小児の病気」カテゴリーアーカイブ

子どものしもやけ【小児科】

1月の終わりには10年に一度の大寒波も到来し、今年はなかなか厳しい冬が続いています。昔に比べると暖房や防寒服が良くなったため、絶対数は減りはしましたが、この季節、お子さんがしもやけになることも少なくないでしょう。

しもやけとは低温により血流が悪くなる循環障害です。指の先が腫れたり紫色に変色したりします。またその状態で温まって急に血流が良くなると、組織が壊れ、強いかゆみが出ます。

子どもは身体が小さいため、寒さの影響を受けやすくしもやけになりやすいです。しかしながら、手袋や靴下が嫌いな子も多く、床が冷たくても靴下を履かなかったり、自転車に乗る時に手袋をつけなかったりで、しもやけになりやすい手足の末端を守れないことも多いです。

また冬でも水遊びをしたり、手を洗ってもきちんと拭かなかったりと、手足を濡れたままにしておくのも、しもやけになりやすい原因のひとつです。

しもやけを防ぐには、手足の血行を良くすればよいので、当たり前のことですが、なるべく冷やさないようにすることが大切です。また手足が冷たくなったらマッサージをするとか、外から帰ってきたら、すぐ手足をお湯につけるというのも有効です。

しもやけになってしまった場合には、ヒルロイドなどヘパリン類似物を患部に塗るのが有効です。ヘパリン類似物質は血管を拡張し、血の巡りをよくする効果があります。お風呂上りや、学校へ行く前など、1日に数回、マッサージをしながら塗り込んであげましょう。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科・糖尿病内科 はらこどもクリニック
〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379

子どもの新型コロナ感染の後遺症【小児科】

新型コロナウイルスについては、子どもが感染しても、無症状や軽症が多く、発熱する割合が低いため、決して頻度的に高くはありませんが、感染後の後遺症が報告されています。

年齢が高い方が多く報告されていますが、これは小さいお子さんですと、後遺症の症状を自分ではわからない、表現できないことも影響していると思われます。もしかしたら大人と同じような後遺症が出ているかもしれないですが、そこを明確にできないところに難しさがあります。

例えば味覚障害を発症していた場合、食べ物の好き嫌いになってしまうかもしれませんし、だるさや頭のもやもや感など、ただの怠けに思われてしまうかもしれません。

ワクチン接種によって感染率、重症率は下がりますから、結果として後遺症に苦しむ可能性も少なくなります。お子さんのワクチン接種には、慎重な方も多いかもしれませんが、できるだけ前向きに接種を検討していただけますと幸いです。

また症状のある後遺症というわけではありませんが、0〜2歳くらいまでのお子さんについては、保育園などで保育士がずっとマスクをしているため、マスクを外した状態ですと誰だか理解できないというようなことも起こっているとのことです。

この年代の子どもたちは、言葉はもちろんですが、相手の表情を見ることでコミュニケーションを学んでいきます。どこまで発育・発達に影響が出るか分かりませんが、親御さんがマスクなしで積極的にコミュニケーションをとってあげてください。

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食物アレルギーは治療しないで治ることはあるの?

日本では何らかの食物アレルギーを持つ人は、全人口の1~2%、乳児に限ると約10%ほどいると考えられています。

10%というと10人に1人の割合ですから、小さなお子さんでは、食物アレルギーはポピュラーなアレルギー疾患だということが分かります。

治療しなくても年齢が進むにつれて自然と良くなるケースもあります。例えば卵アレルギーは3歳で6割、7歳で9割くらいの方が、症状が治まると言われています。自然治癒しやすい食物アレルギーと言えるでしょう。逆にピーナッツ、甲殻類、ソバなどは治りにくいと言われています。

食物アレルギーを発症した場合、アレルゲンを避けた食生活をすることが基本となりますが、治療法もあります。「経口免疫療法」と言われるもので、アレルギーがあっても反応しないくらいのごく少量を食べ、徐々に体を慣らしていくという治療法です。

ただし「経口免疫療法」は、アレルゲンを口にする量の見定めが難しく、治療の過程でアナフィラキシーを起こす可能性があるため、その対応をきちんとできる医療機関でないと実施できません。アレルギー学会が定める実施の要件自体がかなり厳しくなっています。

「経口免疫療法」は比較的新しい治療法なので、医療界でも効果的なメソッドを模索している段階でもあります。

例えば、ピーナッツのアレルギー治療において、最終的に食べるピーナッツの量を10粒にした場合と、2粒にした場合で3年間治療を続けたところ、治療成績が変わらないというデータがあります。
当然10粒と2粒では2粒の方が副作用は少ないわけですから、2粒で治療を進めた方が良いということになります。

このように、これから「経口免疫療法」の導入が進めば、もっと効果的なやり方が出てくると思われます。

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赤ちゃんのアレルギー【アレルギー科・小児科】

現在では国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われています。特に食物アレルギーについては、1歳未満の乳児で最も多く発症します。早い子ですと、2、3カ月くらいでミルクアレルギーを発症するケースもあります。

