糖尿病」カテゴリーアーカイブ

糖尿病の男女差

日本で糖尿病になる人の割合は、男性約20%、女性約10%程度だと言われています。こうみると男性の方が糖尿病になりやすいように見えますが、実際には性差というよりは、生活習慣の差が性差として現われていると考えて良いと思います。

男性の場合、お酒の席での食事が多かったり、仕事が忙しく食事の時間が不規則だったり、外食が多く、それほど食事の栄養バランスに気を付けていられないことが多かったりというのが影響していると想像されます。

実際に男性の3人に1人が肥満と言われていますから、生活習慣に問題のある人はかなり多いのでしょう。

実際に糖尿病になった後も、日本の男性の場合、食べる時間や食事内容が不規則になりがちで、仕事と糖尿病の治療の両立は難しいケースも多くみられます。

ちなみに高血圧には余り男女差はなく、若干男性の方が多い程度、コレステロールは女性の方が高い傾向にあります。女性は閉経期に入ると、ホルモンの関係でコレステロールが上がりやすくなります。そのため心筋梗塞などの病気が増える傾向にあります。

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〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

糖尿病とお酒

糖尿病になると様々な食事制限がついてしまうのは、なんとなくみなさんもご存じだと思います。では糖尿病になった場合、お酒は飲んでも大丈夫なのでしょうか?

結論から言うと、血糖値のコントロールができていなければ、飲酒はNGです。コントロールがきちんとできている場合は、適度な飲酒は許容される場合もあります。

飲酒する場合は、醸造酒(日本酒・ビールなど)は糖質があるので控えた方が良く、なるべく蒸留酒(焼酎・ウイスキーなど)にした方が良いです。ワインは醸造酒ですが、糖質は低めなので、まだよい方かもしれません。

ただし、糖尿病にとってはお酒そのものよりも、お酒のつまみの方が大きな問題です。飲酒時には、濃い味のものや油の多いものを食べてしまうことも多く、飲んだ時の食に気を付けなければいけません。例えばワカメなどの海藻類、キノコ類、納豆やお豆腐などの大豆製品をつまみに適量飲むのであれば、許容範囲でしょう。

またアルコールは肝臓やすい臓にダメージがあるので、こちらも問題になります。糖尿病の合併症で内臓にダメージがある時に飲酒は絶対にいけません。あくまで血糖のコントロールが効いて、症状が良くなっている時に適量が許容されるということですので、注意してください。

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糖尿病に一度なったら治らない?

糖尿病を発症すると、日常生活の中でも様々なリスクが出てきます。新型コロナウイルスが流行する中、感染症に対して非常に弱くなる、症状が重症化しやすくなるなどのニュースを見られた方も多いのではないでしょうか?

実際には病名としては診断されていなくても、糖尿病になってしまっている人や、予備軍となっている人も多く、国民病として定着してきてしまっています。

では糖尿病が1回発症してしまったら、治らないのでしょうか?厳密に言うと「完治」はしません。医学的に「完治」とは、病気の根源を無くして、完全に病気が取り去られた状態を言います。その意味では、糖尿病は完治はしません。

ですが「寛解(かんかい)」の状態には持っていけます。「寛解」とは、病気の症状が抑えられている状態を言います。再発などの可能性はありますが、寛解状態であれば、病気による異常や症状に悩まされることはありません。

いわゆる生活習慣病と言われる2型糖尿病については、インスリンがある程度出ていれば、血糖のコントロールはききます。重度でもきちんと治療を行い、生活習慣を改めれば、薬を飲まなくても問題ない状態にまで回復できます。

今はGLP1・SGLT2などの良い薬が使用されるようになっています。これまではインスリンを直接注射することで血糖値を下げるという治療法が主でした。ただし、インスリン治療は低血糖になってしまうリスクや、打ち忘れによるリスクが大きいことが問題になっていました。剤形が注射ということもあり、QOLを下げる要因ともなっていました。

GLP1は、血糖値が上がった時にインスリン分泌を増やすように働く薬のため、単独仕様であれば低血糖のリスクを抑えることができます。また、糖尿病によってダメージを受ける内臓を保護する作用もあり、糖尿病の合併症を抑える効果もあります。

SGLT2は尿と共に、体内の余分な糖分を排出する薬です。こちらはインスリンに関係なく、血糖を下げる効果があります。

どちらも経口薬の剤形があるため、服用しやすくQOLを下げることなく、糖尿病の治療が行える非常に画期的な薬となっています。

このような投薬治療と並行して、食事や運動習慣を改善、適正体重にすることで、糖尿病を寛解状態にすることができるのです。

とはいえ、糖尿病にはならないにこしたことはありません。2型糖尿病は基本的に生活習慣と遺伝的要素(糖尿病になりやすい遺伝傾向がある)に左右されるので、リスクが高いという方(運動習慣がない、甘いものをたくさん食べてしまう、近親者に糖尿病の患者さんがいるなど)は、アンチ糖尿病の生活を目指すようにしましょう。

