病気と症状」カテゴリーアーカイブ

遅延型アレルギー【アレルギー科】

アレルギーの基本の型のひとつに「遅延型アレルギー」があります。

アレルゲンに対して反応する時間が遅い、アレルゲンと接触してから症状が出るまでのラグが大きいのが特徴です。

遅延型アレルギーを利用した分かりやすい例として、結核の検査に使用されるツベルクリン反応があります。ツベルクリン接種後、24~48時間で反応がピークとなり、接種部分が赤くなったり、硬くなるという皮膚反応が出ます。

テニスのトッププレーヤーであるジョコビッチ選手がグルテンの遅延型アレルギーで、陽性判明後、食生活をグルテンフリーにしたところ競技成績が急激に向上したという話もあります。

遅延型アレルギーは、通常のアレルギー反応の単に反応時間が遅いパターンというわけではありません。アレルギー反応が起こるメカニズム自体が違います。

抗原やアレルギー反応が起こる臓器によって症状は千差万別で、症状も全てが軽いわけでもありません。遅延型アレルギーかどうかの判断は非常に難しく、反応が起きた時に組織を取るなどして、きちんとした検査が必要です。

ちなみに健康診断で調べられる項目の中にIgG抗体があり、この数値によって遅延型アレルギーが測定できると言われていますが、これは世界中のアレルギー学会によって医学的に否定されています。日本アレルギー学会でもIgG抗体を遅延型アレルギーの検査指標として用いることに対して注意喚起を出しています。

今でも「IgG抗体 遅延型アレルギー」で検索をかけると、検査を実施している医療機関が出てきますが、参考にはなりませんので、注意してください。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

子どものしもやけ【小児科】

1月の終わりには10年に一度の大寒波も到来し、今年はなかなか厳しい冬が続いています。昔に比べると暖房や防寒服が良くなったため、絶対数は減りはしましたが、この季節、お子さんがしもやけになることも少なくないでしょう。

しもやけとは低温により血流が悪くなる循環障害です。指の先が腫れたり紫色に変色したりします。またその状態で温まって急に血流が良くなると、組織が壊れ、強いかゆみが出ます。

子どもは身体が小さいため、寒さの影響を受けやすくしもやけになりやすいです。しかしながら、手袋や靴下が嫌いな子も多く、床が冷たくても靴下を履かなかったり、自転車に乗る時に手袋をつけなかったりで、しもやけになりやすい手足の末端を守れないことも多いです。

また冬でも水遊びをしたり、手を洗ってもきちんと拭かなかったりと、手足を濡れたままにしておくのも、しもやけになりやすい原因のひとつです。

しもやけを防ぐには、手足の血行を良くすればよいので、当たり前のことですが、なるべく冷やさないようにすることが大切です。また手足が冷たくなったらマッサージをするとか、外から帰ってきたら、すぐ手足をお湯につけるというのも有効です。

しもやけになってしまった場合には、ヒルロイドなどヘパリン類似物を患部に塗るのが有効です。ヘパリン類似物質は血管を拡張し、血の巡りをよくする効果があります。お風呂上りや、学校へ行く前など、1日に数回、マッサージをしながら塗り込んであげましょう。

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冬の子どもの発熱【小児科】

現在、新型コロナの流行により、お子さんが発熱した時、必ずしもすべての医療機関で診察できる状態ではなくなっており、親御さんとしてはどうしたら良いのかが分からないということを耳にします。

まず、医療機関では感染発熱患者さんと一般の患者さんを、分けてゾーニングする設備が必要なので、医療機関によっては、発熱患者さんを診られない場合もあります。かかりつけ医が発熱外来に対応しているかどうか、事前に確認しておくことが大切です。

そのうえで、もしかかりつけ医が発熱外来をやっていなかった場合、対応してくれる医療機関を探しておきましょう。

発熱した場合、患者さんとしては、一刻でも早く検査をして欲しいという気持ちになるかもしれません。自分はともかく、お子さんの場合は、特に心配になる気持ちはよく理解できます。

しかし、検査に関していうと、発熱してすぐは体内のウイルス量がそれほど増えていないことが多いため、検査をしても確度が低く、診断がつきにくいという事実があります。発熱に関しては、早期診断がメリットにならない場合があります。

