を続ける必要はありますが、ある程度の期間治療を継続している人については、治療途中でも症状は軽くなります。

舌下免疫療法については、事前の採血が必要になりますので、「舌下免疫療法」を希望する旨をお伝えいただいたうえで、予約をお願い致します。

アレルギーを調べる採血では、指先を少し切って行う方法もありますが、不純物が混ざったり、ハンノキへの反応など細かいところが分からないので、はらこどもクリニックでは、注射による採血を行い、しっかりと検査します。

また、はらこどもクリニックでは、スギだけではなくダニの舌下免疫療法も行っています。スギ・ダニ両方にアレルギー反応を起こす人も多く、2023年4月現在、はらこどもクリニックでは、両方の治療を継続している患者さんが約300人いらっしゃいます。

お子さん含め、ご家族みんなで始めたいという方も大丈夫です。ご家族みんなで治療をすることで、薬の飲み忘れが少なくなり、継続しやすいというメリットもあります。

舌下免疫療法は、花粉症を寛解(症状が出ない状態)にもっていける有効な治療法ですので、花粉症にサヨナラしたいという方は、是非検討してみてください。

なお、最初の1週間だけ使用するお薬について供給が不足し出荷調整がかかる可能性が高くなっています。新規で開始をご希望の方は、事前にお電話にてご連絡ください。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

アレルギーの血液検査 結果=アレルギー?

最近ではアレルギーの血液検査を実施している医療機関も増えています。ただし検査が目的となっているところも多いという問題もあります。

本来アレルギーについては、症状があって、検査をし原因を特定するという順番になります。

はらこどもクリニックでは検査のみは行っていません。あくまでアレルギーの治療がゴールにあって、それを達成するための検査だからです。

アレルギー血液検査では、「IgE RIST」と言って、すべてのアレルゲンに対しIgE抗体の総量を測定する方法があります。この検査方法では、1人の検体を2度測定することになっています。それは、全く同じように測っても検査結果が異なることが多いからです。濃度の高低など、測定時の状況によって数値にバラつきが出ることがあるのです。

したがって症状も無く、ただ1回の血液検査を行っただけでは、確度がそれほど高いとは言えません。検査はあくまで検査であって、検査の数値が悪かったと言って、それが即アレルギーの発症にはつながらないのです。

検査結果=アレルギーではありません。アレルギーの評価は、検査の数値だけではなく、実際の症状の重い軽いを診て行っていく必要があります。

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2023年4月からのワクチンスケジュール

2023年4月から、お子さんのワクチンスケジュールについて、いくつか変更がありました。

1.四種混合ワクチンの接種開始生後3カ月→生後2カ月
これまで生後3カ月の接種開始だった四種混合ワクチンが、2カ月での接種開始となりました。
これは四種混合ワクチンで予防できる病気(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)のうち、百日咳について、ワクチン未接種の場合、重症化し死亡するケースがあるのではないかという疑いがあったため、接種の時期を早めたという経緯です。

2カ月から接種できるほかのワクチン「ヒブ」・「小児用肺炎球菌」・「ロタ」・「B型肝炎」と合わせ、5つのワクチンを同時接種するのがおすすめです。はらこどもクリニックでワクチンデビューするほとんどのお子さんが、同時接種を選択しています。
ロタワクチンは飲むタイプのワクチンなので、左右の上腕に2本ずつという形になります。

2.HPVワクチン4価→9価へ
4月からこれまで4価だったHPVワクチンが9価ワクチンへ変更となります。4価は3回接種でしたが、9価は15歳未満は2回接種、15歳以上は3回接種となります。HPVワクチンは全額助成が出る定期接種になりますので、接種対象年齢(小学校6年生~高校1年生に相当する女子)の方は、自己負担なしでの接種になります。

また本来接種するはずだった時期に、国が積極的な勧奨を控えており、接種することができなかった世代の方(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)についても、公費負担でキャッチアップ接種が可能です。こちらも9価での接種が可能ですので、是非接種をお願いします。

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原朋邦院長の著書が出版されます

原朋邦院長の著書「小児科一筋60年の医師が説く 子育て5つのカギ」が、幻冬舎より4月28日に出版されます。

子育ての不安や悩みを解消し、親としてどうあるべきかがわかる。子育てに自信が持てない親御さんへ送る育児書になります。

Amazonのページで、概要が確認できますので、ご興味のある方は是非ご覧ください!

