予防接種」カテゴリーアーカイブ

新型コロナウイルスワクチン 4回目の効果について【内科】

5月末から新型コロナウイルスワクチンの4回目接種が始まっています。今回は全ての人が対象というわけではなく、60歳以上の高齢者や基礎疾患がある人などに限られています。

これは3回目接種から短い間隔での4回目接種には、効果がそれほど期待できない可能性が、世界中の様々な研究から報告されていること、また今回のワクチン接種については、全て行政負担のため、財政的な問題もあるでしょう。

4回目接種の対象とされている人たちについては、そもそも免疫が上がりにくかったり、感染症が重症化しやすいリスクがある方たちですから、接種した方が良いでしょう。しかし、それ以外の人たちについては、もう少し間隔を空けて、しかるべき時期に4回目を接種する方が良いということになります。

ワクチンの効果を示す場合、メディアなどでは抗体値ばかりが取り上げられます。これはウイルスの活性を弱体化する抗体が、どのくらいできているかを表したものです。この抗体を作り出す免疫反応は「液性免疫」と言われるものです。液性免疫は数値化できるため、非常に分かりやすいのですが、人間の免疫には液性免疫だけではなく、「細胞性免疫」というものがあります。

細胞性免疫では、病原体やウイルスや細菌に感染した細胞を、体に害のある異物だと判断したT細胞群が直接攻撃します。こちらは数値化できないので、効果を表すのが難しいのです。

液性免疫がその特性上、発症予防に効果があるのに対し、細胞性免疫は重症化予防に大きな効果を発揮すると考えられています。新型コロナウイルスは頻繁に変異を繰り返すため、液性免疫のみで考えると、流行株が変わるたびに、異なるワクチンを接種しなければならない可能性が出てくる(インフルエンザワクチンがそうですね。)のに対し、細胞性免疫では、ある程度型が変わっても対応できる可能性が高いことが分かっています。

つまりワクチン接種から時間が経過し、仮に抗体値=液性免疫の能力が落ちてきたとしても、細胞性免疫がしっかりとアクティブに働いているならば、十分ウイルスに対抗しうる可能性が高いのです。

この細胞性免疫を誘導することができるのは、mRNAワクチン(ファイザー/モデルナ)とウイルスベクター(アストラゼネカ)となっています。

新たに認可されたノババックスワクチンは、組み換えタンパクワクチンですが、アジュバントの添加によって、細胞性免疫も誘導するということになっていますが、それがどこまで効果的に作用するかは未知数です。また今年中には認可されそうな塩野義のワクチンについても組み換えタンパクワクチンなので、こちらもまだ効果の程は分かりません。

組み換えタンパクワクチンは値段も安く、取り扱いが楽、副反応もmRNAワクチンに比べ少ないことが想定されるため、かなり人気が出そうとのことですが、(特に塩野義については純国産ということもあり、接種を待っている方も多いかもしれません)今のところ1回目、2回目については、高い効果を示すことが分かっているmRNAワクチンを接種し、細胞性免疫の働きを高める方が良いと思われます。

1、2回目の副反応が重く、3回目以降のmRNAワクチンの接種をためらっている方については、組み換えタンパクワクチンは良い選択肢になるかもしれません。

今後については、おそらく定期的にワクチン接種を行う方向になっていくのではなないかと思いますが、一般的にウイルスは冬の方が流行しますので、一般の成人にたいしては、タイミング的には秋口くらいから4回目接種ということもあるかもしれません。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

5~11歳の新型コロナウイルスワクチン接種についての見解

オミクロン株の流行で子どもたちにも感染が広がってきています。このような状況を受けて、5~11歳までの小児にもワクチン接種が開始されることになりました。

所沢市でも子どもの感染者数は増えていて、学級閉鎖や学年閉鎖も多くなっていますが、重症化したケースは決して多くありません。

ただし症状が軽い人が多いというだけで重症になる子もいます。これまでは罹患率が低いので、重症化する子どもは少なかったですが、罹患率が高い現在では、重症者は一定数出るでしょう。子どもに感染が広がってしまっている今の状況では、予防接種による感染抑制は重要だと考えます。

一部情報では症状がインフルエンザなみと言われていますが、実際のところ感染力がインフルエンザの比になりません。現在の状況ですと、子どもたちの間での感染は収まるのがなかなか難しく思われ、感染者が出ることで学校閉鎖・学級閉鎖になってしまいます。子どもたちから貴重な学校生活・文化生活を奪わないためにも、ワクチン接種は進めるべきだと考えています。

