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スギ花粉の免疫療法 新規開始について【アレルギー科】

スギ花粉の免疫療法につきまして、ヒノキ花粉のシーズンが終わる6月から新規の治療を開始したいと思います。(免疫療法の詳細については、こちらの記事をご覧ください)

免疫療法には、定期的に通院して注射を行う皮下免疫療法と、患者さんご自身で毎日1回薬を服用する舌下免疫療法がありますが、基本的には舌下免疫療法で治療を行っています。

舌下免疫療法の治療の流れについてご説明すると
①まず最初に採血をし、アレルギー検査を行います。
②初回の薬の服用については、アナフィラキシーの可能性がありますので、必ず来院していただき服用します。服用後、問題が無いかどうか院内で30分程度待機していただきます。
③2回目についても薬の量を増やしますので、来院して薬を服用していただきます。
④最初のうちは、様子を見ながら薬の濃度を調整していきます。この期間につきましては、必要に応じて何度か来院していただくことになります。
⑤その後は決められた量の薬を1日1回患者さんご自身で服用してていただきます。特に問題が無いようであれば、長期分(1カ月~2カ月分)の薬を処方いたします。

舌下免疫療法の治療期間は最低でも3年、基本は5年と言われています。(治療の状況によってはさらに伸びる場合もあります。)2年で止めてしまうと、3年目に元に戻ってしまう例が多く報告されています。1日1回薬を服用するというのは簡単なようで意外と忘れがちで、面倒になって服用を止めてしまうというケースも少なくありません。

薬を服用する時間については特に指定は無いのですが、服用後5分間は、飲食やうがいはしないでください。また服用の2時間前~2時間後の間は、激しい運動と入浴は避けるようにしてください。

飲酒の習慣がある場合、アルコールとの併用はいけませんので、お酒を飲む時間の前後を避け、朝に服用するなどしてください。

治療期間が長期に渡るとはいえ、効果自体はもっと早く出ることが多いです。例えば今年の6月から治療を始めた場合は、来年の花粉シーズンにはある程度の効果が期待できるでしょう。

舌下免疫療法については公的な健康保険が効きます。15歳未満の場合、医療費の助成がありますので、自己負担なしで治療できます。

ちなみにはらこどもクリニックでは、スギだけではなくダニの免疫療法も行っています。ダニをやっている医療機関は埼玉県内でもほとんどありません。免疫療法は、辛いアレルギー症状を抑えられる数少ない治療法です。免疫療法をご希望の方はお気軽にご相談ください。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

スギ花粉症の治療方針[アレルギー科]

スギ花粉の本格的なシーズンに突入しています。温かく風の強い日などは、花粉症の患者さんにとって、辛い時期が続いていますね。
先日、患者さんからはらこどもクリニックにおける「花粉症の治療方針」について質問いただきました。ですので今回は端的にまとめてご紹介したいと思います。

まず免疫療法については、花粉症のピーク時期から新たに始めることはありません。花粉症の時期は、スギ花粉に対し体の免疫が過敏になっているため、免疫療法を行うことにリスクを伴います。

基本的にはピークの過ぎた5~6月頃から開始が理想です。(※既に治療をはじめていて服薬継続中の方は、花粉症のシーズンでも服薬を続けていただきます。)
ちなみに免疫療法については、定期的に通院→注射を打つ皮下免疫療法の方が継続率が高いです。

対症療法としての治療については、使用する薬を限定しています。花粉の薬はアレルギーを引き起こすヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン剤が中心になりますが、強い薬も多く、起きているのが辛いくらい眠くなる方もいます。はらこどもクリニックでは、なるべくそういったデメリットを少なくできるように薬を選んで処方しています。

多く処方しているのが「ビラノア®」です。他の薬と違い脳に入らないので、眠気が起こりにくく、車の運転も基本的には問題ありません。食事の影響で効き目が落ちるので、空腹時に服用します。

「アレグラ®」、「ザイザル®」も、前年度から効果が出ている方については、引き続き使用しています。もちろん薬には強さの違い(※例えば「アレグラ®」は弱く眠くなりにくい等)や合う合わないの個人差がありますので、合う薬が見つかるまで変えたりすることもあります。
「アレロック®」については、脳に入り、ボーっとしたり眠くなる人が多い薬なので、はらこどもクリニックでは原則的に取扱いはしておりません。

ちなみに花粉症の薬はピークを迎えてから服用するより、すこしさかのぼった時期から服用する方が症状を抑えることができます。大体1月末くらいからが良いでしょう。来シーズンからは、こちらのブログでも早めに情報を発信させていただきます。

ちなみに喫煙、飲酒は花粉症の悪化因子となります(特に煙草)。この時期はできるだけ控えるようにすると良いでしょう。

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[アレルギー科]花粉-食物アレルギー症候群とは?

