予防医療」カテゴリーアーカイブ

[アレルギー科]花粉-食物アレルギー症候群とは?

食材による口腔内のアレルギー反応を「口腔アレルギー症候群」と言います。口の周りがピリピリしたり、喉の奥がイガイガしたりといった症状が現れます。その中でも、花粉との交差反応により起こるアレルギー症状を「花粉-食物アレルギー症候群=pollen-food allergy syndrome(PFAS)」と呼ぶようになりました。

少し前に大田区の小学校でビワを食べた子どもたち11人がアレルギー症状で救急搬送されるというニュースがありました。これはPFASが原因と思われ、花粉によるアレルギーが、他の植物に対するアレルギーを引き起こした分かりやすい例でしょう。

日本における花粉症のほとんどは「スギ花粉」が原因です。しかしこのスギ花粉に対するアレルギー反応が、徐々にハンノキやシラカバに対しても広がっていくケースがあります。さらにこのハンノキへの反応が、バラ科の植物への反応に広がっていきます。バラ科には食用にされる果物が多いため(ビワ、モモ、リンゴ、サクランボ、イチゴなど)、普段の何気ない食生活で、急にアレルギー反応を引き起こしてしまうケースが出てくるのです。

なぜこんなことが起こるのでしょうか。植物が感染防御のために持っているタンパク質(PR-10)があります。花粉とバラ科でこのPR-10の構造が似ているため、交差反応が起こってしまうのです。

最近では、スギ花粉から他の植物へアレルギー反応が広がるケースが本当に多くなっています。小さいお子さん、2歳くらいでもハンノキ、シラカバへの反応が見られる患者さんも少なくありません。症状としては軽い方が多いのですが、ごくまれにアナフィラキシーを起こす方もいます。スギへの反応が高い方に起こりやすいので、花粉症自体も症状が重い方が多いです。

PFASを防ぐ治療のひとつが「免疫療法」です。他のアレルギーが起こる前、早めにスギに対する免疫療法を行うと、他の植物に対する交差を抑えることができると言われています。免疫療法は花粉の時期には始められませんので、もし「PFASかも?」という方は、きちんと検査をして今のうちに免疫療法を検討するのも良いかもしれませんね。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック

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[内科]健康診断 結果の数値で分かるポイント その1

この季節になると、会社で定期健康診断を受けられる方も多いと思います。今回は健康診断の様々な数値が何を表しているのか、その代表的なものをご紹介したいと思います。

まず健康診断の結果にはそれぞれの数値で、正常の範囲内、高め、低めなどの目安が記されていますね。社会保険に加入している方が会社で受けられる健康診断は、一般的な統一された基準なのですが、所沢市の場合、国保の方は市が指定する内容で検査項目があり、基準も所沢市独自の数値で評価がされます。

所沢市の基準は、通常よりも厳しめなので、再検査をしてみると、異常なしとなる場合も多いです。このように、判断基準にギャップがあったりもしますので、ただ異常の有無や再検査の有無を見るだけではなく、自分がどのような病気のリスクがあるかをきちんと知っておくことはとても大切です。

①LDLコレステロール/中性脂肪

LDLコレステロールは、一般的に悪玉コレステロールと言われるものです。また、中性脂肪は体内に脂肪として蓄えられたエネルギー源です。どちらも高すぎると、動脈硬化を引き起こす可能性があります。

この2つの数値が高いということは、主に食生活が原因となっていることが多いです。LDLコレステロールは、コレステロールが高い食べ物(卵黄、タコ、イカ、エビなどの甲殻類、貝類、魚卵、レバー・モツ・ホルモンなどの内臓等)を食べすぎていると高くなります。

中性脂肪は、食事より摂取したエネルギーを使いきらず、肝臓が脂肪として体内に蓄えたものです。高カロリーの食べ物を食べ過ぎて、消費エネルギーより多すぎた場合に、どんどん高くなっていきます。これらの数値が高かった場合、まず食生活を改善してみるのが良いでしょう。

