病気と症状」カテゴリーアーカイブ

女性特有の症状 便秘[内科]

女性が日ごろ悩まされがちな症状に「便秘」があります。

男性に比べ女性の方が便秘が多い理由には、様々な説があって、確実にこれとは言えませんが、ホルモンや筋肉量などが関係していると言われています。その中でも、大きな比重を占めると思われるのが、女性のライフスタイルです。

例えば、女性は朝ゆっくりと排便の時間を取れないことも一因と言われています。腸は朝活発化しやすく、食後に胃腸が動きやすいので、朝食を食べた後、トイレに行く時間を取るのが理想です。しかし、特に現代の女性の場合、朝はギリギリまで寝ていたい、起きたら化粧をしなければいけないから、朝食をきちんと食べる時間・習慣がない、当然トイレにゆっくり入る時間・習慣がないというわけです。

このようなことを検証する論文も発表されていて、どこまで信憑性があるかは分かりませんが、原院長がこれまで診察してきた便秘の患者さんには、当てはまる人が多いそうです。

実際に便秘になる割合は、小さい時にはあまり男女差が見られません。高校生くらいから差が顕著になってくるので、少なからずライフスタイルの問題があるのではないかと思われます。

便秘を解決する方法として、「トイレに行って排便をするという習慣をつける」ことが大切です。犬が散歩に行くと糞をするように、人間もご飯を食べて、トイレに行くという習慣をつけることがとても有効なのです。上にも書いたように、特に朝は胃腸の動きが活発になるので、朝ご飯を食べたらトイレに行くというのが、一番のおすすめです。

本来は食事をし、胃腸が動いて直腸に便が入ってくると便意を催すようになります。しかし、慢性的な便秘になると、便が常に直腸内に溜まっているため、直腸が拡張してしまい。少しくらいの便が入ってきても、直腸内の圧が上がらず、便意が来ないという状況に陥ります。このように食べる→排便の習慣が無いと、どんどん悪循環になっていくわです。

この食べる→排便の習慣を2~3週間続けると、座薬などに頼らなくても便が出るようになります。

現在では、便秘の治療薬も新しいものが出てきて、昔に比べると治療は良くなっています。しかし、そもそも排便の習慣が無いと、便を出やすく柔らかくしても意味がないですし、薬が合わないと腹痛や下痢になってしまう人もいるため、それが嫌で治療を止めてしまう人もいます。便秘の治療はなかなか難しい面があるのです。

習慣づけるというのは、ご自身でもできることだと思います。便秘でお悩みの方は、まず朝トイレに一定時間入るという習慣を身につけてみてください。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

食物アレルギーは治療しないで治ることはあるの?

日本では何らかの食物アレルギーを持つ人は、全人口の1~2%、乳児に限ると約10%ほどいると考えられています。

10%というと10人に1人の割合ですから、小さなお子さんでは、食物アレルギーはポピュラーなアレルギー疾患だということが分かります。

治療しなくても年齢が進むにつれて自然と良くなるケースもあります。例えば卵アレルギーは3歳で6割、7歳で9割くらいの方が、症状が治まると言われています。自然治癒しやすい食物アレルギーと言えるでしょう。逆にピーナッツ、甲殻類、ソバなどは治りにくいと言われています。

食物アレルギーを発症した場合、アレルゲンを避けた食生活をすることが基本となりますが、治療法もあります。「経口免疫療法」と言われるもので、アレルギーがあっても反応しないくらいのごく少量を食べ、徐々に体を慣らしていくという治療法です。

ただし「経口免疫療法」は、アレルゲンを口にする量の見定めが難しく、治療の過程でアナフィラキシーを起こす可能性があるため、その対応をきちんとできる医療機関でないと実施できません。アレルギー学会が定める実施の要件自体がかなり厳しくなっています。

「経口免疫療法」は比較的新しい治療法なので、医療界でも効果的なメソッドを模索している段階でもあります。

例えば、ピーナッツのアレルギー治療において、最終的に食べるピーナッツの量を10粒にした場合と、2粒にした場合で3年間治療を続けたところ、治療成績が変わらないというデータがあります。
当然10粒と2粒では2粒の方が副作用は少ないわけですから、2粒で治療を進めた方が良いということになります。