また、すでに所沢では、高齢者の重症患者さんが入院できなくなっています。特に同居などお年寄りと接する機会の多いお子さんの場合、接種を積極的に検討していただきたいと思います。

また子どもから大人に感染が広がっている状況ですと、子どもの感染を抑えないと子どもを保護する大人がコロナに感染することになり、結果として子どもを守ることができなくなると考えます。

心配されるのは副反応だと思いますが、子ども用のワクチンは大人の3分の1とされています。副反応はある程度抑えられるでしょうし、重篤な副反応と言われている心筋炎は少なくなっています。

ちなみに大人の3回目接種についてですが、1・2回目にファイザー製ワクチンを接種した方たちの中で、モデルナ製ワクチンを避ける動きがあるようですが、交互接種についてはむしろ抗体価が高まるという結果が出ていますので、効果の程は問題ありません。

多くの方が心配されている副反応については、モデルナのワクチンについては、3回目は1・2回目の半分の接種量になるので、ある程度抑えられると思われます。

オミクロン株については、命にかかわるほど重症化する人のほとんどが、高齢者や基礎疾患のある方たちです。ワクチンを選ばず、できるだけ早く3回目のブースター接種を受けるようにしてください。

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HPVワクチンの積極的推奨が再開されることになりました【小児科】

先日、2013年以降停止されていたHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの積極的推奨が再開されることが発表されました。まだ詳細は出ておりませんが、2022年度からではないかと思われます。

HPVワクチンは女子の定期接種(行政からの補助が出て接種費用は無料)となっており、小学校6年生~高校1年生にあたる年齢を対象に、全部で3回の接種を行います。

積極的推奨が控えられていた空白の8年の世代への救済措置として、無料で接種できるなどの保障が設けられる予定です。実費で既に接種している方については、どうなるか確定しておりません。

最近では地道な啓蒙活動の拡がりもあり、はらこどもクリニックの患者さんからもHPVワクチンに関する質問をよくいただくようになりました。よく質問されることについても、少しご紹介できればと思います。

まずこのワクチンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症を防ぐためのもので、その中で最も重要なのが「子宮頸がん」の発病を予防するということです。子宮頸がんは、HPV感染によって起こることがはっきりと分かっており、予防接種をすることで大きく発病を減らすことができます。

現在、定期接種では2価のサーバリックスと4価のガーダシルがありますが、そのどちらも約70%の子宮頸がんを防ぐことができると言われています。

なぜ接種の年代が思春期にあわせてたような形で設定されているかと言いますと、HPVは基本的に性交渉で感染するため、性交渉を行う前に予防接種をしておく必要があるからです。

感染後に接種した場合の効果は余り良く分かっておらず、感染しても早いうちにワクチンを接種すれば効果があるという説とそうではないという説がぶつかっている状態です。そのため空白の8年の世代へも保障があると書きましたが、既に大人になって性交渉をしている場合は、効果はあるのかどうか判断が難しい状況になっています。

また約90%の子宮頸がんを予防する効果があるといわれている9価のシルガードというワクチンも認可されていますが、こちらは現在任意接種のみの扱いになります。2023年度には、こちらも定期接種化がされそうではあるのですが、まだどうなるか分かりません。HPVワクチンは全部で3回接種の必要性があるため、3回目接種時に対象年齢から外れてしまう方は、9価ワクチンの認可を待たずに接種してしまった方が良いと思われます。

HPVワクチンは不活化ワクチンのため、接種に関する制限はほとんどありません。同時接種も可能なので、インフルエンザワクチンのついでに接種ということも可能です。

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今シーズンのインフルエンザについて【内科・小児科】

今シーズンインフルエンザが流行するかどうか、確定的な事は言えない状況ではありますが、これまでの流行のパターンを踏まえ、少し解説してみたいと思います。

日本でインフルエンザが流行する場合は、その前に南半球が冬の間に流行が見られるケースが多いです。今年はオーストラリアやニュージーランドでインフルエンザの流行が見られていません。また本州では比較的早めに感染者がみられる沖縄についても、流行の兆しが見られません。

やはり世界的に感染対策を行っていた影響が大きいと思われ、インフルエンザも感染が抑えられている可能性が高いです。

そのため、日本で流行が来るとしても、それほど早い時期ではなく、年明けなど遅い時期になるのではないかと推測しています。海外からの渡航制限がどの程度になるかも影響をおよぼしてくるでしょう。

