1月から2月にかけて、抗生物質の乱用による様々な弊害をこのブログでお伝えしてきました。しかし、そもそも「抗生物質」とは何なのか?を書いていなかったので、今さらながら書いてみたいと思います。
抗生物質とは、簡潔に言うと「抗菌薬」です。つまり細菌による感染症に対して有効な薬のことを言います。逆に言えば、細菌以外の原因で引き起こされた病気には効果はありません。
分かりやすいところで言えば「風邪」です。風邪はそのほとんどが何らかのウイルスによって引き起こされます。ウイルスは細菌ではありません。したがって抗生物質が風邪に効くことはほぼ無いといって良いでしょう。
しかしこう書くと「風邪の時にも抗生物質処方されたけど?」と思われる方も多いと思います。それは全くその通りで、風邪の時に抗生物質を処方することは珍しいことではありませんでした。これには処方する医師側からすると「保険」的な意味合いが強いようです。
「万が一細菌性の風邪だったら…」、「万が一症状がひどくなって肺炎を引き起こしたら…」、「万が一風邪によって抵抗力が落ち、他の感染症を併発してしまったら…」などなど、この万が一が起こらないよう、もしくは万が一が起きたときに責められないよう抗生物質を処方してしまうのです。
これには患者さん側の意識も関係していて、「抗生物質を飲めば病気が早く治る」とか「抗生物質は万能薬で何にでも効く」といったイメージがあることも問題のひとつです。これは日本だけの問題ではなく、イギリスでも3割以上の人が、風邪に抗生物質が効くと思っているそうです。ちなみに抗生物質を処方しがちかどうかは、医師の教育環境(例えば出身大学、研修先の病院など)に関係なく、抗生物質を処方する医師は処方してしまうというデータが出ています。
もう一度言いますが、抗生物質の乱用には様々な弊害があります。抗生物質を飲んでも風邪が早く治るわけではありません。子供たちの将来のためにも、そのことを記憶に留めておいていただけると幸いです。
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