予防接種」カテゴリーアーカイブ

ワクチンの種類 その2 所沢市 はらこどもクリニック

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先週に引き続き、予防接種のワクチンについてのお話です。

比較的知られている生ワクチン、不活化ワクチンの他にも、「トキソイド」と言われる種類のワクチンがあります。

・トキソイド

病原体が増殖する過程で出す毒素をホルマリンで処理し、免疫原生を失わないように無毒化したものです。生ワクチンに比べると、接種後、一定期間が経つと免疫が低下しやすくなっています。日本では、トキソイドも不活化ワクチンと同じく、原則6日(1週間)の接種間隔が定められています。ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドがあります。4種混合ワクチンは、不活化(ポリオ、百日せき)、トキソイド(ジフテリア、破傷風)の混合ワクチンです。

ちなみに不活化とトキソイドの接種間隔について、「日本では」という書き方をしています。これは、インターフェロンの誘導が起こる生ワクチンに対し、不活化、トキソイドでは、接種間隔を空ける医学的根拠は特になく、他のワクチン先進国では、特に接種間隔の制限がないからです。

また、生ワクチンの場合も、生ワクチンを打った後、別の生ワクチンを打つ場合は間隔を空けることが必要ですが、生ワクチンの次に不活化、トキソイドを打つ場合には、間隔を空ける必要がないというのが、世界的なスタンダードです。

ただし、同じワクチンを続けて打つ場合(追加接種の場合)、各ワクチンによって免疫を獲得するために有効な接種間隔が定められているため、その間隔に沿って接種する必要があります。

予防接種はスケジュールを立てるのがとても大変です。お子さんの体調が悪く打つのを後ろにずらしたり、ついうっかり打ち忘れてしまったりもあることでしょう。分からなくなってしまったら、遠慮なく相談してくださいね。

所沢市の小児科・内科・アレルギー科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
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ワクチンの種類 その1 所沢市 はらこどもクリニック

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予防接種に使用されるワクチンにはいくつか種類があります。接種スケジュールを立てる際、この違いを知っておく必要があります。基本的なことではありますが、改めてご説明したいと思います。

 ・生ワクチン

病原性を極度に弱めた(弱毒化)ウイルスや細菌等をワクチンにしたものです。免疫獲得効果が高く、免疫の持続期間も長いのが特徴です。生ワクチンには接種間隔の制限があります。生ワクチン接種後、他のワクチンを打つ場合は、原則27日(4週間)の間隔を空ける必要があります。

生ワクチンを接種した後には、インターフェロンという物質が体内で作られます。インターフェロンは、ウイルスなど異物が体内に入ってきた場合に分泌されるタンパク質で、ウイルスの増殖を抑制する働きをします。このインターフェロンの作用が大きく残っているうちに、別の生ワクチンを打つと、免疫がつきにくくなることがあります。そのため、接種間隔の制限が定められています。

主なワクチンとして、BCG、MR(麻疹・風疹混合ワクチン)、水痘(水ぼうそう)、ムンプス(おたふくかぜ)等があります。

 ・不活化ワクチン

ウイルスや細菌に対し、ホルマリン等の薬剤によって、病原体の活力を失わせて不活化したものをワクチンにしたものです。菌全体ではなく、感染防御に働く抗原の部分を精製したものや、ウイルスの一部タンパク質を元にした物質をワクチンとしているものもあります。自然感染や生ワクチンに比べると、免疫獲得効果が弱く、複数回の接種が必要になります。また、接種後、一定期間が経つと免疫が低下しやすくなっています。

日本では原則6日(1週間)の接種間隔が定められています。主なワクチンとして、肺炎球菌、ヒブ、インフルエンザ等があります。

長くなってしまったので、続きはまた来週です。

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インフルエンザの予防接種について 所沢市 はらこどもクリニック

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毎年冬に猛威を振るうインフルエンザですが、はらこどもクリニックでも既に予防接種が始まっております。今年はまだ患者さんの数は少なく、11月15日現在、片手で数えられるほどです。

インフルエンザには様々な型があるというのを聞いたことがあると思います。ワクチンも、その型に対し有効なウイルス株を培養し、精製されます。毎年WHO(世界保健機構)が流行する型が予測し、それに基づいてワクチンメーカーがワクチンを製造します。昨シーズンは、このウイルス株の培養が上手くいかず、選定をやり直した結果、製造が遅れ、結果として、予防接種シーズン最盛期にワクチン供給が足りなくなり、日本中が大混乱に陥りました。今年に関しては、ワクチン製造も順調にいっており、供給に問題が出ることはなさそうです。

