前回、虫よけ剤について紹介しましたが、この季節の一番の厄介者である「蚊」が媒介する感染症には様々なものがあり、昔から人間にとって非常に厄介な病気として存在してきました。
今回はそれをご紹介したいと思います。
代表的なところでは日本脳炎、マラリア、デング熱、ジカ熱等です。
日本脳炎は定期接種にも組み込まれている感染症です。過去の病気に思われがちですが、今でも数は少ないものの毎年発症例が報告されています。2016年には25年ぶりに10人を超え、11例の報告数となりました。
コガタアカイエカという蚊によって、日本脳炎ウイルスを保有する豚からヒトにが感染します。ウイルスを保有する豚の多い西日本に多い病気で、埼玉では30年以上、発生は報告されていません。
症状は脳炎や髄膜炎によって、突然の高熱、頭痛、意識障害、痙攣などを起こします。致死率も高く(日本国内での過去25年間は17%)、約半数に麻痺などの後遺症が残ります。
マラリア、デング熱、ジカ熱は基本的に日本国内にはない感染症です。日本で患者が出る場合は、海外で感染し、日本に帰ってきてから発症するというケースです。
マラリアは、マラリア原虫という寄生虫が原因で発症する病気です。高熱や倦怠感といった症状が出ます。
江戸時代には「瘧(おこり)」という病名がありました。周期的に悪寒と発熱を繰り返す病気とされ、その特徴から実はマラリアのことではないかと言われています。あの坂本竜馬も瘧に罹ったことがあると言われています。
デング熱は数年前、東京で患者さんが見つかり、かなりの騒動になったことは記憶に新しい出来事です。発熱が強く、インフルエンザに似た症状が出ます。埼玉県では、2017年は7月上旬までに7例の発生報告があります。主に東南アジアでの感染となっています。
ジカ熱は昨年のリオ五輪を前に、ブラジルで大流行しました。軽度の発熱、関節痛、筋肉痛と感染しても症状は軽く、大人の場合、ほとんど症状が出ない事もあります。
ただし妊婦が感染すると、新生児の小頭症を発症することが分かり、現在、その関連性のさらなる調査がおこなわれています。
このように蚊が媒介する感染症は、海外では今でもとても恐ろしい病気です。もし、東南アジアや南米をはじめとして、海外に行かれる際には、予防接種、徹底した虫よけなどのなどの感染症対策をしっかりとしていきましょう。
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