赤ちゃんは自分で意思表示が出来ないので、大人が判断してあげる必要があります。例えば、ミルクを飲んだ後に顔色が悪化するようなケースや、離乳食を食べて蕁麻疹が出るような場合には、アレルギーを疑う必要があります。ただし乳児の場合、アナフィラキシーは余り多くはなく、食べてすぐには症状が出ず、ラグがあるケースもあり、判断が難しいこともあります。

母乳にアレルゲンが含まれている場合、アレルギーが出てしまう場合もあります。ただしアレルギーが出たからと言って、母乳をやめさせることは推奨されていません。母乳は乳児の成長にとって重要なものなので、アレルギーが出た場合でもきちんと評価をして、本当に止めなければならない場合だけ止めることになります。

また食物アレルギーに伴うアトピー性皮膚炎も発症するケースもあります。小さい子の場合、普通の蕁麻疹として診断されてしまうケースも少なくないため、きちんとした評価が必要になります。この場合は、肌のケアをしっかりと行いながら、少しずつ治療を行っていきます。

なお、食物アレルギー検査の中で、遅延型アレルギーの検査としてIgG抗体を測定するというものがあります。しかし、アメリカ、ヨーロッパをはじめ、日本のアレルギー学会でも、食物アレルギーにおいては、IgG抗体検査は診断的価値が無いと公式に否定しています。

困ったことに、日本アレルギー学会や小児アレルギー学会が公式に注意喚起の見解文を出している現在でも、IgG抗体検査を行っている医療機関は少なくありません。アレルギー検査をされる際は、注意してください。

(※日本アレルギー学会によるIgG抗体検査に関する注意喚起はこちらです。)

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小児の白血病について【小児科】

競泳の池江璃花子選手が白血病からの復活を遂げ東京オリンピック代表の座を掴んだことは、非常に大きなニュースになりました。今回は白血病、特に小児の白血病について少し書いてみたいと思います。

小児の白血病は、小児が罹患するがんの中でも割合が高く、年間で700~800人程度の患者数が報告されています。大きくリンパ性のALL、骨髄性のAML、慢性骨自生白血病のCMLに分類され、ALLの方が比較的寛解率が高いと言われています。

昔はAMLだと治療は厳しいと言われていましたが、良い薬も出てきて治療法が確立されたこともあり、今ではAMLも不治の病ではなくなっています小児白血病全体として見ると、75%程度は寛解の状態に持っていけるようになっています。はらこどもクリニックでは、過去に3人小児白血病の患者さんがおりましたが、全員治りました。

白血病は小児科の治療法の方が、内科(成人)の治療法で行うよりも成績が良いことが分かってきており、現在では小児科の治療法に沿って治療が行われることも多くなっています。日本でも思春期は小児科が治療を担当することも多いです。池江さんの治療については想像の域を出ませんが、発症時18歳という年齢を考えても、小児科の治療法で治療が行われたのではないでしょうか。

白血病は寛解しても再発の可能性があるため、5年、10年というスパンで経過観察をしていく必要があります。

一昔前までは白血病と言うと不治の病で、発症したら命を落としてしまうというイメージだったかもしれませんが、今は決してそうではありません。早期発見し、急性への転化を遅らせきちんと治療すれば、池江選手のように元の生活に戻ることは可能です。

初期症状としては、貧血が一番わかりやすい症状で、はらこどもクリニックで診察した患者さんも、貧血がきっかけで白血病が判明しました。このように貧血は大きな病気のサインの可能性もあるので、たかが貧血と放置せず、きちんと医師に診てもらうようにしてください。

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女性に多い病気 側弯症(そくわんしょう)【小児科】

側弯症(そくわんしょう)とは背骨が左右に弯曲し、ねじれを伴う場合もある病気です。女性の方が圧倒的に発症例の多い病気で、男性の5~7倍になると言われています。

原因は分からないことが多く、代謝や他の疾患による影響が大きいと考えられています。

背が伸びる思春期の時期に発症することが多く、発症頻度としては高いのですが、発症していてもほとんどの場合が軽度なので、診断がつかずにそのまま過ごしてしまうケースも少なくありません。

学校健診の中でチェックしますが、軽度の場合、学校健診の短い時間で診断をつけるのは難しいのが現状です。また自治体によっては専門である整形外科が関わっていることもありますが、学校健診は内科医が務めることが多いのも、診断が難しい理由のひとつです。

また診断の方法として、上半身裸で屈ませ、後ろから肩の位置を見るという形になるため、思春期の女子生徒を裸にするという事に対する抵抗感(担任が男性教諭だった場合は特に)も、診察を難しくさせています。

側弯症は高度になると心肺を圧迫するなどの大きな影響が出ますが、軽度の場合、放っておいてもそれほど問題が無いことが多いです。

もし側弯症の疑いがあった場合、精密検査を行い、症状の重さによって経過観察や矯正治療、重度の場合は手術を行います。

ちなみに原院長は56年ほど小児科医として経験を積んでいますが、学校健診で見つかった事例で、手術までに至った例を経験したことはありません。(手術例は全て骨の系統疾患を持つ例でした。基本的に手術を必要とするほど重度の症例は極めて稀です。