さて、インフルエンザの流行時期ですが、所沢市ですと例年年明け1月、学校の3学期が始まってからが最盛期となります。インフルエンザは接種後、免疫がつくまでしばらくかかりますので、お子さんの場合は11月12月で2回、大人の場合は遅くとも年内に1回接種しておくのがよいでしょう。

またインフルエンザの予防接種は、生後6ヶ月までは接種できません。その間の予防対策として、妊娠後期のお母さんに予防接種を行い、その免疫で生まれた子供を守る、という方法があります。

これは海外ではスタンダードな免疫獲得方法で、きちんとしたエビデンスもありますので、これからお母さんになる方は、安心して予防接種を受けてください。

ちなみにインフルエンザの流行は、都道府県によってバラつきがあります。また、インフルエンザは鉄道沿線に沿ってやってくるなどと、医師たちの間ではまことしやかに囁かれています。インフルエンザは不特定多数の人が集まる場所で急激に感染が広がるので、満員電車は格好の感染場となるということでしょう。今年はどの路線に乗ってくるか分かりませんが、お住いの地域だけではなく、沿線の感染情報も見ておくと良いかもしれませんね。

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風疹の流行 まずは抗体検査をしよう はらこどもクリニックブログ

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前回に引き続き、流行中の風疹のお話です。

風疹に対するリスクが高いのが、現在30代~50代の世代です。この世代は、風疹のワクチンを打っていない可能性の高い世代になります。昭和37~54年生まれの場合、女性しかワクチン接種が行われておらず、男性は風疹の免疫がない人が多くいます。また、昭和54~62年生まれの方は、予防接種制度の問題で接種率が低く、風疹の免疫がない人が多くなります。

昭和60年代生まれの女性は、2018年現在30代前半ということになりますから、妊娠される可能性は大いにあります。またその配偶者の方も、世代的に免疫のない人が多くなることでしょう。

この世代に当てはまる方たちには、まず風疹の抗体検査を受けることをお勧めします。埼玉県は、風疹のワクチン接種を受けていない、妊娠を希望される女性やその配偶者に対し、抗体検査の助成をしており、無料で検査を受けることができます。(すでに妊娠されている方は接種が受けられませんので、注意してください。)

検査で抗体価が低かった場合は、ワクチン接種を受けてください。また、この助成の対象にはなりませんが、妊婦さんと同居、もしくは頻繁に会うことがあるご家族も抗体検査をなるべく受けたほうが良いでしょう。ちなみにこの助成事業で抗体検査を受けた方のうち、免疫が十分ではなく、風疹の予防接種を推奨された方は約27%ということなので、4人に1人くらいの割合です。

通知などがあるわけではないため、この助成制度をご存じない方も多くいらっしゃるでしょう。実際に利用数は決して多いとは言えません。助成事業のホームページへのリンクを貼っておきますので、上に挙げた世代の方を中心に、是非、制度を利用して検査を受けてみてください。

埼玉県の風疹抗体検査の助成事業

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0701/fuusinn-kanzyazouka.html

 

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大人が打つべきワクチン その1 はらこどもクリニックブログ

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今回は大人(厳密には小児以外)の方が受けるべき予防接種についてご紹介したいと思います。

まず成人の予防接種で定期接種となっているのは「高齢者の肺炎球菌ワクチン」と「高齢者のインフルエンザワクチン」の2つのみとなっています。肺炎球菌ワクチンは65歳以上で、65歳、70歳、75歳・・・と5歳刻みで接種できます。肺炎は高齢になるほど罹った時のリスクは大きく、高齢者の死亡原因の第3位となっています。まだ元気だからと油断せず、対象年齢の方はきちんと打っておきましょう。

インフルエンザは、65歳以上で毎シーズン10月頃~2月頃にかけて受けることができます。抗体を獲得するまでに2~4週間程度かかると言われていますので、流行が始まる前、秋のうちに接種するのが理想です。

肺炎球菌、インフルエンザともに定期接種ですが、小児の定期接種とは異なり全額公費負担ではありません。一部自己負担という形になりますのでご注意ください。

その他高齢者の方が接種しておきたいワクチンに「帯状疱疹ワクチン」があります。水ぼうそうを引き起こす水痘ウイルスが、体の中で休眠状態になっており、高齢になって免疫力が弱ってくると、ウイルスが活性化し、帯状疱疹になります。小児の水痘ワクチンが定期接種になったことで、水ぼうそう患者が激減しました。それにより成人が水痘ウイルスに触れる機会が少なくなり、免疫が落ちやすくなっていると考えられています。そのため、今後高齢者の帯状疱疹がますます増えると予想されることから、今後定期接種化が検討されています。