このように、これから「経口免疫療法」の導入が進めば、もっと効果的なやり方が出てくると思われます。

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新型コロナウイルス感染症の後遺症について

新型コロナウイルス感染症については、急性期における発熱や肺炎などの症状とは別に、新型コロナ後遺症と言われる症状を訴える人が多くなっています。

典型的な症状として、倦怠感、咳や息苦しさ、味覚・嗅覚障害、脱毛、気分の落ち込みなどが報告されています。

新型コロナ後遺症は、現状、原因がはっきりせず、有効な治療法が確立しているわけではありません。そのため医療界でも大きな問題のひとつとなっていて、埼玉県医師会では2022年3月に「新型コロナ後遺症(罹患後症状)診療の指針のための症例集」というものをまとめるなど、対策に力を入れています。

何らかの後遺症状を訴える患者さんの頻度は高く、はらこどもクリニックでも味覚・嗅覚障害で治療をしている患者さんもいますし、症状によっては信頼できる耳鼻咽喉科の医療機関へ紹介したケースもあります。新型コロナが流行した初期に感染し、そこから約2年ずっと後遺症に苦しむというケースもあります。

今流行しているオミクロン株は感染しても症状が軽いということで、ワクチン接種(追加接種も含む)に積極的でない方もいるかもしれませんが、重症化率こそ低いものの、感染の絶対数が多いので、結果として後遺症で苦しむ患者さんの数が多くなっている現状があります。

ワクチン接種によって感染を防ぐ=後遺症のリスクも減るということですので、急性症状だけではなく、後遺症のことも念頭に入れて、ワクチン接種を検討していただきたいと思います。

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女性特有の病気 骨粗しょう症

女性に多い病気に「骨粗しょう症」があります。

これは女性ホルモンの「エストロゲン」に骨からカルシウムが溶け出すのを抑える効果があるため、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると、一気に骨密度が下がってしまうからです。

骨粗しょう症対策では、カルシウムをきちんと摂取することが大切なのはお分かりになるかと思います。しかし、多くの人は閉経前後、50歳くらいで意識的にカルシウムを摂るようになるのですが、実はそれでは遅いのです。遅くても30代後半くらいから意識的にカルシウムを摂り、骨に蓄積しておく必要があります。

一番良いのは、骨が成長する20歳くらいまでにカルシウムをはじめとした栄養素をきちんと摂ることで、骨を頑丈にしておくことです。この時期にダイエットなどできちんと栄養が摂れていないと、将来的な骨粗しょう症のリスクが大きくなります。特に摂食障害がある人は、骨粗しょう症になりやすいのです。

学校生活で言うと、多くの小・中学校では給食で牛乳が出ます。それが高校では無くなってしまうので、牛乳を飲む習慣のない女子であれば、カルシウムを摂取する機会が少なくなります。また運動をすると骨が強くなるのですが、運動機会のあまりない子や部活を止めた後には、骨が弱くなる傾向にあります。本当は思春期にきちんと骨の教育をすべきだと考えています。

骨粗しょう症の症状が進むと、軽く尻もちをついただけでも骨折ということも珍しくありません。年を重ねてからの骨折は著しくQOLを下げますので、注意が必要です。

骨粗しょう症の予防には、きちんとカルシウムを意識して食べる、お日様を適度に浴びる(紫外線を浴びることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが生成されます)、適度な運動をすることなどが重要です。年を重ねてからではなく、若いうちからこのようなことを意識して生活するようにしてください。

ちなみに花粉症の時期で言いますと、抗アレルギー薬の「セレスタミン」という薬があります。これは抗ヒスタミン剤とステロイドの合剤で、副作用として骨がもろくなります。そのため、この薬を使用する場合は注意が必要です。

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ウイルスが原因の湿疹【小児科】

湿疹には様々な原因がありますが、ウイルスが原因の場合も多くあります。エンテロウイルスやアデノウイルスなど、風邪の症状がでるようなウイルスは、湿疹の症状を引き起こす可能性があり、頻度はかなり高いです。

ウイルスが原因の風邪に特効薬がないように、ウイルスが原因の湿疹にも特効薬はありません。ウイルスを殺すような治療ではなく、炎症やかゆみなどを抑える対症療法となります。多くは弱めのステロイド軟こうやかゆみ止めの処方となります。

中でもジアノッティ症候群と呼ばれる湿疹症状は、幼児にはかなりポピュラーです。手足の下の方から発疹が出始め、徐々に上に上がり、最後は頬にも発疹が出てきます。赤い発疹が全身に見られるためひどく見えますが、症状自体は軽く、ちょっとしたかゆみが出る程度です。