新型コロナとインフルエンザの症状は似ていますが、インフルエンザの方が発症までが早く、症状が派手で短期間で悪くなる傾向にありますので、発症の状況をきちんとみていけば、判別は付くのではないかと思います。風邪症状があった場合には、症状の推移を医師にきちんとお話しいただくと、診察の助けになるかと思います。

今シーズンは、市場に出回っているインフルエンザのワクチンの数量が少ないため、接種希望の方でもすぐには接種が難しい可能性がありますが、上記のような理由から、それほど早めに接種をしなくても焦る必要はないと考えています。

インフルエンザのワクチン接種については、インターネットで予約ができますので、空き状況を見て接予約を入れていただければ幸いです。

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子どもが新型コロナに感染してしまったら【小児科・内科】

第5波もようやく収まり、少し穏やかな日々が戻ってきました。

但し、ワクチン接種もかなり進んできている状況で、波の高さがどのくらいになるかは分かりませんが、第6波は来るだろうと予測されています。

冬を迎え感染症が広がりやすくなる中で怖いのは、ワクチンを接種していない子どもたちの間での感染の拡大です。幼稚園、学校での集団生活で子どもが感染するケースが増える可能性があります。

子どもが感染しても重症化するケースはほとんどないので、そこについてはそれほど心配する必要はないかもしれません。しかし、子どもから親に感染するケースには十分注意する必要があります。

小さなお子さんが新型コロナに感染した場合、親ごさんが看病しないわけにはいきません。特に日本の場合は、ママさんが看病するケースが多くなると思いますので、ママさんが発病してしまった時は一番大変です。

検査で陽性になった家族全員が療養施設に収容されれば良いですが、今回の第5波でみなさんもご覧になった通り、医療体制がひっ迫するとそれもままならない状態になります。
他の感染症でもそうですが、子どもが感染症を持ってきた場合、看病する親が感染せずに生活するというのはなかなか難しいことです。

日本環境感染学会でも家庭内感染を防ぐためのガイドラインを出していますが、それをできるだけ守って生活するとしても、大人ならともかく、小さなお子さんの場合は、接触を避けるというのは難しいでしょう。

また家族は濃厚接触者になりますから、患者さんの症状が治まってから2週間隔離期間となります。テレワークが進んでいるとはいえ、仕事を抱える立場ではかなり厳しい状態になります。

生活そのものも隔離となると非常に難しくなります。家族全員が隔離となれば、食料品の買い物もできなくなりますから、ネットスーパーや、ウーバーイーツなどの置き配などでしのがなければならなくなります。1日2日ならまだしも2週間以上はかなりきついですね。最悪なのは、この状態で親御さんが重症化するケースです。

このようなことを防ぐには、現状ワクチンを接種することしかありません。幸いファイザーやモデルナのmRNAワクチンは、変異株に対しても高い重症予防効果があることが分かっています。まだワクチンを接種していない方は、状況が落ち着いている今のうちに接種をお願い致します。

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12歳以上の中高生も新型コロナウイルスワクチンを接種した方が良いのか?【内科・小児科】

日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、かなり高い水準になってきました。高齢者については、希望される方のほとんどで接種が完了したようで、これからは若い年代の方への接種が進んでいくはずです。

その中で12歳以上の中高生の年代がワクチンを接種すべきかどうかというテーマがあります。結論から言いますと、その年代もワクチンを接種した方が良いと考えています。

子どもたちの学校生活の中では、どんなにきちんと感染対策をしても、密を避けることが難しい状況が発生します。学校生活の中で、新型コロナが流行すれば、学級閉鎖や休校などの措置を取らざるをえなくなり、教育に支障が出てきます。また子どもたちの間で大流行すると、新たな変異を生む可能性が高くなります。

子どもが重症化するというケースは世界的にみても少ないのですが、変異株へ置き換わったことで、所沢でも入院となったケースも出てきていますし、子どもが原因で家庭内感染が起こり、親が重症化するというケースも多くなってくるでしょう。また社会全体で見ると、子どもの間で流行すると、タイミング的に抗体価が落ちてきた高齢者に感染するというリスクも出てきます。

心配なのは副反応だと思います。海外では若い世代での治験も行われていますので、参考として、その結果をご紹介したいと思います。

12歳~25歳までの約1000人にワクチンと偽薬プラセボ(生理食塩水)の接種を行ったところ、副反応はプラセボ群40%、ワクチン接種群70%に起こったということです。主な副反応は頭痛や倦怠感で、解熱剤が必要な発熱は2~6%というデータが出ています。