次回は若い世代が打っておくべきワクチンをご紹介したいと思います。

 

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ムンプスワクチン、やった方がよい理由 その2 はらこどもクリニックブログ

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前回に引き続き、ムンプスのお話です。

ムンプスウイルスは、基本的に唾液などを介した飛沫感染です。その一番の予防はムンプスワクチンの接種です。ムンプスワクチンは、おたふく風邪ワクチンと呼ばれることも多く、おたふく風邪を予防するワクチンと思われている方が多いと思いますが、実際には前回書いたような様々な病気(髄膜炎、脳症、難聴、膵炎等)を予防することにつながる重要なワクチンです。

しかし残念ながら、日本では接種率は30%ほどだといわれています。日本ではムンプスワクチンは定期接種ではなく、任意接種となっているからです。自治体によって公的補助が出るところもありますが、そうでないところでは、かなり接種率が低いというのが現状です。

世界的に見ると、先進国では定期接種になっている国がほとんどです。ムンプスの単独ワクチンではなく、MMR-麻疹、ムンプス、風疹の混合ワクチンで接種するのが一般的です。欧米のデータでは、2回接種している国では、ムンプス患者数は99%減少しています。

日本では、MMRワクチンは未承認のため、ムンプスの単独ワクチンとなります。基本的には2回接種で、1歳になったら1回、その後2年経ったら2回目を接種するようなスケジュールです。本来ならば他の国と同様に定期接種にするべきワクチンですので、現在定期接種化に向けて議論が行われており、近い将来、定期接種化されることが期待されています。

8,000人に1人程度の割合で、無菌性髄膜炎になることがありますが、本物のムンプスワクチンでの髄膜炎より症状は軽く、重症にもなりにくいものです。接種後、発熱や嘔吐が続くような場合には、病院で診察を受けてください。

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ムンプスワクチン、やった方がよい理由 その1 はらこどもクリニックブログ

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皆さんはNHKの朝の連続テレビ小説「半分、青い。」をご覧になっているでしょうか?

視聴率が20%を超えることもあり、とても好評なようです。この物語の主人公は、幼い頃、左耳の聴力を失ってしまいます。「ムンプス難聴」というもので、ムンプスウイルスが原因とされています。

ムンプスウイルスは、一般的にはいわゆる「おたふく風邪」を引き起こすウイルスとして認識されています。しかし実際には、「半分、青い。」の主人公のように、他にも様々な症状を引き起こす厄介なウイルスのひとつなのです。

おたふく風邪は、正式には「流行性耳下腺炎」と言われます。耳の下あたりにある唾液腺が腫れるのが特徴の感染症で、頬が腫れる様子がおたふくに似ていることから、おたふく風邪といわれるようになりました。症状としては、唾液腺の腫れ、それに付随する痛み、発熱などがあります。症状は軽いことが多いのですが、髄膜炎、脳症、難聴、膵炎など、まれに重篤な合併症を引き起こす場合があります。特に髄膜炎は、10%程度の割合で発症するとされていて、他の感染症と比べてもかなり高い割合となっています。(ただし、ムンプスからの髄膜炎は比較的予後が良いと言われています。)

ムンプスウイルスは、体内に侵入すると脳や脊髄に入ってしまうウイルスだということが分かっています。ムンプスウイルスは不顕性感染、何も症状が現れない感染も多いのですが、そのような場合でも調べると、髄液中の細胞が増えていることがあります。難聴も同様で、耳下腺が腫れるなどの症状が出ておらず、感染に気がつかないまま、いつの間にか耳がやられてしまうケースが発生します。ムンプス難聴は、700人に1人程度の割合といわれていますが、片側だけではなく両側難聴になる場合もあるので注意が必要です。

今回はムンプスに感染した時の症状などを紹介しました。次回はそのワクチンについて書いてみたいと思います。

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はしか(麻疹)が大流行しているように見える理由は?【埼玉県】はらこどもクリニック

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今年の麻疹(はしか)の流行がこれほど大きく報道されている理由のひとつに、麻疹(はしか)が全数報告になったことが挙げられます。国から指定された感染症については、発症者を診たら、保健所に届出を出すという決まりになっているのです。