「小児科一筋60年の医師が説く 子育て5つのカギ」
https://amzn.to/3Ln0cqW

アレルゲンとなりやすいものをいつ頃から食べさせるべきか

かつての食物アレルギーに対する考え方では、卵、牛乳、蕎麦などアレルゲンとなりやすい食物は、なるべく食べ始めの年齢を遅くした方がよいというものでした。しかし、現在ではこの考え方は否定されています。

離乳食が始まる4ヵ月後半から5ヵ月頃から、少しずつ試しながら食べさせても全く問題はありません。消化という意味では、ある程度柔らかくすることと量をあげすぎなければ大丈夫です。

ただしピーナッツなどの豆類は、かたまりが間違って気管支に入ると危険です。実際、乳幼児が豆類を詰まらせてしまうケースは少なくありません。そういう意味では、最初はピーナッツそのものよりもピーナッツバターやピーナッツクリームの方が良いかもしれません。

食物アレルギーは、アレルゲンを経皮で吸収すると発症しやすいことが分かっています。(蕎麦を手打ちする蕎麦屋さんが、蕎麦アレルギーになってしまうのは、これが理由です。)

そのため、肌のバリア機能が弱っているアトピー性皮膚炎のお子さんは、食物アレルギーを発症することが多いです。

アトピー性皮膚炎のお子さんについては、スキンケアをきちんと行い、医師のアドバイスを仰いでください。

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子どもにサプリは必要?

現在日本では、大人用だけではなく子供向けのサプリもとてもたくさん出ています。

では、子どもにサプリが必要なのかというと…必要な場合もあれば、不要な場合もあり、どちらとも言えます。

例えば、サプリでよく見かける「鉄分」を見てみましょう。

実は母乳には鉄分が余り多く含まれているわけではありません母乳育児では、乳児期後期に鉄欠乏になりやすいことが知られています。

実際、沖縄の乳幼児健診では、10~20%程度貧血の子どもが見つかるというデータもあります。この場合には、鉄分を補うサプリメントは有効ということになります。

次にやはり子供向けサプリの代表格「カルシウム」です。今の日本では給食に牛乳が出ますし、ご家庭の食卓にも牛乳や乳製品が並ぶのが日常です。そのため、基本的には成長にマイナスを及ぼすほどカルシウムが不足するというのは考えにくいです。

ただし、カルシウムは吸収率が非常に悪いことで知られています。それを助け、吸収率を上げてくれるのがビタミンDです。

ビタミンDは日光に当たることで体内で生成されます。そのため冬場、日照時間が少ない北国では、ビタミンDが不足してしまうということが日本でもありました。

また日本の成人女性はビタミンDの摂取量が足りていないと言われています。その場合には、カルシウムではなく、ビタミンDをサプリで補ってあげることは有効です。(ちなみにビタミンDはしいたけなどのキノコ類に多く含まれています。特に干ししいたけは、ビタミンDが豊富です。特に女性は、普段から積極的にキノコ類を摂れるとよいですね。)

また今ではワクチン接種が進んでいるため、子どもが感染することはほとんどありませんが、はしかはビタミンAが足りていないと重症化します。そのため、かつてはビタミンAのシロップを子どもに飲ませていたということもありました。

ビタミンA、Dは脂溶性のため、過剰摂取をすると身体に害があります。またカルシウムや鉄分も摂りすぎは良くありません。しかし、過剰にならなければ問題なく、定められた使用量を守っていれば悪いことはありません。

子供向けサプリには絶大な効果がある…とは言えませんが、摂取することに問題はありません。

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新型コロナウイルスの治療薬の現状【内科】

新型コロナウイルスが5類に変更されるまで、あと1ヵ月程度となりました。マスクについても個人の判断ということになり、徐々に日常をコロナ前に戻していくという流れが強くなっています。
その中で新型コロナの治療薬についての現状をご紹介してみたいと思います。