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乳歯が早く抜けてしまう時は注意!「低ホスファターゼ症」[小児科]

「低ホスファターゼ症」という病名についてご存じの方はそれほど多くないと思います。この病気自体はかなり前に発見された病気ですが、余り一般の方に知られているものではありません。

乳幼児が罹る代謝異常の病気で、健康な骨をつくるのに必要な酵素の働きが悪くなり、低身長、低体重などの発育異常が起こります。その骨の症状のひとつとして、乳歯が4歳以下で抜け落ちてしまうというものがあります。通常乳歯は6歳前後で生え変わりますが、歯の根っこである歯根部分が溶けて、歯の上部だけが抜けます。「低ホスファターゼ症」の場合は、歯根部分を残して抜けてしまうのも特徴の一つです。放っておくと永久歯にも影響があります。

それほど数が多い病気ではありませんので、親御さんが気付くのは難しいかもしれません。現在歯科医師会などでもその対策として、乳歯の早期脱落を健診できちんとチェックするような動きが出てきています。

代謝異常の病気は、治療法によって予後を変えられるものと変えられないものがありますが、この「低ホスファターゼ症」については治療法が確立されており、きちんと対処すれば患者さんの生活の質を保つことができます。

現在では比較的楽にゲノム診断ができるようになっているため(実施できる医療機関は限られますが)、疑いがあればきちんと診断をつけることができます。

今4歳以下のお子さんを子育て中の方、これから赤ちゃんを産まれる方は、乳歯の抜け落ちる時期について、頭の片隅にでも置いておいてくださると幸いです。

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子どもがADHDかも?と思った時は[小児科]

近年子どもの発達障害について取り上げられることが多くなり、一般的にも認知されるようになってきました。発達障害の中でもADHD(注意欠陥・多動性障害)については数も多いことから、かなり浸透している印象です。
逆にテレビやネットで様々な情報があふれており、不安になってしまう親御さんもいるのではないかと思います。今回はお子さんがADHDかも?と思った時にどうすれば良いか、参考になるように書いてみたいと思います。

まずADHDの兆候は早くて1歳数か月には見られるようになります。他の子とは動きが異なり、そこら中を動き回る、走り回るような行動を見せます。集中力で判断しようとしてもこの年代では分かりづらいですが、保育園などに入園すると他の子と行動が違うため、目立つようになります。

4歳、5歳頃になると、動きが活発になるので危険性も高くなります。特徴的なのは回りからのコントロールが効かないことで、それによって保育園では手に負えなくなるケースも出てきます。保育園では年中、年長でADHDの兆候が分かりやすくなることも多いです。

お子さんがADHDかも?となった時、発達障害をきちんと診ている医療機関に相談するという方法もありますが、余り医者に行こうという発想になる親御さんは少ないと思います。大概の方が、まずどこに相談すれば良いか迷ってしまうのではないでしょうか。
まず最初の相談窓口としては自治体があります。各自治体によって名称や体制は様々ですが、発達障害などを支援する部署や機関があります。所沢市の場合、こどもと福祉の未来館内の「こども支援センター 発達支援エリア『マーガレット』」があります。

ちなみに医師が健診や診察の際に様子を見て、ADHDなどの兆候を確認することもありますが、乳幼児健診などですと判断しづらいのが実際のところです。所沢市の場合、5歳児健診がないので、時期的にも難しい状況があります。

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子どもの中耳炎について[小児科]

お子さんがかかりやすい病気のひとつに「中耳炎」があります。耳と鼻、喉はつながっており、そこからウイルスや細菌が耳の方に侵入して、鼓膜の奥の中耳に炎症を起こすという病気です。基本的に1年を通じてある病気ですが、感染症ですので集団生活をしている方が圧倒的に罹る方が多くなります。

子どもがかかりやすい理由として、耳と鼻をつなぐ管である「耳管(じかん)」の角度にあります。特に5歳未満の子どもは、耳管の角度が立った時に水平に近い状態です。寝ている時は縦になって90度に近くなるため、鼻から鼓膜の方に鼻水などが流れ込みやすいのです。

大人になると角度が斜めになるので、中耳炎にはなりにくくなります。耳管の角度の問題なので、体質的になりやすい方もおり、中耳炎になる人は何度もなってしまうこともあります。

日本の場合、治療に抗菌薬を使うことも多いですが、実際には外来でくる中耳炎の患者さんの8~9割については抗菌薬は必要ありません基本的には何もしなくても治ることが多いので、痛みを緩和し、みみだれや鼻水をしっかりとケアするという治療になります。抗菌薬を使用するのはかなり症状がひどい時で、ペニシリン系の抗菌薬を使用すると非常によく効きます。

はらこどもクリニックでは、鼓膜の炎症具合を目視で確認し、ティンパノメトリーという中耳に水が溜まっているかどうかを調べる機器などを使用し診察を行い、症状の程度を判断し治療を行っていきます。

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