発熱といっても症状は様々です。例えば子どもの場合ですと、割と熱が高めでも、本人が元気に走り回っているようなケースも少なくありません。その場合、寒いなか病院に行っても、逆に症状を悪化させてしまう可能性や、上記にも書いたように有効な診断がつかないことも多いので、無理をして病院に行かず、様子を見ていいでしょう。

悪寒戦慄=寒がりガタガタ震えるような症状が長時間続くような場合は、ウイルス以外の発熱のパターンであることが多いです。

また、けいれんしたり、ぐったりして全身状態が悪いような場合には、医療機関を受診するようにしてください。

現在新型コロナの感染症分類を2類→5類に変更する方向で進んでいるようなので、それによってもまた状況が変わってくることが予想されます。実際に5類になった場合、どのような違いが出てくるのかなども、引き続き発信していきたいと思います。

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ウイルス性の急性脳症とは?【内科・小児科】

新型コロナウイルスのオミクロン株が広まった結果、それまではなかった子どもの死亡事例が出てきました。今年の4月には、栃木県で基礎疾患のない8歳の女の子が感染後、急性脳症で死亡したというケースがありました。基礎疾患はなく、ワクチンは未接種だったとのことです。

では急性脳症とはどのような症状なのでしょうか?

脳症とは、脳の浮腫(ふしゅ)=むくみや腫れによって、意識障害やけいれん、呼吸麻痺、運動機能の麻痺などが起こります。症状の悪化は早く、特に急激に症状が進行するケースを急性脳症と言います。

脳にダメージがあるため、命は助かっても、何らかの障害が残るケースもあります。例えば、同じく上述のケースと同じく栃木県で、命こそ助かったものの、5歳未満の女の子が急性脳症で重篤な状態になり、体に麻痺が残ったという事例もあります。

脳症の原因には様々なものがありますが、その中でも新型コロナに限らず、ウイルス感染によって起こり得るのがウイルス性の脳症です。ただし、ウイルスが脳に直接感染して炎症を引き起こすものは脳炎と言います。脳症の場合、必ずしも脳が炎症を起こしているわけではなく、脳を調べても、ウイルスが出てこない場合もあります。

脳症の場合、ウイルスそのものが原因なのか、サイトカインなど自己免疫系の異常が原因なのか、はたまた他の原因があるのか、はっきりとは分からないことが多いのです。

例えば、日本脳炎の場合は、脳から病原体が見つかりますが、インフルエンザ脳症の場合は、脳の中からインフルエンザウイルスは見つかりません。

脳炎と脳症は症状からは見分けがつきません。症状は同じですが、脳症の場合は、それを引き起こす直接的な要因が分からないことも多いので、治療がより難しくなります。

新型コロナの場合、今後解剖例が増えてこないと、どのような原因でどんなメカニズムで脳症を引き起こすのかがはっきりと分かってこないでしょう。

ワクチン接種によって、直接的に、急性脳症を予防できるというわけではありませんが、感染のリスクを下げ、重篤化のリスクを下げることで結果として、急性脳症になるリスクを減らすことができます。

お子さんのワクチン接種をしていない方は、早いうちに接種をお願いできれば幸いです。

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大人の喘息【アレルギー科】

喘息というと子どもの病気というイメージが強いですが、大人にも喘息の症状は出ます。特に多いのが、小学校高学年くらいで症状が寛解したかに見えて、30代で再度発症するようなケースです。

子どもの時は、親が部屋をきちんと掃除し、薬もきちんと飲ませるので、症状を抑えることができるのですが、大人になり1人暮らしをすると、掃除がおろそかになり、病院にも行かず、症状が悪化してしまうのです。

また、子どもの場合医療費はタダですが、大人になると定期的な診察料、薬代がかかるということもあり、通院をしない、治療をきちんと行わないという側面も見られます。

ちなみに東京都の場合、ディーゼル規制に伴って徴収している税金を元に、大人の喘息の治療でも助成金が出ます。東京都民の方は、調べてみると良いでしょう。

治療は吸入ステロイドが基本になります。また、気管支収縮作用をもつロイコトリエンという物質の働きを抑える薬、気管支拡張剤などを組み合わせて症状の改善を目指します。

はらこどもクリニックでは、大人の喘息の患者さんも通院していますので、症状に苦しむ方はご相談ください。

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女性特有の病気 片頭痛【内科】

日本人は頭痛持ちが多いと言われますが、特に女性は頭痛に悩む人が多いと言われています。

頭痛の中でも辛いのが片頭痛ではないでしょうか。今では「片」と書くのが一般的ですが、昔は「偏」と書きました。これは頭のどこかしらに偏って症状が出るからです。

女性に出やすい理由は不明ですが、心理的な要因も大きいとされています。思春期になると片頭痛が出るという人も多く、病院にかかるようなケースも多くみられます。頭痛専門の頭痛外来もありますので、それが成り立つほどには、患者さんが多いということになります。