興味深いのはプラセボ群にも4割もの副反応が見られることです。これはワクチン接種をしたという心理的要素が身体の不調を引き起こしている可能性を示唆しています。日本では、他国よりも副反応が多いという報道もありましたが、メディアなどでいたずらに副反応の恐怖を煽ることで、ワクチンを接種した人たちに、ネガティブな心理的なバイアスがかかってしまっていることも原因なのかもしれません。

また16~25歳のグループより、12~15歳のグループの方が抗体価の上昇が良いというデータが出ていますので、中学生年代への接種は効果が高そうです。

所沢市では、12歳以上のワクチン接種については予約が始まっておりますので、接種を前向きに検討してみてください。

はらこどもクリニックでも接種を行っています。新型コロナウイルスのワクチン接種については、ワクチン確保の都合上、自治体経由での予約となります。クリニックに直接ご連絡いただいても対応しかねますので、ご注意ください。

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迷走神経反射【内科・小児科】

日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種がかなり進んでいます。ワクチンの副反応とは別に、注射を打つ時に気を付けなければならないのが「迷走神経反射」です。

人間には内臓の動きをコントロールする自律神経があり、自律神経の中には「交感神経」と「副交感神経」があります。人間がアクティブに起きている時には、通常身体活動を活発化させる「交感神経」が強く働いています。

しかし、過緊張になると身体の自律神経のバランスが変わり、交感神経→副交感神経にスイッチが切り替わってしまう場合があります。この状態が「迷走神経反射」です。

症状としては、気分が悪くなったり、ひどい場合は急に意識が無くなって倒れてしまったり、椅子から転げ落ちてしまったりがあります。これはワクチンの副反応ではなく、ワクチン接種、注射に対する恐怖や緊張から引き起こされるものなのです。

はらこどもクリニックでも過去に1例だけ「迷走神経反射」を起こした患者さんがおられました。過去ツベルクリン反応の注射で倒れた経験があったそうで、その記憶がフラッシュバックして、気分が悪くなったというものです。

迷走神経反射自体は、過緊張などからくるものですから、基本的にはなるべくリラックスして接種を受けるということにつきます。新型コロナウイルスの場合は薬液の量も少なく、注射の針も小さいものです。また肩に接種なので、針が刺さるところを見なくて済むなどの心理的要素もあり、比較的迷走神経反射は起こりにくいと考えています。

しかし万が一迷走神経反射が起きてしまった時倒れてけがをしてしまう可能性があるので、基本的には座った状態で、注射前後で気分が悪くなったら、ベッドに横になるなどして、気分を落ち着けます。落ち着いてくれば症状は治まりますので、何かあったら遠慮なく医師や看護師に声をかけてください。

ちなみに迷走神経反射は、体質ではなく誰にでも起こり得ます。ワクチン接種よりも採血時の方が血を見ることになるので、起こりやすいです。原院長は、輸血の交差反応の検査に使用する2ccの採血で倒れる男性を何人も見てきたそうです。

まだ接種をされていない方は、ワクチン接種を過度に恐れず、なるべくリラックスして受診するようにしてください。

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アレルギー持ちの人のワクチン接種について【内科】

ワクチン接種の際にアナフィラキシーという大きな症状を引き起こす可能性があるのがアレルギー反応です。可能性はごく低いのですが、こればかりは接種してみないと分からないことが多く、100%大丈夫とは言い切れません。

現状、新型コロナウイルスのワクチンについて、日本でアナフィラキシーの発生件数が増えたという報告はありませんので、基本的には何らかのアレルギーをお持ちの方でも、ワクチン接種に問題はありません。

ただしポリエチレングリコールに対しアレルギーがある人は、アナフィラキシーを起こす可能性が高いです。

ですが、ポリエチレングリコールは、歯磨き粉、化粧品、薬のカプセルなど、日常生活の様々なものに使われているので、アレルギーをお持ちの方は、既に何らかのアレルギー症状を起こした経験がある可能性が高く、ワクチン接種の現場で初めてポリエチレングリコールアレルギーが判明するケースはそれほどないはずです。

また接種前には、化粧品などでかぶれなどの症状を起こしたことが無いかなどを問診するので、基本的には、ワクチン接種によるアナフィラキシーが起こる可能性は低いと思われます。

アナフィラキシーは放っておいたら危険ですが、きちんと処置を行えば、重篤な症状を起こしたり、命を落とすことはありません。接種現場には医師がいて、きちんと対策をして接種を行っていますので、安心して接種を受けるようにしてください。

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はらこどもクリニックスタッフ 新型コロナウイルスワクチン接種について

はらこどもクリニックでは全てのスタッフが5月21日に新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を終えたことをご報告致します。