②クレアチニン

クレアチニンとは、腎機能を診るための数値です。クレアチンという物質が代謝されクレアチニンという老廃物となるのですが、基本的にそのほとんどは腎臓でろ過され、尿として体外に排出されます。ろ過し切れなかったその一部が血液の中に残ります。

このクレアチンの数値が高いと、腎臓が正常に働いていない可能性があります。腎臓は自覚症状が無く、気づかないうちに悪くなることが多いので、この数値が高い場合は気をつけましょう。(ちなみに一般的には男性の方が少し高く、女性が低くなります。また腎機能は年齢と共に悪くなる場合が多いので、加齢によって徐々に数値が上がっていく場合があります。)

長くなってしまったので、次回その他の数値についてもご紹介していきます。

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大人が打つべきワクチン その1 はらこどもクリニックブログ

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今回は大人(厳密には小児以外)の方が受けるべき予防接種についてご紹介したいと思います。

まず成人の予防接種で定期接種となっているのは「高齢者の肺炎球菌ワクチン」と「高齢者のインフルエンザワクチン」の2つのみとなっています。肺炎球菌ワクチンは65歳以上で、65歳、70歳、75歳・・・と5歳刻みで接種できます。肺炎は高齢になるほど罹った時のリスクは大きく、高齢者の死亡原因の第3位となっています。まだ元気だからと油断せず、対象年齢の方はきちんと打っておきましょう。

インフルエンザは、65歳以上で毎シーズン10月頃~2月頃にかけて受けることができます。抗体を獲得するまでに2~4週間程度かかると言われていますので、流行が始まる前、秋のうちに接種するのが理想です。

肺炎球菌、インフルエンザともに定期接種ですが、小児の定期接種とは異なり全額公費負担ではありません。一部自己負担という形になりますのでご注意ください。

その他高齢者の方が接種しておきたいワクチンに「帯状疱疹ワクチン」があります。水ぼうそうを引き起こす水痘ウイルスが、体の中で休眠状態になっており、高齢になって免疫力が弱ってくると、ウイルスが活性化し、帯状疱疹になります。小児の水痘ワクチンが定期接種になったことで、水ぼうそう患者が激減しました。それにより成人が水痘ウイルスに触れる機会が少なくなり、免疫が落ちやすくなっていると考えられています。そのため、今後高齢者の帯状疱疹がますます増えると予想されることから、今後定期接種化が検討されています。

次回は若い世代が打っておくべきワクチンをご紹介したいと思います。

 

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家庭でできる子供に対する予防医療 その2

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前回に引き続き、予防医療の観点から考える事故予防について、ご紹介します。前回お話したように、1~14歳の死亡原因の第1位は「不慮の事故」となっています。それだけ危険性が高いものなのに、家庭における事故対策は普及しているとは言いがたい状況になっています。それはなぜなのでしょうか?

例えば、お風呂の水はすぐに抜いているか、ストーブなどの暖房器具にふれなれないようにしているか、階段に柵を設置しているか、高いところに昇れてしまうような踏み台となる棚やケースが置いていないかなどなど、事故防止のためにできる具体的な対策はたくさんあります

しかし、現実には、うちはきちんと見ているから大丈夫という意識で、対策を怠ってしまっていることがほとんどです。

事故というのは、ひとつの事故が他の人への教訓にならないのが厄介なところなのです。一般論や他の事故のケースを挙げても、「うちは大丈夫」という感覚になってしまいがちで、そのご家庭ご家庭にあわせ、具体的な指導を行わないと、事故防止対策が進まないのが大きな問題です。

親御さんが子供のためにできることの中では、簡単かつ重要な分野にもかかわらず、そういう情報が周知されていなかったり、教育がされていないのです。このことは小児科学会でも非常に問題になっており、学会誌などでも随所で事故防止対策にういての記事が掲載されています。さらにいうと、事故防止対策について書いた書籍も多数出版されているのですが、なかなか状況が好転していないのが実情です。

子供の事故を減らすには、親御さんにきちんとした知識と意識を持っていただくことがとても大切です。お子さんの命と健康を守るため、少しでも日常生活の中で、事故の危険性を意識してみてくださいね。

 

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家庭でできる子供に対する予防医療 その1

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先日のブログで「予防医療」のひとつとして「予防接種」について書きました。では「家庭でできる子供のための予防治療」というとどんなものをイメージされるでしょうか?

