糖尿病に一度なったら治らない?

糖尿病を発症すると、日常生活の中でも様々なリスクが出てきます。新型コロナウイルスが流行する中、感染症に対して非常に弱くなる、症状が重症化しやすくなるなどのニュースを見られた方も多いのではないでしょうか?

実際には病名としては診断されていなくても、糖尿病になってしまっている人や、予備軍となっている人も多く、国民病として定着してきてしまっています。

では糖尿病が1回発症してしまったら、治らないのでしょうか?厳密に言うと「完治」はしません。医学的に「完治」とは、病気の根源を無くして、完全に病気が取り去られた状態を言います。その意味では、糖尿病は完治はしません。

ですが「寛解(かんかい)」の状態には持っていけます。「寛解」とは、病気の症状が抑えられている状態を言います。再発などの可能性はありますが、寛解状態であれば、病気による異常や症状に悩まされることはありません。

いわゆる生活習慣病と言われる2型糖尿病については、インスリンがある程度出ていれば、血糖のコントロールはききます。重度でもきちんと治療を行い、生活習慣を改めれば、薬を飲まなくても問題ない状態にまで回復できます。

今はGLP1・SGLT2などの良い薬が使用されるようになっています。これまではインスリンを直接注射することで血糖値を下げるという治療法が主でした。ただし、インスリン治療は低血糖になってしまうリスクや、打ち忘れによるリスクが大きいことが問題になっていました。剤形が注射ということもあり、QOLを下げる要因ともなっていました。

GLP1は、血糖値が上がった時にインスリン分泌を増やすように働く薬のため、単独仕様であれば低血糖のリスクを抑えることができます。また、糖尿病によってダメージを受ける内臓を保護する作用もあり、糖尿病の合併症を抑える効果もあります。

SGLT2は尿と共に、体内の余分な糖分を排出する薬です。こちらはインスリンに関係なく、血糖を下げる効果があります。

どちらも経口薬の剤形があるため、服用しやすくQOLを下げることなく、糖尿病の治療が行える非常に画期的な薬となっています。

このような投薬治療と並行して、食事や運動習慣を改善、適正体重にすることで、糖尿病を寛解状態にすることができるのです。

とはいえ、糖尿病にはならないにこしたことはありません。2型糖尿病は基本的に生活習慣と遺伝的要素(糖尿病になりやすい遺伝傾向がある)に左右されるので、リスクが高いという方(運動習慣がない、甘いものをたくさん食べてしまう、近親者に糖尿病の患者さんがいるなど)は、アンチ糖尿病の生活を目指すようにしましょう。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
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