1回目接種後に抗体検査をした結果、全員に中和抗体があり、回復した軽症者の方より高いくらいの数値がありました。

2回目接種後では、拓麿副院長の抗体検査の結果、19000AU/ml以上の数値がありました。原院長が4700AU/mlを超えていました。

これはコロナウイルスに感染し、回復した患者さんに比べても、大幅に高い数値です。軽症の感染者の方の抗体値は個人差はあるものの数百AU/mlが多いようです。(スパイクタンパクのリボゾーム受容体ドメインのIgG抗体=中和抗体)。

この数値を見ても、ワクチンの効果がかなり高いことが分かります。

副反応については、原朋邦院長については、特に何もありませんでした。新井先生は接種した方の腕に少し痛みがあったのと軽いだるさはあったものの、1~2日で回復しています。拓麿副院長については、発熱はないものの強いだるさがありました。

看護師の中には発熱者が複数出ました。熱が高くなったケースもありましたが、1~2日で下がっています。基本的に重篤な副反応はなく、全員2日程度で回復しています。

副反応で発熱した場合には、アセトアミノフェン系の解熱剤を使用しても問題ありません。熱が辛い場合には、カロナールを処方してもらったり、市販の解熱剤を使用しても大丈夫です。

接種後は人によって痛みや発熱もありますので、お仕事が休みの日の前日に接種したり、もしくは接種の次の日は休みにしてもらうなどの対策を取った方が良いかと思います。

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mRNAワクチンの有効性が高い理由【内科】

 

現在、世界中で様々な新型コロナウイルスのワクチンが出回っています。日本で使用されているのはファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンです。この2つのワクチンは90%を超える高い有効率があり、他のワクチンに比べても、非常に有効性が高いことが分かっています。

ウイルスベクターワクチンであるアストラゼネカのワクチンは、有効率約75%、またシノバックの不活化ワクチンは50%程度という調査結果もあるようです。

こうして見ると、シノバックのワクチンは、効果が低いように思われますが、そもそも不活化ワクチン自体の有効率はそれほど高くありません。例えば私たちが毎年のように接種するインフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、有効率は50%程度だと言われています。

有効率とは、ワクチンを接種しなかった場合と接種した場合で、どのくらい発症者が減少したかの数字です。例えば100人の人がいてワクチンを接種しなかった場合、50人の人が感染症を発症したとします。対してワクチンを接種した場合、発症者は5人に減少しました。
発症者の数は50人→5人になり45人の減少です。ワクチンを接種していない時の発症人数を100%とし、割合に直すと発症者が100%→10%になり、90%減少したことになります。この減少の割合を有効率と言います。有効率50%の場合は、ワクチンを接種した場合でも100人中25人の人が発症する計算になります。

新型コロナのワクチンでmRNAワクチンの成績が良いのは、液性免疫だけではなく、細胞性免疫を誘導するからと考えられています。
液性免疫はウイルスのスパイクタンパクに対応する抗体を作り、ウイルスのスパイクを無効化し、細胞に取り付きにくくする免疫反応です。
対して細胞性免疫は、ヘルパーT細胞とキラーT細胞によって、ウイルスに感染した細胞をウイルスごと殺してしまうようなイメージです。液性免疫が反応の性質上、変異株に対して効果が低いのに比べ、細胞性免疫は変異株にも高い効果を示すことが分かってきています。

ウイルスベクターワクチンも細胞性免疫を誘導しますが、ベクターに対する免疫反応が起こるため効率が悪くなっている可能性があります。
不活化については、液性免疫のみの誘導になり、抗体増強反応を起こす可能性もあることから、今回の新型コロナウイルスに対しての効果は厳しいものがありそうです。また、ウイルスを無害化する時にタンパク質が変質しているほか、本来抗体を作るために必要なタンパク以外の、余計なタンパクも含まれているため、どうしても効果は弱くなってしまいます。

ただしmRNAワクチンは、RNAが物質として非常にもろいため、取り扱いに難があります。アストラゼネカのワクチンは、ファイザーやモデルナのワクチンに比べれば取り扱いは簡単で、1回接種で良いというメリットもあります。

また今後は日本のシオノギの組み換えタンパクワクチンも出てくる予定です。組み換えタンパクワクチンは既にB型肝炎ワクチンなどで実用化されており、取り扱いも難しくなく、コストも安価です。

このように有効率だけではなく、ワクチンによって様々なメリット・デメリットがありますので、流行の状況を見ながら、適切にワクチン接種を進めていくべきでしょう。

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