頭痛の治療法はこれといって確立しているわけではありません。これは多くの場合、原因が特定できず、検査データとして、ここが悪いと証明できるケースが少ないからです。

いくつかの薬を試してみて、特定の薬が効いたら、おそらく●●が原因だろうというように対処していきます。ちなみに不思議なことに40代後半になると、症状が軽くなることが多いようです。

参考までに片頭痛以外の頭痛も含め、頭痛は大きく3つのタイプに分けられます。

①クラシックタイプ
ソクラテスの時代から確認されている頭痛で、症状が出たのが何時何分と分かるほど急激にはっきりと痛みが出るタイプです。遺伝的な要素も大きく、家族的に症状が出るケースもあります。目の症状も出ることが多く、寝ると治るという特徴があります。

②片頭痛タイプ
いつともなく症状が出る頭痛で、急激に痛くなることは少ないですが、痛みが長引くケースも多いです。①と違い、寝て起きても痛みが改善しないことが多いのが特徴です。

③群発性タイプ
強烈な痛みが頭の中を走り回るような症状が出る頭痛です。発症頻度はそれほど高くありませんが、発症すると最も厄介なタイプと言えます。

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運動誘発性食物アレルギー【アレルギー科】

余り知られていない食物アレルギーの発症パターンに、「運動誘発性食物アレルギー」というものがあります。

これは普段アレルギー反応を起こしていないのに、アレルゲンを食べた後、運動するとアナフィラキシーのように強いアレルギー反応を起こす症状です。

例えば給食でそばを食べた後に、体育の授業で走ったら、いきなりアナフィラキシーの症状が出たり、林間学校で食事後に登山をしたら症状が出たりといった具合です。

はらこどもクリニックでも、給食にボンゴレを食べた後で走ったら、症状が出たお子さんを診察したことがあります。

運動誘発性食物アレルギーは、普段アレルギー症状が無いのにいきなり症状が出るので、発症者自身も周りもそれに備えることができず、どのくらいの量だったら大丈夫とか、食事後、何分だったら安全というのが分からないのです。

はらこどもクリニックでは、お昼休みの時間にも必ず誰かしらスタッフが応対できる状況にしています。これは、周辺の学校や保育施設などで、給食後に食物アレルギーの症状を起こした場合、すぐに対応できるようにするためです。お昼休みの時間は食物アレルギーのリスクがありますが、開いている医療機関が限られてしまうのです。

食物アレルギーは、症状が重くてもすぐに対応すれば命にかかわるケースは少なくなります。親御さんも知識として、運動誘発性食物アレルギーを知っておいていただけると、いざという時の対応が早くなるのではないかと思います。

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魚介類のヒスタミン中毒【アレルギー科】

最近よくアニサキスによる食中毒が話題になっていますが、同じく魚介を食べたことで起こる食中毒のひとつに「ヒスタミン中毒」があります。

魚の中の「ヒスチジン」というアミノ酸が変化し、「ヒスタミン」になります。大量のヒスタミンを摂取することで、アレルギー症状と同じような症状が出るのです。場合によってはアナフィラキシーのような重い症状が出ることもあるので注意が必要です。

通常のアレルギーの場合は、特定の食物に反応するので、どれがアレルゲンか特定しやすく、それを避けることができます。しかし、ヒスタミン中毒の場合、アレルギーではないので再現性はありません。

当たるか当たらないかは運と言う事になりますが、基本的には鮮度が落ちるとヒスタミンが増えるので、鮮度の良いものを食べるようにしてください。

今は冷凍技術や物流のシステムがよくなっているので、以前ほど発症する人は多くありませんが、古くなっているものは食べないようにしましょう。

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子どもの熱中症・脱水症状のチェックポイントと対処法

7月の頭こそ戻り梅雨でそれほど暑くない日もありましたが、関東では35℃近くまで気温が上がることが多くなっています。新型コロナの流行で余り報道等はされていませんが、熱中症の発生件数もかなり多くなっています。