現在日本でスタンダードに使われているのが「ラゲブリオ」と「パキロビッド」の2つです。

どちらもウイルスの増殖を抑える経口薬で、原則成人(妊婦さんを除く)かつ、高齢者や内臓疾患など重症化リスク因子をもつ、軽症~中等症の患者さんが対象です。

どちらも重症化リスクを下げる効果が認められていますが、ラゲブリオはそれほど大きな効果はなく、パキロビッドの方が、効果は高いと言われています。ただしパキロビッドは、他の薬との併用禁忌が多く、慢性的な疾患を抱え服薬している場合には使用できないケースもあります。

また塩野義製薬のゾコーバも認可されましたが、こちらは重症化リスクを下げる効果は認められておらず、発症日数を1日減らすという程度の効果しかない(むしろそれすらも怪しい)薬なので、はらこどもクリニックでは、積極的に使用することはありません。

どの薬もかなり高価なため、5類変更で保険治療になった場合、3割負担でも薬代はかなり高額になります。特にゾコーバとパキロビッドは高いので、どうなっていくのか読めない状況です。

またどの薬も12歳以下には治験が行われておらず、使用することはできません。(12歳以下には唯一レムデシベルが使用できますが、主に重症患者向けの点滴薬のため、クリニックでの使用は現実的ではありません。)

総じて「治療」という意味では、ゲームチェンジャー的な薬は残念ながらまだありません。ワクチンを定期的に接種しつつ、できる範囲で、感染予防対策を続けていただければと思います。

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新型コロナ2類→5類、何が変わるのか?

今までは2類相当とされていた新型コロナ感染症が、インフルエンザなどと同じ5類相当に変更されそうです。そうなった時、患者さんにとって何が変わるのか? まず、はらこどもクリニックの場合を色々と書いてみたいと思います。

一番大きな違いとしては、診療費用が無料ではなくなります。5類になると健康保険診療の対象になりますので、高校1年生以上は3割負担となります。中学生以下のお子さんについては、助成があるので無料のままです。

また、場合によっては検査をこれまでのように積極的にはできなくなる可能性はあります。保険診療の場合、診察内容にチェックがかかり、制限が出てくる可能性があるからです。
例えば、PCR、抗原検査の両方は通しませんというようなケースは出てくるかもしれません。自治体によってバラつきもあるため、これは実際に運用段階になってみないと分かりません。

はらこどもクリニックでは、きちんとゾ-ニングされた発熱外来もあり、これまでも新型コロナの診察をしてきましたので、それ以外で大きく変わる点は無いかと思われます。

次に、これまで新型コロナを診察してこなかった医療機関の場合です。5類になることで、どこでも診察できるようになると言われていますが、現実にはそうならない可能性が高いでしょう。感染症患者さんをゾーニングして隔離できない医療機関では、既存の患者さんに感染するリスクがある以上は受け入れることは難しいでしょう。

新潟県では、5類移行後の方向性として、「全ての医療機関で新型コロナウイルスへの感染やその疑いを理由に入院・受診を断らない」という方向性が県主導で確認されたようです。
このように行政側が主体的に行動を起こせば変わるかもしれませんが、どこまで強制力を持たせられるのか、もし無理やり診察させてクラスターが発生した場合はどうするのかなど、実際の運用については難しいことも多いと思われます。

またこれまでの2類相当では、発熱外来の診療単価が高く設定されていました。新型コロナ以外の患者さんを診ることがしにくくなる、隔離ゾーン・減圧室・感染を防ぐ防護服などの設備・装備が必要であるなど、他の感染症よりも診察に手間やお金がかかってしまうからです。

今後は診療単価が下がるため、これまで新型コロナを診てきた医療機関の中には、診察をやめるところが出てくるかもしれません。

5類になると感染者や濃厚接触者の隔離はなくなります。これまで厳しく制限してきたものを一気に無くしてしまうのか、条件付きになるのか、国の方向性をみていく必要性があるでしょう。