実は子供のための予防医療で、大切なのが「事故の予防」なのです。医療というとどうしても病気というイメージにとらわれがちですが、実際には1~14歳の子供の死亡原因の1位は「不慮の事故」なのです。(0歳児については出生時の異常に伴うことが多いので除いています。)子供の健康と命を守るという点においては、「事故の予防」をきちんと行うことが大切なんですね。

どの年代においても最も死亡率が高い原因は「交通事故」です。車に乗る際のチャイルドシート、シートベルトの徹底、そして子供たちにきちんと交通ルールを学ばせる安全教育を行うことが大切です。常日頃から、信号を守ること、横断歩道を手を挙げて渡ること、道路には飛び出さないことなどを、言い聞かせておきましょう。

死亡率の高い原因の2位が「溺死」です。特に1~4歳児においては、交通事故とそれほど変わらない割合となっています。その内訳のほとんどが家庭の浴槽での事故となっています。日本は外国と比べると溺死の割合が多いの特徴です。浴室が深かったり、洗濯に使うため、浴室にお湯をはりっぱなしにしておくなどの習慣が事故を多くしている要因だと考えられています。浴室での事故に注意を促すため、はらこどもクリニックでは、10ヶ月健診の時に「お宅はどんなお風呂ですか?」ということを聞くようにしています。そのほか、4歳児まででは誤飲などによる窒息死も非常に多くなっています。その他、命を落とすことはないものの、階段や椅子からの転落、ストーブなどでの火傷など、事故件数が多くなっています。おじいちゃんおばあちゃんとの同居世帯では、薬の誤飲による中毒も大きな問題のひとつです。

家庭での事故のほとんどは、親がいるところで起こっているということが注意すべきポイントです。親は気をつけている「つもり」でも、実際には、トイレや家事などもありますから、本当に24時間見ていることは不可能です。そのちょっとした隙に、事故は起こってしまいます。だからあらかじめ、きちんとした事故防止の対策を取っておく必要があります。

次回は、なぜ事故防止対策がなかなか普及していかないのかについて、書いてみたいと思います。

 

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予防医療:予防接種における集団免疫という考え方 その2

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今回も前回に引き続き、予防接種による集団免疫について書いてみたいと思います。

コミュニティが感染症に対する集団免疫を獲得するためには、ワクチンの高い接種率が必要です。しかし、必ずしも老若男女全ての人、そのコミュニティ全体がワクチンを接種しなくても効果は得られます。社会の中のある集団に接種することで、社会全体の罹患率を下げられるのです。前回例に挙げたインフルエンザでは、子供の接種率を高めることで高齢者に効果があるというその典型です。

その他にもHPVワクチンがそれに当たりますHPVワクチンはヒトパピローマウイルスによる感染症を防ぐためのワクチンです。ヒトパピローマウイルスは主に性接触によって感染します。女性の約80%が一生に一度のうちは感染するというよくあるウイルスで、あまり悪さをしないのですが、場合によっては、尖圭コンジローマという感染症(生殖器とその周辺にイボができる)を引き起こしたり、最悪の場合、子宮頸がんを引き起こすことで知られています。

現在日本ではHPVワクチンが積極的な接種の推奨は停止されていますが、アメリカやイギリスでは、子宮頸がんを防ぐための定期接種として、ほとんどの女性が受ける予防接種です。アメリカでは、HPVワクチンを接種したことで、女性の子宮頸がんや尖圭コンジローマだけではなく、男性の尖圭コンジローマも有為に減少しています。

