月別アーカイブ: 2020年7月

[小児科]夏に感染しやすい子どもの感染症、新型コロナ感染との比較

夏の感染症を引き起こす代表的なものに「エンテロウイルス」があります。エンテロウイルスは腸管で増殖するウイルスの総称で、たくさんの種類があります。発熱などの風邪の諸症状はもちろん、ヘルパンギーナ、手足口病、発疹などなど種類によって出る症状は多種多様で、ひとつの型に感染して免疫ができても、他の型には感染してしまうため、1シーズンに何度も感染するケースもあります。

暑くなってくると集団生活の中で感染が増え始め、7月後半に多くなります。例年であれば、このタイミングで夏休みに入るため、一旦感染の拡大は収束する傾向にあるのですが、今年は夏休みが短くなっているため、例年よりも長い期間にわたって流行するのではないかと予想しています。

そしてもうひとつが「アデノウイルス」です。代表的な症状として咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こします。結膜炎、のどの痛み、発熱が主な症状となります。

ただしこちらのウイルスも非常に型が多く、変異が早いことで知られています。3年前は50種類程度だったものが、現在では80種類以上の型があることが分かっています。そのためアデノウイルスが引き起こす症状も多種多様で、百日咳のようなひどい咳や下痢になることもあります。また型が多いので、お子さんだけではなく、大人がかかってしまうケースも多くみられます。

エンテロウイルスとアデノウイルスは総じて熱が高くなることが多いですが、新型コロナウイルス感染症では、子どもの場合、最初は熱が出ることが少ないようです。季節的にはコロナウイルスよりもアデノウイルスの方がよほど流行しますので、お子さんが熱を出したからといってパニックにならず、きちんと医療機関で診てもらいましょう。発熱などの症状がある場合には、必ずそのことを伝え、各医療機関からの指示に沿って通院してください。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
診療時間 午前 8:40〜12:00  午後 15:00〜18:00
受付時間 平日 8:30〜18:00  土曜日 8:30〜12:00
休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)

[はらはら通信より転載]お知らせいろいろ

今回は先日配信されたはらはら通信より転載の記事となります。
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今年は長い梅雨でうっとおしい日々が続き、あちこちで大水が発生しています。新型コロナウイルス感染症の流行で保育園から大学までお休みが続き、子ども達の生活も随分変わりました。集団生活が無いと子ども達が風邪をひいたりしないのは実感されたことと思います。
集団が形成された今、子ども達の間に感染症が小流行を起こしているのも昨今の傾向です。と共に、新型コロナウイルス感染者も増加してきました。高齢者が出不精になり、若い人の感染が目立つようになりました。若い人は軽症が多いこともあり死亡者や重症者の数が少ないことは怖さは減じられているものの、その分、対策がルーズになる可能性もあります。そのことが患者発生数増加にもつながります。ご用心ください。

●当クリニックの対応
予防接種、健診などは、健康外来で行っていますので受付、診療いずれも患者さんと動線が重なることはありません。発熱やコロナウイルス感染を疑う人は、感染待合で対応します。一般外来は、それ以外の方に対応しています。
旧クリニックから移転をする時に感染症への対応を考えてアクセスの場を3つに分けていますので患者さんや利用者の方にもご理解いただきご利用ください。感染待合が混むとお待たせすることになりますが、安全性優先でお願いしています。

●ネットを利用しての外来を準備しています。
利用する会社も決まり、目下準備中です。8月から可能かと考えています。支払いをおいでにならないで済ますために、カードでのお支払いを利用しますので、患者さん側にもご準備を頂くこともあります。また、薬剤をどこで受けたられるかなどもあります。
いわば通信網を使いますので、別にご利用代金を負担して頂くことにもなります。詳細は準備整い次第お知らせいたします。

●4か月健診、BCGが個別になっています。
どちらも月曜日と金曜日に行っています。4か月健診と予防接種BCGと他のワクチンの同時接種も行っています。市役所から案内が届きましたら、ご予約ください。

●夏季休暇を8月にとらせて頂きます。
8月11日が山の日になり、11日から15日までをお休みにさせていただいていました。今年はオリンピック・パラリンピックの予定で山の日が変更になってしまいましたが、11日から15日までお休みさせて頂きます。
予防接種もお休みですので、7月の次の予定が若干の方で少しずれることになりますがご容赦ください。

●新型コロナウイルスに関した情報はブログなどを見てください。
ホームページから、ブログ、フェイスブック、ワクチン広場をみてください。発信いたしております。もし、ご質問あれば、原朋邦宛にメールを頂ければ、ご返事いたします。to.hara@nifty.com宛にメールを送り下さい。