そしてもうひとつ重要なのが、学校においての扱いです。学校では感染を放置すると流行が広まってしまう可能性がある感染症について、学校感染症として、出席停止の期間を設けています。例えばインフルエンザであれば、発症後5日かつ解熱後2日もしくは3日経過するまでとされています。

感染をある程度おさめつつ、社会を正常化していくには、様々な問題が出てくると思われます。2類、5類という括りにこだわらず、柔軟な対処ができるようになってほしいと願います。

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遅延型アレルギー【アレルギー科】

アレルギーの基本の型のひとつに「遅延型アレルギー」があります。

アレルゲンに対して反応する時間が遅い、アレルゲンと接触してから症状が出るまでのラグが大きいのが特徴です。

遅延型アレルギーを利用した分かりやすい例として、結核の検査に使用されるツベルクリン反応があります。ツベルクリン接種後、24~48時間で反応がピークとなり、接種部分が赤くなったり、硬くなるという皮膚反応が出ます。

テニスのトッププレーヤーであるジョコビッチ選手がグルテンの遅延型アレルギーで、陽性判明後、食生活をグルテンフリーにしたところ競技成績が急激に向上したという話もあります。

遅延型アレルギーは、通常のアレルギー反応の単に反応時間が遅いパターンというわけではありません。アレルギー反応が起こるメカニズム自体が違います。

抗原やアレルギー反応が起こる臓器によって症状は千差万別で、症状も全てが軽いわけでもありません。遅延型アレルギーかどうかの判断は非常に難しく、反応が起きた時に組織を取るなどして、きちんとした検査が必要です。

ちなみに健康診断で調べられる項目の中にIgG抗体があり、この数値によって遅延型アレルギーが測定できると言われていますが、これは世界中のアレルギー学会によって医学的に否定されています。日本アレルギー学会でもIgG抗体を遅延型アレルギーの検査指標として用いることに対して注意喚起を出しています。

今でも「IgG抗体 遅延型アレルギー」で検索をかけると、検査を実施している医療機関が出てきますが、参考にはなりませんので、注意してください。

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発熱した時、家庭でできる処置【内科・小児科】

新型コロナの流行で、発熱しても場合によっては医療機関ですぐに診察してもらえないような状況も出ています。そこで、発熱した時、家庭でできる処置について少し書いてみたいと思います。

まず熱があっても冷やすのはNGです。熱が出ている時の人間の身体の反応を見てみましょう。

ウイルスや細菌などの異物が体内に入ると、その反応として身体はサイトカインを出します。サイトカインは脳の体温中枢に作用し、体温のセットポイントを上げます。平熱が37℃であれば39℃になるように温度設定を上げるイメージですね。そうすると、身体はその体温になるように働きます。例えば、身体を震わせて体温を上げるといった働きです。

なぜこのような働きになるかというと、基本的にウイルスやバクテリアなどは、温度が高い方が増殖しにくい、かつ体温を上げることで免疫の働きが高くなるからだと言われています。体温を高く保っておいた方が、体の中に入った異物を退治しやすいのです。

このように脳と身体が体温をあげようとしている時に体を冷やせば、身体はさらに熱を出す方に働くので、逆効果になります。

熱が高くなってつらい場合は、身体を冷やすのではなく解熱剤を使いましょう。解熱剤は脳に作用し、体温のセットポイント自体を下げる効果があります。セットポイントが下がれば、体温を上げようとする働きは弱くなるので、熱が下がるという仕組みです。

さらにサイトカインは最低2つの働きを持っており、発熱サイトカインは免疫を高める効果も持っています。解熱剤は、体温を下げる働きをしても、免疫を抑える効果はないので、解熱剤を使用しても問題ないのです。

また体温が1℃上がるだけでカロリー消費は約12%大きくなると言われています。また汗をかくことで水分が失われるので、発熱時にはしっかりとカロリーと水分を摂るようにしてください。汗をかいたら衣類を着替えるのも大切です。

ちなみに風邪という身近で不思議な病気について書かれた「かぜの科学」という本があります。風邪について勉強になるだけではなく、雑学的な読み物としてもとても面白いので、興味のある方は是非読んでみてください。

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