実は麻疹(はしか)は、2007年に大流行しています。この時はワクチン1回接種だった世代が当たってしまったのです。1回接種だったうえに、周囲に麻疹(はしか)がない状態だったので、大人になるにつれ抵抗が落ちてしまったと考えられています。また、1回ならまだしも、接種を受けていない人もかなりの数いたようです。そのため、今年の流行とは比べものにならないほど感染が拡大し、早稲田、上智、駒澤大学などで全休校になり、当時は非常に大きく報道されました。原拓麿副院長は、当時は横浜の病院に勤務しておりましたが、1日に30人ほどの麻疹(はしか)患者さんを診ていたとのことです。

このような大流行の反省を踏まえ、2013年から麻疹(はしか)は、全数報告指定の感染症となりました。今年は、全数報告になってから初めての流行になるので、物事が大きく見えてしまっている側面があると思われます。

5月9日現在の報告では、全国での患者数は200~250人くらいです。2007年と比べて考えると、決して多いと言えません。また今の子供達はワクチンを2回接種していますので、抗体をきちんと獲得していると考えてよいでしょう。今26歳~39歳の世代が、上に挙げたワクチン1回接種の世代なので注意が必要です。今まさに子育てをしている世代にあたりますね。ご自身がワクチンを打ったかどうか、一度確認してみるのが良いと思います。そして、最も注意が必要なのは、まだワクチンを打っていない2歳未満のお子さんです。

もう一度書きますが、怖いのは必要のない人がワクチン接種を求めることで、本来打つべき子供たちにワクチンが行き届かなくなることです。大人の方は報道に惑わされず、冷静になって過ごして頂ければと思います。

 

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はしか(麻疹)が流行?でもひとまず冷静に。【埼玉県】はらこどもクリニック

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3月に沖縄で「はしか」の感染者が報告されてから、全国にその感染が広がっています。ニュースなどでも報道されており、心配されている親御さんも多いのではないでしょうか。ワクチンができてからは、日本では、「はしか」は余り見られない病気となっています。今回は改めて「はしか」について、書いてみたいと思います。

「はしか」は正式には「麻疹」といわれる感染症です。大体4~6月にかけて流行し、感染すると90%以上の割合で症状が出ます。潜伏期は10~11日と言われています。症状としては、最初に発熱が始まり、2日目以降、鼻水や咳が出てきます。頬の粘膜に「コプリック斑」といわれる発疹が現れるのが特徴ですが、感染者全てに出るわけではないので注意が必要です。コプリック斑が出ない場合、症状が風邪に似ており、初期では診断が難しい病気でもあります。特に若い医師では、麻疹(はしか)を診たことがないという人もおり、判断が難しくなる場合もあるでしょう。感染すると、喉の粘膜が非常に汚くなるのが特徴であり、はらこどもクリニックでは、そういった部分も含めて診断しています。

3人に1人は重篤化し、特に子供が感染した場合、気道が大人よりも狭いため、呼吸困難など症状が重くなりやすいです。1000人に1~3人は死亡するという、致命率の高い感染症でもあります。

空気感染のため感染力は非常に強く、有効な予防法はワクチン以外にはありません。感染の強さを示す数値で比べてみると、インフルエンザ:2~3、水痘(水ぼうそう):8~10、麻疹(はしか):16~21となっており、その感染力の強さを実感して頂けると思います。

江戸時代には子供が麻疹(はしか)に罹って生き残れるかどうかでその運命が決まったことから、「命さだめ」と言われていたそうです。また、将軍の子供も麻疹(はしか)に罹ったという記録が残されています。庶民から発症した麻疹が、感染を繰り返し、人ごみから隔離されているはずの将軍家まで届く、すさまじい感染力だと言えますね。

さて、ここまで麻疹(はしか)のおそろしい側面を紹介してきましたが、今回のブログのタイトルにもあるように、今回の流行に関しては、少し冷静になる必要があると考えています。

まず、麻疹(はしか)についてはワクチンによる予防が、唯一にして最大の予防になります。現在では麻疹(はしか)については、基本的に風疹との混合ワクチンであるMRワクチンになりますが、1回接種で95%以上の人に抗体ができ、2回接種することで残りの5%の人にも抗体がつくと言われています。ワクチンを1回でも打っておけば、仮に感染して症状が出たとしても、症状は軽くなります。MRワクチンは定期接種になっていますから、きちんと接種しているお子さんについては、それほど心配する必要はありません。