●健診で指摘された方はご相談ください。
例年よりも、保育園、幼稚園、学校での定期健康審査が遅れて行われています。夫々で問題を指摘されましたら、その用紙をお持ちになり受診なさってください。適宜、対応させて頂きます。

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ウイルスと薬 その2[内科]

ウイルスと薬についてのお話の続きです。今回はウイルスとワクチンについて書いてみます。

ウイルスは増殖するとき、宿主の細胞増殖の機能を利用して、自分の遺伝子であるRNAをどんどんコピーしていきます。この時、約3%の割合で何らかの変異があると言われています。ウイルス感染症では、体内に何百万個ものウイルスがいる状態になります。わずか3%の変異率でも、母数が多いので、変異したウイルスが登場する可能性が非常に高いのです。さらに多くの人に感染が広がればなおさらです。このようにウイルスはめまぐるしく変異を繰り返すため、ワクチンができても有効な効果を得にくい場合があるのです。

また、報道番組やワイドショーなどでは、抗体ができていれば、コロナウイルスに罹りにくい、症状が出ないというような論調もありますが、これは正しくありません。

新型コロナウイルスの感染では、ウイルス感染が引き金となって自己免疫系が自分の血管や臓器を攻撃することによって、血管系の疾患や多臓器不全などの重い症状が起こるということが分かってきています。この場合、むしろ抗体がある方が、症状が重篤化する可能性があります。(サイトカインストーム、ADE。)

例えばデング熱は、4つの型があり、ある型に感染し抗体ができると、次に別の型に感染した場合、重篤化する可能性が高いことが分かっています。またネココロナウイルスでは、ウイルスに抗体をもった猫が、同じウイルスに感染すると重篤化することがあるそうです。

実は単純に「接種したときに抗体を作る」だけのワクチンであれば簡単に作れます。不活化や弱毒化したウイルスを体内に入れれば抗体自体はできるからです。ただし、その抗体が正しくウイルスの抑制に働くかどうかは、きちんと検証を積み重ねなければ分からないのです。

同じくコロナウイルスが原因のSARS、MERSでは、ワクチンはできていません。上に書いた変異や抗体・免疫の問題で、有効なワクチンが作れなかったのです。ウイルスに対するワクチンの開発は、とても難しいのです。

アメリカでは早ければ年内にワクチンが接種できるという報道もありましたが、これがどこまで有効なのかは、実際に接種してみないと分からない部分がかなりあると思います。

しばらくはこのウイルスとうまく付き合いながら、感染を押しとどめていくしかありません。3密を避ける、手洗いをする、マスクを上手に使うなどの対策をきちんととって、なるべく感染しない、させないようにしていきましょう。

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BCG接種 4か月健診の実施について[小児科]

現在一時的に集団→個別に変更されている「BCG接種」と「4か月健診」について、はらこどもクリニックでの実施についてのご紹介です。
まず「BCG接種」、「4か月健診」のどちらも月・金のみとなっております。
予防接種と乳幼児健診については、発熱やその他疾患の患者さんとは隔離ゾーニングされた「健康外来」での診察となりますので、安心してご来院ください。

■BCG接種
BCG接種は、結核の予防接種です。
通常は接種後、10日頃から1~2か月で接種部分が赤くなり、強い反応が出てくるのですが、既に(過去を含め)結核に感染していた場合、接種後、それよりも早めに接種部が赤くなって強い反応を示す場合があります。これを「コッホ現象」と言います。

コッホ現象が出た場合、なるべく速やかにツベルクリン反応(ツベルクリン液を入れる注射です)をし、注射部位の反応を確認、結核感染の疑いを特定する必要があります。乳幼児が結核菌に感染すると、重篤な疾患につながる可能性があるので、きちんと検査しなければならないからです。

ただし、BCG接種については、基本的に集団接種だったことから扱った経験が少ない医師が多いのが実情です。いわゆるハンコ注射と呼ばれるもので、他の予防接種とは別物だからです。
また、医療機関によってはツベルクリン反応の薬剤を常備していることが少なく、その場でツベルクリン反応をできないところもあります。子どもの場合、ツベルクリン反応の感度が良いので、コッホ現象が認められたら、本来はすぐにやらなければなりません。

そもそも現代では結核自体が非常に珍しい病気となっていて、特に小児結核で入院できる病院は全国でわずか5つしかありません(2020年6月現在)。そのため実際に結核を診たことのある医師は非常に少ないのです。