また、ヒトパピローマウイルスは陰茎がんを引き起こす原因にもなっているとも言われているので、もしかしたらそちらにも効果が出ているのかもしれません。また、尖圭コンジローマは母子感染もします。母親が罹患していると生まれた子供の喉にイボができてしまい、それを手術で切除しなければなりません。それを防ぐこともできます。

予防接種の先進国であるアメリカでは、集団免疫の考え方が広く浸透しています。アメリカでは、受けるべき予防接種をきちんと受けていないと、パブリックなコミュニティに参加することはできません。(もちろん、宗教上の理由などの例外はありますが。)予防接種をやる、やらないは権利としてありますが、やらない場合はコミュニティには参加させないよという考え方です。

例えば学校などがそうです。そのためアメリカに留学する場合には、必ず予防接種を受けているかを証明しなければなりません。ワクチンを打っていない場合は、きちんと打たなければ、入学できないのです。さすがに日本でそのようなことをやれば大問題になってしまいますが、それほどアメリカでは、予防接種が重要視されている証とも言えます。

今医療は、予防医療を大切にする方向に舵を切りつつあります。病気に罹って治療するのではなく、病気に罹らないように医者に行く方が、人生にとってよほど生産的でプラスなことです。予防接種は予防医療の中でも、大きなウエイトを占める重要な分野です。お子さんのためにも、しっかりとスケジュールを組んで、きちんと接種してください。

とはいえ、定期もあれば任意もあり、ワクチンの数も多いので、お困りになることも多いと思います。風邪をひいてしまってスケジュール通りにいかないなんていうことは日常茶飯事です。そんな時はお一人で悩まず、お気軽に相談してくださいね。

 

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予防医療:予防接種における集団免疫という考え方 その1

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みなさんは「集団免疫」という言葉をご存知でしょうか?集団免疫とは、予防接種により多くの人が病気に対する免疫を持つことで、その病気自体が広がるのを防ぐ間接的な予防効果のことを言います。

例えば子供に対する予防接種をきちんと行うことで、子供の感染率が下がり感染者が減る。それによりその病気に対し免疫を持っていない人が感染者と接触する機会が減り、社会全体での感染率が下がるというようなことです。

つい最近もインフルエンザの集団免疫についての記事が話題になりました。かつて日本でインフルエンザの集団接種が義務付けられていた時期には、集団免疫が獲得できていたため、ワクチンを打った子供達だけではなく、高齢者のインフルエンザによる死亡率が低かった。

しかし、団接種をやめてからは、子供の感染率が上がって学級閉鎖が増えるとともに、高齢者のインフルエンザ由来の死亡率も上がっていったという調査結果があるという記事です。

実はこの集団接種が取り止められた時期には、予防接種で後遺症が残ったなどの事案が相次ぎ、国に責任を問う訴訟が頻繁に起きていました。その中で、群馬県前橋市がインフルエンザワクチンの有用性を検証し、これを否定した、通称「前橋レポート」というものを出しました。

現在ではそのデータの取り方自体にかなり問題があったことが分かっていますが、これに訴訟沙汰を避けたい国や日本全国の自治体が乗ってしまった形で、インフルエンザワクチンの集団免疫を止める自治体が増え、接種率がどんどん下がっていってしまったのです。

今では一時期に比べるとインフルエンザの予防接種率はかなり上がっています。(特に13歳以下の幼児。)しかし、集団免疫を獲得できる水準にあるかといえば、まだまだだと言わざるをえません。それはワクチンの有用性がきちんと伝わっていなかったり、今シーズンのようにワクチンの数が足りずに、受けたくても受けられないといった問題が起こっていることも大きな原因となっていることでしょう。これは行政も含めた医療界全体として、大いに反省すべきことだと思います。

集団免疫は、ヒトからヒトに伝染る全ての感染症に効果があります。特に幼児や高齢者のような体力・免疫的に弱い層の人たちの罹患率を下げ、感染症による重篤な症状や死亡率を大きく下げることができます。予防接種はお子さんや自分自身の健康を守るだけではなく、他のたくさんの命を守る可能性があることを、頭の隅にでも少しでも置いておいて頂けたら幸いです。

 

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