食材による口腔内のアレルギー反応を「口腔アレルギー症候群」と言います。口の周りがピリピリしたり、喉の奥がイガイガしたりといった症状が現れます。その中でも、花粉との交差反応により起こるアレルギー症状を「花粉-食物アレルギー症候群=pollen-food allergy syndrome(PFAS)」と呼ぶようになりました。

少し前に大田区の小学校でビワを食べた子どもたち11人がアレルギー症状で救急搬送されるというニュースがありました。これはPFASが原因と思われ、花粉によるアレルギーが、他の植物に対するアレルギーを引き起こした分かりやすい例でしょう。

日本における花粉症のほとんどは「スギ花粉」が原因です。しかしこのスギ花粉に対するアレルギー反応が、徐々にハンノキやシラカバに対しても広がっていくケースがあります。さらにこのハンノキへの反応が、バラ科の植物への反応に広がっていきます。バラ科には食用にされる果物が多いため(ビワ、モモ、リンゴ、サクランボ、イチゴなど)、普段の何気ない食生活で、急にアレルギー反応を引き起こしてしまうケースが出てくるのです。

なぜこんなことが起こるのでしょうか。植物が感染防御のために持っているタンパク質(PR-10)があります。花粉とバラ科でこのPR-10の構造が似ているため、交差反応が起こってしまうのです。

最近では、スギ花粉から他の植物へアレルギー反応が広がるケースが本当に多くなっています。小さいお子さん、2歳くらいでもハンノキ、シラカバへの反応が見られる患者さんも少なくありません。症状としては軽い方が多いのですが、ごくまれにアナフィラキシーを起こす方もいます。スギへの反応が高い方に起こりやすいので、花粉症自体も症状が重い方が多いです。

PFASを防ぐ治療のひとつが「免疫療法」です。他のアレルギーが起こる前、早めにスギに対する免疫療法を行うと、他の植物に対する交差を抑えることができると言われています。免疫療法は花粉の時期には始められませんので、もし「PFASかも?」という方は、きちんと検査をして今のうちに免疫療法を検討するのも良いかもしれませんね。

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[アレルギー科]花粉症が引き起こす他のアレルギー

今年はスギ花粉の飛散量が多く、花粉症の方は苦労しているのではないでしょうか。3月半ばからはヒノキの花粉も飛んでいるとのことで、GW明けくらいまでは続きそうとのことですね。日本における花粉症患者さんの数は、この10年間で増加傾向にありますし、まさに国民病となっている状態ですね。

さて、先日のナッツアレルギーについてのブログでも少し触れましたが、スギ花粉に対するアレルギーは、他のアレルギー症状を誘発する場合があります。花粉ということでいえば、スギからヒノキ、ハンノキ、シラカバの花粉に対するアレルギーになる可能性があります。また、厄介なのがバラ科の植物へのアレルギーを引き起こすことです。バラ科には日常的によく食べられるフルーツが数多くあります。リンゴ、モモ、サクランボ、イチゴ、ビワなどです。

バラ科の植物へのアレルギーが発症した場合でも、いきなり全てのフルーツがダメになるわけではありません。人によって「コレはダメでもアレは大丈夫」とか、アレルギー反応は出ているものの、症状が軽く、食べても余り問題ははないようなケースもあります。ただし逆の可能性もあり、いきなり強いアレルギー反応を起こしてしまう場合もあります。

また、アレルギーは同じアレルゲンでも調理の仕方、食べ方によって出たり出なかったりということがあります。例えば大豆は、色々と形を変えて食卓に並びますね。豆腐、きなこ、もやし、納豆、豆乳などです。もやしは大丈夫でも豆乳はダメ、きなこは大丈夫でも豆腐はダメといったように、ものによって出る出ないがあるのです。アレルギーの出方は本当に千差万別なのです。

もし何らかのアレルギー症状が出てしまった場合、今の段階では基本的にはアレルゲンを除去するしかありません。ただし、スギ花粉の免疫療法では、他のアレルギーが出るのを抑えることができるといわれています。

もし、花粉症の方で、バラ科のフルーツを食べて「喉がイガイガする」、「唇や舌がビリビリする」などの症状が出た場合は、血液検査やプリックテストを受けたほうが良いかもしれません。

ちなみに花粉症は、マスクをきちんとすることで、花粉の体内への侵入を6割程度は防げるというデータもあるようです。また、コンタクトではなく、メガネにすることでも花粉を防ぐ効果があるそうですよ。

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