はらこどもクリニックでは、原拓麿副院長が、厚労省の小児結核の班会議のメンバーを3年間務めた経験があり、小児のBCG接種及びツベルクリン反応について、きちんと診察することが出来ます。
BCG接種の場合、このようにコッホ現象の有無等を含め、他の予防接種よりも経過観察に時間がかかるため、他の予防接種とは分けての実施となります。月・金以外での接種はできませんので注意してください。

同時接種については、BCG接種時に他のワクチン接種は可能です。集団接種のスケジュールに縛られることがありませんので、ワクチン全体スケジュールとしては、立てやすくなるかと思います。
(ちなみに大人で結核感染の疑いがあった場合は、ツベルクリン反応ではなく、採血をしてインターフェロンγ遊離試験という方法で結核感染の特定を行うことが主流となっています。)

■4か月健診
4か月健診では、問診、身体測定、発育・発達の確認、栄養状態の確認、精巣や外性器の異常の診断などを行います。所沢市より、空間的に他の診察とは隔離するように指示が出ているため、他の診察を行っていない月・金のみでの実施となります。

本来、乳幼児健診の中で、4か月健診は行政が直接実施する健診です。そのため医師だけではなく、保健師、心理士、栄養士など様々な職種の人間が参加して行います。これは、子どもだけではなく、お母さんの心身の健康状態を守るために非常に重要なことなのです。

子どもの異常や疾患については、それよりも前の乳幼児健診で見つかることも多く、4か月健診で初めて見つかるというケースはそれほど多くありません。しかし、ご家族の問題、お母さんの育児不安、虐待の有無、産後うつ等の問題については、この4か月健診で心理士さんの問診などを通じてピックアップできることが多いのです。極端な話、医師は要らない…とまでは言いませんが、他に重点を置いている大切な検診のひとつです。

そのため、行政としてもなるべく早く集団健診に戻したいのではないかと思っていますし、本来そうあるべきだと思います。
子育ては、特にお母さんにとても負担がかかってしまうのが現実です。何か気になること、不安に思うことがあれば、遠慮なく、健診時、診察時に相談してください。

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ウイルスと薬 その1[内科]

いまだ世界的には、猛威をふるい続けている新型コロナウイルス。ワクチンや治療薬の開発に、世界中の様々な会社がチャレンジしています。
感染症を引き起こす原因が細菌の場合、抗菌薬という特効薬になりうる薬がありますが、ウイルスの場合、薬こそたくさんあるものの特効薬と呼べるものはありません。

そもそもウイルス感染症とはどういったものなのでしょうか。

ウイルスは、人間をはじめとした生物のように自分で細胞を増殖して増えていくことが出来ません。他の生物の生きた細胞の中に入り、その生物の細胞増殖の機能を利用して増殖します。
そして、ウイルスはある程度増えると、細胞の中から出て、他の細胞に感染し、また増えて、というのを繰り返し、体内でどんどん増えていくわけです。その過程で人間の細胞が異常をきたし、様々な悪い症状が起こるのです。

抗ウイルス薬は基本的に、このウイルス増殖の過程のどこかに作用し、増殖を阻害するというものになります。つまりウイルスを殺す、不活化するのではなく、あくまで体内で大幅に増えることを防ぐという種類の薬になります。
そのため、抗ウイルス薬は感染の早い時期に投与することが重要で、症状が重くなってから抗ウイルス薬を投与したからといって、劇的に症状が改善することはなかなか考えにくいのです。

現在、新型コロナの治療薬としてレムデシビルが承認され、アビガンも今後承認がされそうな流れになっています。特効薬のような報道のされ方をしていることもありますが、現実的には、そこまでの効果は期待できないでしょう。

長くなってしまったので今回はこのあたりで、次回はウイルスとワクチンについて書いてみたいと思います。

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糖尿病患者が夏に気を付けること

糖尿病の患者さんでも、きちんと血糖のコントロールができていれば、暑い夏だからといって何らかのリスクが上がるということはありません。ただし、水分補給には注意が必要です。

熱中症や脱水症状の予防にはスポーツドリンクが良いとよく言われますが、スポーツドリンクは糖分を多く含むものが少なくありません。暑いからといって飲み過ぎると、血糖値が上がってしまいます。スポーツドリンクは無糖のものを選ぶか、麦茶などのミネラル分を含むお茶を飲むようにしましょう。

またインスリンを携帯している方も注意が必要です。インスリンは温度で変性するので、夏の高温には弱いです。薬液が変色したり、透明タイプのものが白濁している場合は、使用するのはやめましょう。

概ね30℃以内であれば変性を防げるので、持ち歩く際には保冷バッグに保冷剤と一緒に入れるなどの対策をしてください。

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