また、一度感染すると抗体を獲得し、その抗体は一生続くと言われています。一部テレビ番組等で、「抵抗力の弱い高齢者は、ワクチン接種を受けた方が良い」という報道があったそうですが、それは全くデタラメといっていいでしょう。きちんとした麻疹ワクチンが流通したのが、昭和40年代の後半ですので、それより前の世代、現在46歳以上の人は、ほぼ麻疹(はしか)に罹患している世代です。昔は麻疹(はしか)の流行期となれば大変なもので、毎日のように1日何十人という麻疹患者さんを診たものです。ですので、高齢者はほぼ麻疹の抗体をもっていますので、大丈夫です。怖いのは、こういった報道がされることでパニックになってしまい、ワクチンの必要のない世代が、我先にと接種を求めることです。それによって本来ワクチンを打たなくてはならない子供たちにワクチンが行き渡らなくなることが、最大の問題です。

はらこどもクリニックにも、報道を見てワクチン接種を希望する高齢者の方が来院されましたが、このようなことをしっかりと説明し、納得して接種なしで帰っていただいたこともあります。

長くなってしまったので今回はこのへんで。次回は、今年、麻疹(はしか)が大流行しているように見える理由を書いてみたいと思います。

また、はしかについては、原院長のFacebookにも色々な情報を載せていますので、そちらも是非ご覧になってみてください。

 

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予防医療:予防接種における集団免疫という考え方 その2

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今回も前回に引き続き、予防接種による集団免疫について書いてみたいと思います。

コミュニティが感染症に対する集団免疫を獲得するためには、ワクチンの高い接種率が必要です。しかし、必ずしも老若男女全ての人、そのコミュニティ全体がワクチンを接種しなくても効果は得られます。社会の中のある集団に接種することで、社会全体の罹患率を下げられるのです。前回例に挙げたインフルエンザでは、子供の接種率を高めることで高齢者に効果があるというその典型です。

その他にもHPVワクチンがそれに当たりますHPVワクチンはヒトパピローマウイルスによる感染症を防ぐためのワクチンです。ヒトパピローマウイルスは主に性接触によって感染します。女性の約80%が一生に一度のうちは感染するというよくあるウイルスで、あまり悪さをしないのですが、場合によっては、尖圭コンジローマという感染症(生殖器とその周辺にイボができる)を引き起こしたり、最悪の場合、子宮頸がんを引き起こすことで知られています。

現在日本ではHPVワクチンが積極的な接種の推奨は停止されていますが、アメリカやイギリスでは、子宮頸がんを防ぐための定期接種として、ほとんどの女性が受ける予防接種です。アメリカでは、HPVワクチンを接種したことで、女性の子宮頸がんや尖圭コンジローマだけではなく、男性の尖圭コンジローマも有為に減少しています。

また、ヒトパピローマウイルスは陰茎がんを引き起こす原因にもなっているとも言われているので、もしかしたらそちらにも効果が出ているのかもしれません。また、尖圭コンジローマは母子感染もします。母親が罹患していると生まれた子供の喉にイボができてしまい、それを手術で切除しなければなりません。それを防ぐこともできます。

予防接種の先進国であるアメリカでは、集団免疫の考え方が広く浸透しています。アメリカでは、受けるべき予防接種をきちんと受けていないと、パブリックなコミュニティに参加することはできません。(もちろん、宗教上の理由などの例外はありますが。)予防接種をやる、やらないは権利としてありますが、やらない場合はコミュニティには参加させないよという考え方です。

例えば学校などがそうです。そのためアメリカに留学する場合には、必ず予防接種を受けているかを証明しなければなりません。ワクチンを打っていない場合は、きちんと打たなければ、入学できないのです。さすがに日本でそのようなことをやれば大問題になってしまいますが、それほどアメリカでは、予防接種が重要視されている証とも言えます。

今医療は、予防医療を大切にする方向に舵を切りつつあります。病気に罹って治療するのではなく、病気に罹らないように医者に行く方が、人生にとってよほど生産的でプラスなことです。予防接種は予防医療の中でも、大きなウエイトを占める重要な分野です。お子さんのためにも、しっかりとスケジュールを組んで、きちんと接種してください。

とはいえ、定期もあれば任意もあり、ワクチンの数も多いので、お困りになることも多いと思います。風邪をひいてしまってスケジュール通りにいかないなんていうことは日常茶飯事です。そんな時はお一人で悩まず、お気軽に相談してくださいね。

 

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