熱中症については、気温よりも湿度の方がポイントです。湿度が高いと汗が蒸発せず、体温が体内にこもりやすくなります。そういった意味では、日本の夏は非常にリスクの高い気候と言えるでしょう。

子どもは大人に比べ、熱を体表面から吸収しやすく、逆に熱放出が未熟なため、熱中症のリスクは高くなります。熱中症のシグナルとして、暑いのに汗をかきづらくなる、立ちくらみがする、気分が悪くなるなどの症状があります。このようなポイントを見逃さないことが大切です。

また最近はCMでもインフォメーションがされていますが、屋外で人との距離を十分に取れる場合は、マスクは外して問題ありません。そして、冷房が無いところで過ごす際には、こまめに水分補給をするようにしましょう。

熱中症には症状のタイプがいくつかあります。まず「熱失神」です。暑さによって血管が拡張するため、立ちくらみやひどい時には失神することがあります。

続いては「熱けいれん」です。汗を大量にかくことで、体内の電解質が抜けていき、痙攣を起こします。この2つの症状については、体温が異常に上がることはありません。

次に「熱疲労」です。気持ちが悪くなり、嘔吐をする場合もあります。熱疲労では体温が上昇します。

最後にいわゆる「熱射病」と呼ばれるものです。せん妄(時間や場所が分からなくなったり、注意力、思考力が著しく低下します)や意識障害が起こります。体温は40℃を超えるような高さになり、非常に危険です。

熱中症になった場合には、何よりもまず水分を補給し、体温を下げることが重要です。体温を下げると言っても、熱が出た時のように解熱剤を飲んでも意味はありません。物理的に温度を下げる必要があります。

例えば、シャーベット状の氷を脇、太もも、首の裏など太い血管が通っている場所に当てる。霧吹きをして濡らした状態で、扇風機などで風をあてるなどが有効です。

またこの時期は冷房が入っていない車の中ですと、わずか5分~10分程度でも急激に温度が上昇し非常に危険です。お子さんを車の中に残して、買い物をするなどは絶対にやめましょう。

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雨が降ると古傷が痛むって本当?【内科】

よく漫画やドラマの中で、天気が悪くなったり、雨が降ると古傷が痛むというシーンがあります。またこのブログを読んでおられるみなさんの中にも、雨が降ったりすると、頭痛や関節痛の症状がひどくなるというような方もおられるのではないでしょうか。

実際に気圧をはじめとして様々な気候の変化が体に及ぼす影響は大きいと考えられています。

例えば、今では薬が良くなったためほとんどなくなりましたが、かつては喘息の発作に苦しむ子どもたちがたくさんいて、はらこどもクリニックでも、よく急患を診ていたものです。

不思議なことに喘息の発作では、同じ日に大量の患者さんが来ることがよくありました。そういう時は、大抵名古屋あたりで雨が降っている時で、次の日が雨予報だったものです。

また昔はらこどもクリニックの患者さんで、お子さんの発作が起きた時の気候条件を記録していた親御さんがいて、発作が起きた時は、ほぼ気圧が下がっていたということもありました。

さらに「光」も体に与える影響は大きいと考えられています。日照時間が短いと心を病みがちになるというのが顕著な例で、日本ではうつ病は日照時間が短くなる11月頃から増えることが多いのです。光を浴びるというのは人間にとってとても大切なことなんですね。

国立神経センターでは、部屋を目一杯明るくして本を読むというのを実際に治療の一環としておこなっています。これは目に光をしっかりと入れることを目的としています。この治療法を不登校のお子さんに対し取り入れた医師もいます。

逆に日照時間の長い赤道直下の地域では、女児の性発達が早いというデータもあります。

みなさんの中にも天気が悪くなる前日に体の調子が悪くなる方がいたら、それは気のせいではない可能性が高いです。

ヨーロッパでは、天気予報の際に、気圧から予測されるリウマチ痛の予報があるそうですし、洗濯や傘の必要性などだけではなく、体調面でも天気予報をチェックするのは大事かもしれません。

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