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糖尿病の予防、若い時からできること

糖尿病と言うと年をある程度とってから罹る病気だというイメージがあるかもしれません。しかし、近年では、若い方でも発症する方が増えてきています。

また幼少期や若い頃の生活習慣が、大きく影響を与えることも分かっていますので、若いからと言って油断せず、気を付けておくことが大切です。

若い時からできることとしては、やはり「標準体重をできるだけ維持すること」です。運動をして筋肉をつけて、基礎代謝を上げておく。食事の時は、食べる順番を意識する。べジファーストで最後にご飯を食べれば血糖値の上がり方も緩やかになります。(懐石料理などはこの食べ方になっていて、非常に理にかなっていますね。)夜遅くに食べない、もし食べてしまっても寝るまでに時間を置くことも大切です。

人間年を取ると、必ず体重のコントロールが若い時のようにいかなくなる時がきます。そうなる年齢を少しでも遅らせること、もしその時がきてもなるべく体重の増え方を緩やかに抑えるためにも、普段から意識して食事や運動を行っていきましょう。

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糖尿病患者が夏に気を付けること

糖尿病の患者さんでも、きちんと血糖のコントロールができていれば、暑い夏だからといって何らかのリスクが上がるということはありません。ただし、水分補給には注意が必要です。

熱中症や脱水症状の予防にはスポーツドリンクが良いとよく言われますが、スポーツドリンクは糖分を多く含むものが少なくありません。暑いからといって飲み過ぎると、血糖値が上がってしまいます。スポーツドリンクは無糖のものを選ぶか、麦茶などのミネラル分を含むお茶を飲むようにしましょう。

またインスリンを携帯している方も注意が必要です。インスリンは温度で変性するので、夏の高温には弱いです。薬液が変色したり、透明タイプのものが白濁している場合は、使用するのはやめましょう。

概ね30℃以内であれば変性を防げるので、持ち歩く際には保冷バッグに保冷剤と一緒に入れるなどの対策をしてください。

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糖尿病と運動

緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ新型コロナウイルス感染予防のための生活様式でレジャーやスポーツが制限されたり、テレワークで自宅勤務になったりと、運動不足に陥りやすい状況になっています。特に糖尿病の方は、感染による重篤化リスクが高いということで、外出に人一倍気を付けている方も多いことと思われます。

それでいて食べる量は減らないということになると、糖尿病の症状の悪化はもちろん、糖尿病気味の方が一気に糖尿病へ…ということも考えられます。制限された生活の中ではありますが、適度な運動を心掛けるようにしましょう。

糖尿病には有酸素運動が効果的だと言われています。運動の強度としては、ウオーキングで言うとちょっと早歩きくらい、笑顔が崩れないくらいが良いです。

家でやれる運動としては、「踏み台昇降」など良いのではないでしょうか。階段を利用したり、マンションや平屋の方は、雑誌などを積み重ねガムテープなどで固定して適度な台を作れば、どこでも簡単にできます。

ジムに行けない自粛生活で、筋トレも流行っているようですが、筋トレは基本的に無酸素運動(運動中に呼吸をしないということではなく、短い時間に強い力を使う運動)です。肥満の解消には、継続的に弱い力で体脂肪を燃焼させる効果がある有酸素運動をするようにしましょう。

ちなみに尿酸値の高い方も、強い無酸素運動はNGです。無酸素運動は一時的に血中の尿酸値を上昇させることが分かっています。

自分の身体の状態にあった、適度な運動をするようにしてくださいね。

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糖尿病の症状にいち早く気付くには

糖尿病に罹ると、感染症に非常に弱くなるということを以前当ブログでも紹介しました。感染症に罹りやすくなったら注意が必要です。また、大人が通常罹らないような珍しい感染症の場合、糖尿病を疑って、スクリーニング検査をします。

では、糖尿病の症状で、他の病気と同じような症状が出ることがあるのでしょうか。結論から言うと、糖尿病は、初期では自覚症状が出にくいため、これといった症状で気付くことは難しいと言えます。自覚症状(喉の渇き、多汗、手足のしびれなど)が出る頃には、症状がかなり進行した状態になっていることが多いのです。

糖尿病を早期発見するには、尿糖、血糖の数値が重要な指針となります。これから会社などでの健診の季節だと思いますから、検査結果を適当に流さず、自分の数値をしっかりと確認しましょう。

糖尿病は様々な合併症を伴う全身病です。糖尿病で悪くならない臓器はないと言えます。とにかく悪化させないことが重要です。怪しいなと思ったら、早めに診断を受けて、血糖をしっかりとコントロールしましょう。

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「油」といっても多種多様 食べてもいい油って?