元々B型肝炎ウイルスが原因となるジアノッティ病という皮膚疾患があり、それに見た目が似ているためつけられた疾患名です。しかし、B型肝炎ワクチンが定期接種となっている現在では、ジアノッティ病自体はほとんど見られませんので、このような湿疹症状が出た場合は、ジアノッティ症候群の可能性が高くなります。

冬場は乾燥や衣類の擦れなどで湿疹が出ることも多いため、親御さんでは判断が難しくなります。放っておくと症状が長引く場合があるので、保湿クリームなどを塗っても、なかなか改善しないという場合は、一度小児科の医師に相談してみると良いでしょう。

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鼻呼吸と口呼吸【内科】

昔から口呼吸は良くないと言われていますね。大体の場合は何となくで、理由などは付け加えられないことも多いのですが、実際のところ口呼吸にはデメリットがたくさん潜んでいます

まず今の時期的にいうと感染症のリスクが上がるということがあります。口呼吸をすると口の中が乾燥するため、細菌やウイルス感染のリスクが上がります。また、口の中の常在菌の変化が起こることで、口臭などの問題も出てきます。

もうひとつは顔の形が変わってしまうというリスクもあります。

特徴として、アゴが小さく後方になり、首の境目、くびれがはっきりしないような形になったり、上唇が突出したような形になります。これは「アデノイド顔貌」と言われています。

首の回りのリンパ節のひとつ=アデノイドは、5、6歳から大きくなり始め、8歳頃にピークがきます。アデノイドの肥大が起こると、鼻腔に行く空気が少なくなり、鼻呼吸がしづらく、口呼吸になります。そのまま口呼吸を続けていると顔の形が変化してきてしまうため、アデノイド顔貌と名付けられました。現在ではアデノイドの肥大関係なく、口呼吸によって起こる顔つきを総称的にアデノイド顔貌と呼ぶことが多いです。

アデノイド肥大があるかどうかの判断の目安として、5、6歳からいびきをかくようになったり、風邪などひいていないのに、寝る時に口呼吸になっている場合は、医師の診察を受けてみてもよいでしょう。アデノイド自体は、耳鼻科での外科手術で割と簡単に切れてしまうので、それほど心配することはありません。

ちなみに赤ちゃんは3カ月くらいまでは、口呼吸が上手くできません。そのため鼻が詰まると呼吸困難になって苦しがるようなケースがあります。そのため、3カ月未満の赤ちゃんの鼻詰まりには十分注意してあげてください。

はらこどもクリニックでは、赤ちゃんの場合、生理食塩水を点鼻して、鼻詰まりを治すことをやっています。この方法はいわゆる鼻うがいのようなもので、アメリカの小児医療の教科書にも載っているスタンダードな治療法です。

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この季節の小児の発熱について【小児科】

感染症というと新型コロナウイルスばかりに注目がいきがちですが、他の感染症はどうなっているのでしょうか。

まず感染症自体が新型コロナウイルスへの感染対策の徹底によって大幅に減少しています。感染症は大体流行する時期が決まっているのですが、感染数自体が少なく、季節性がなくなっています。

マスクや手洗いがきちんとできる年齢のお子さんたちについては、引き続き感染対策を行っていただくことで、感染症の拡大は防げると思われます。

逆にマスクができないくらいの乳幼児については、これからの季節ではライノウイルス感染症が厄介な病気となります。とにかく型が多く、変異も頻繁に起こるので、免疫が作用しにくく、何回もかかることがあります。

発熱はあってもそれほど高くなることはなく、咳や鼻水などの呼吸器系の症状が多いことが特徴です。特効薬的な薬はありませんので、対症療法が中心となります。

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所沢市周辺でのRSウイルスの流行状況【内科・小児科】

感染症というと新型コロナウイルスの話題ばかりになっていますが、7月頃から全国的にRSウイルス感染症が猛威を振るっていますRSウイルスは従来秋から冬にかけて流行するウイルスでしたが、近年では夏から流行が始まるようになっています。

所沢市でも流行が広がっていて、緊急入院を要する患者さんも出てきています。

3歳までにはほぼ100%の乳幼児が感染すると言われ、初期症状としては鼻水、ひどくなると咳と発熱が長く続くことが特徴です。4~5日目が一番症状が悪くなり、咳がとれるまでに2~3週間かかる場合もあります。