一般的に油は身体に悪いものとされています。しかし、中には積極的に摂取した方が良い油もあります。その代表的なものが「オメガ3脂肪酸」です。

魚(特に青魚)、エゴマ、クルミ、アマニ油などに多く含まれる成分で、動脈硬化などの血管系の疾患を予防する効果があるといわれています。魚を多く食べるエスキモーの人たちや、九十九里地域の女性は、心筋梗塞の割合が一般よりも低いというデータもあるそうです。

ただ摂り過ぎもいけません。目安の量としては、1日小さじのスプーン1杯くらい。男性で2.0~2.4g、女性で1.6~2.0g程度の摂取で良いと言われています。

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日常に潜む低血糖・高血糖

糖尿病は血中のブドウ糖を細胞に取り込むことができず、高血糖の状態が続いてしまう病気です。

糖尿病の予防には、血糖値をきちんとコントロールすることが大切です。極端な血糖値の上下動は、糖尿病のリスクを高め、動脈硬化の進行を早めると言われています。

私たちの身体は、食事後身体にブドウ糖が吸収されると、インスリンを分泌して血糖値を下げます。しかし、肥満などでインスリンの感受性が悪くなると、インスリンが分泌されても十分な効果が発揮できなくなります。蓄積された内臓脂肪から、インスリンの働きを妨害する物質が分泌されるようになってしまうのです。

また、インスリンの分泌パターンがおかしくなってしまう場合もあります。ご飯を食べた後にきちんとインスリンが分泌されず、血糖値が落ちてきた頃分泌され、低血糖になってしまうというケースもあります。

いずれにせよ、このようにインスリンの分泌がうまくいかなかったり、効きが悪くなることを「耐糖能低下」と言います。太るとこの状態になりやすく、糖尿病にならなくても、これだけで動脈硬化が進んでしまうのです。

食事による血糖値の急激な上昇を抑える方法のひとつに「ベジファースト」という食べ方があります。食事の最初に野菜をしっかりと食べるという食事法です。糖尿病予防の中で、比較的やりやすい方法だと思いますので、是非試してください。

ちなみに糖尿病とは関係ありませんが、小さいお子さんの場合、まれに低血糖の症状を起こすことがあります。私たちの身体は、糖分をグリコーゲンに変えて、肝臓に貯蔵しておくことができます。エネルギーが不足すると、グリコーゲンを糖に再び変えてそれを補う「糖新生」という働きがあります。

6歳未満のお子さんは、この「糖新生」の機能が弱いのです。例えば、夜食べないで寝てしまい、翌朝ぐったりしている時などは、低血糖になっている可能性があります。こういう時はチョコレートなどを食べさせると、元気が戻る場合があります。

また、今糖質ダイエットが流行していますが、上記の理由から低血糖に陥る可能性があるため、この時期のお子さんには危険です。もし肥満のお子さんを痩せさせたいと思っても、糖質ダイエットは止めて、きちんと運動させるなどのやり方にしてくださいね。

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糖尿のリスクを減らす脂肪酸

「脂肪」というと身体に良くないイメージがありますね。しかし近年、研究の結果、身体に良い脂肪もあることが分かってきました。動脈硬化になりやすいかどうかが、血中の様々な「脂肪酸」の数値と関連していることが分かったのです。「脂肪酸」とは、脂肪に含まれる成分のことで、食品の脂肪のほとんどはこの「脂肪酸」でできているそうです。

具体的には「脂肪酸4分画」という検査があります。血中の脂肪酸の割合を調べる検査で、これによってAA(アラキドン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)という各種脂肪酸の数値を出すことができます。このうちAAは、植物性脂肪やお肉に含まれる動物性脂肪由来の脂肪酸で、この割合が高いと動脈硬化になりやすく、EPA、DHAの割合が高いと動脈硬化になりにくいということが分かったのです。

EPA やDHAはサバやイワシなどの青魚、サケなどに多く含まれる成分です。よく青魚は健康に良いと言われますが、この脂肪酸がポイントです。ではどのくらいの量をとればいいかということですが、1日に食べる量の目安として100~150gと言われています。アジやイワシなら中くらいのサイズを1尾、サバやサケなら1切れくらいです。

ご自身の食生活をちょっと振り返ってみてください。毎日お魚食べられていますか?100gというとそれほど多いようには聞えませんが、実際毎日魚を1尾、もしくは1切れ食べるのは結構大変です。

またナッツ類に含まれる脂肪酸も身体に良いと言われています。ナッツ類の摂取量の目安は、1日20~25g、これは手のひらに軽く一杯くらいの量です。・・・これも意外と食べられませんね。逆にナッツを好きな人は、少し足りないくらいの量かもしれません。ただしナッツ類はカロリーも高いため、食べすぎには注意しましょう。

食事が欧米化して、お肉をよく食べるようになった現代の食生活では、なかなか魚を毎日食べるのは難しいかもしれません。普段から意識してすることが大事になってきますね。

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