基本的には命にかかわるような症状悪化はないのですが、0歳児が感染すると非常に重い症状になることがあります。悪化した場合入院して酸素を入れる必要があるので、医師の判断で酸素吸入ができる医療機関に搬送することになります。

RSウイルスには特効薬的な薬はなく、エビデンスがある有為な治療法もありません。また感染しても免疫ができにくく、何度も感染するのが特徴です。感染しやすい2歳まではマスク着用はリスクがありますので、感染しないよう手洗いや消毒を徹底することが重要です。

昨年は新型コロナウイルス対策を徹底していたことから、感染が防がれたと思われ、陽性者はほとんど出ませんでした。しかし今年はその分流行が始まった時期が早く、これから本格的なシーズンを迎えることを考えると注意が必要です。

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お子さんの熱中症対策【小児科】

新型コロナウイルスが感染力の強い変異株に入れ替わり、日本国内の感染状況は悪化しています。その中で感染症対策は非常に重要になりますが、それと同時に暑さが厳しい中で気を付けなければならないのはお子さんの熱中症対策です。

まず感染拡大防止に役立つマスクではありますが、マスクは2歳までは推奨されていません。マスクにより熱がこもり、熱中症のリスクが高まります。(また呼吸がしにくくなり、呼吸や心臓への負担になる。顔色や表情が読み取りにくくなり、体調の変化に気づきにくくなるというリスクもあります。)

実際にマスクをして体育をしてお子さんが亡くなったという事例もありますので、十分に注意してください。

小さなお子さんが熱中症になっても、自分で異常を訴えることは難しいでしょう。熱中症はいきなり倒れるようなケースも多いので、まわりの大人がきちんと注意をはらっておく必要があります。見分け方として誰もが熱いと感じているような時に、汗をかいていない場合は注意が必要です。

熱中症の対策として、こまめに水分を摂ることはもちろん、帽子を被らせるのは有効です。日本人の場合、髪の毛が黒いことが多いので、熱を吸収しやすく、頭の温度が上がりやすくなります。黒や濃い色のものより、白に近い薄い色の方が効果は高いでしょう。また防止に水をかけておくと気化熱で熱を奪うので、良いかもしれません。

熱中症の疑いがある時は、とにかく温度を下げて水分を摂るという事が重要です。例えば水をかけて扇風機で風を送る、外の場合は霧吹きをして風を送るなどしてください。

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小児の白血病について【小児科】

競泳の池江璃花子選手が白血病からの復活を遂げ東京オリンピック代表の座を掴んだことは、非常に大きなニュースになりました。今回は白血病、特に小児の白血病について少し書いてみたいと思います。

小児の白血病は、小児が罹患するがんの中でも割合が高く、年間で700~800人程度の患者数が報告されています。大きくリンパ性のALL、骨髄性のAML、慢性骨自生白血病のCMLに分類され、ALLの方が比較的寛解率が高いと言われています。

昔はAMLだと治療は厳しいと言われていましたが、良い薬も出てきて治療法が確立されたこともあり、今ではAMLも不治の病ではなくなっています小児白血病全体として見ると、75%程度は寛解の状態に持っていけるようになっています。はらこどもクリニックでは、過去に3人小児白血病の患者さんがおりましたが、全員治りました。

白血病は小児科の治療法の方が、内科(成人)の治療法で行うよりも成績が良いことが分かってきており、現在では小児科の治療法に沿って治療が行われることも多くなっています。日本でも思春期は小児科が治療を担当することも多いです。池江さんの治療については想像の域を出ませんが、発症時18歳という年齢を考えても、小児科の治療法で治療が行われたのではないでしょうか。

白血病は寛解しても再発の可能性があるため、5年、10年というスパンで経過観察をしていく必要があります。

一昔前までは白血病と言うと不治の病で、発症したら命を落としてしまうというイメージだったかもしれませんが、今は決してそうではありません。早期発見し、急性への転化を遅らせきちんと治療すれば、池江選手のように元の生活に戻ることは可能です。

初期症状としては、貧血が一番わかりやすい症状で、はらこどもクリニックで診察した患者さんも、貧血がきっかけで白血病が判明しました。このように貧血は大きな病気のサインの可能性もあるので、たかが貧血と放置せず、きちんと医師に診てもらうようにしてください。

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