お薬の話」カテゴリーアーカイブ

抗生物質の使いすぎはNG 耐性菌の実例

先日のブログで、日本は「抗生物質大国」だということを書きました。今回はその実例についていくつか書いてみたいと思います。

近年で大きな問題になったのが「マイコプラズマ肺炎」です。もともとマイコプラズマ肺炎に効く抗生物質は一部しかありません。マクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質です。しかし、このうちマクロライド系への耐性菌が出てきてしまったことで、この肺炎の治療は非常に難しいものになってしまいました。このマクロライド耐性マイコプラズマの原因は日本の抗生物質の乱用であるということが、WHOで指摘されています。

また、度々入院患者の死亡事例が発生する院内感染の原因菌も、薬剤耐性菌であることが多いのです。院内感染の原因となるのは、ブドウ球菌や緑膿菌がありますが、このうち緑膿菌は、耐性菌になりやすく多剤性耐性菌になりやすいのです。そのため、重大な院内感染の原因菌になる頻度が高いのです。

抗生物質大国のひとつであるインドでは、どんな抗生物質も受け付けない「スーパー耐性菌」が発生し、その対処が問題になっています。今はインド国内に留まっていますが、これだけ世界中でモノやヒトの往来がある中では、いつ世界中に拡散するか分かりません。

日本では、ちょっとした風邪のような症状の時にも、抗生物質を出すようなケースがまだまだ多く見られます。抗生物質の乱用を減らすには、医師だけではなく、患者さんの意識や知識もとても大切になってきます。このブログを読むことで、少しでも抗生物質の問題に興味を持っていただければ幸いです。

 

所沢市の小児科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
診療時間 午前 8:40〜12:00  午後 15:00〜18:00
受付時間 平日 8:30〜18:00  土曜日 8:30〜12:00
休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)

抗生物質の使いすぎは、なぜいけないのか? その2

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前回に引き続き、抗生物質のお話です。

抗生物質の使いすぎは、耐性菌を生み出すと同時に、抗生物質が効きにくい体を作ってしまう場合があります。人間の体には常在菌と呼ばれるたくさんの菌が生きています。まず抗生物質を使うと、悪い細菌だけではなく、体に良い常在菌も殺してしまうことになります。それにより、体の調子を崩すこともあります。また、常在菌自体が抗生物質の耐性菌になってしまう場合もあります。これの怖いところは、常在菌がもつ薬剤耐性の遺伝子情報を他の菌に伝えることで、他の菌まで耐性菌に変化してしまうことです。もし、体の多くの常在菌が耐性菌になってしまえば、その人は抗生物質が効かない体になってしまう可能性もあるのです。

現在、前回のブログにあげた厚労省の動きなどから、大きな大学病院などでは、抗生物質は一医師の独断では勝手に使えないよう使用管理を行うところも出てきています。しかし、現実には、まだまだ抗生物質の使い過ぎは是正されているとは言えません。開業医の処方のチェックをする機関はありませんし、仮に開業医が抗生物質を処方しすぎたとしても、特に罰則などはないからです。

はらこどもクリニックでは、このような問題から、抗生物質を使わないでも治療が可能な場合には、なるべく抗生物質を使わないようにしてしています。また、もし抗生物質を使う場合でも、世代的に新しい抗生物質である万能的なセフェム系の薬は使わず、なるべく狭い範囲で菌を死滅できるような前世代の抗生物質を使うなどして、耐性菌の発生を防ぐようにしています。例えば、子供がよくかかる感染症に「溶連菌」がありますが、溶連菌はペニシリン感受性が高く良く効くので、ペニシリンを処方するなどしています。こうすればセフェム系への耐性が出来てしまうことはなく、安心だからです。

抗生物質は非常に効果の高い薬です。しかし、特に子供に対し使いすぎてしまうことは、子供たちの将来に大きな影を落としかねません。子供を育てている親御さん方にもそのことを十分に知っていただけたら幸いです。

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抗生物質の使いすぎは、なぜいけないのか? その1

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小児科で処方する薬には様々なものがありますが、「抗生物質」もその一種です。抗生物質とは、様々な微生物がほかの微生物の増殖や機能を害するために出す物質のことで、それをベースに作り出された抗菌剤のことを言います。抗生物質の歴史はそれほど古くありません。1928年にアオカビから見つけられた「ペニシリン」が世界初の抗生物質とされています。(学校の授業で習ったり、人気ドラマの「JIN」で、主人公の医師が精製していたので、ご存知の方も多いかもしれません。)現在では、本当にたくさんの種類の抗生物質が医療の現場で使われています。

抗生物質は、感染症に対し非常に有効な薬です。しかし、同時に使い方を間違えると大変なことになる薬でもあります。それは抗生物質を使いすぎると、その薬に対する耐性菌を発生させてしまうからです。

薬剤耐性菌による感染症は、現代医療をもってしても治療が困難な病気です。現在医療が生み出した最大の発明とも言われる抗生物質を受け付けない感染症なのですから、それも当然の話です。まだある特定の抗生物質のみに耐性がある菌ならよいですが、複数の抗菌薬に耐性をもつ多剤耐性菌の場合は、治療は非常に困難を極めます普段抗生物質を使いすぎていると、いざ命にかかわるような感染症にかかった時、抗生物質が効かないという可能性が十分にありえるのです。

日本において薬剤耐性菌による感染症は、非常に身近にある問題です。誰しもが感染する可能性があると言えます。試しにインターネットで「耐性菌 感染 死亡」というキーワードで調べてみてください。ここ数年だけでも非常にたくさんのニュースが検索で出てくるはずです。

それもそのはず、実は日本は世界の中でも有数の「抗生物質乱用大国」なのです。世界の先進国で抗生物質使用のワースト3は、フランス、日本、中国で、この3カ国は世界でも大きく問題視されています。厚生労働省もこの現状を変えようと、医療現場における抗生物質の使い方を是正する対策を行っています。

長くなってしまったので、続きはまた後日。

このブログを読んで頂くことで、少しでも抗生物質の問題に興味を持っていただければ幸いです。

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抗インフルエンザ薬の効果

今回はインフルエンザに対するお薬について少しお話したいと思います。抗インフルエンザ薬にはいくつかありますが、はらこどもクリニックでは主に「リレンザ」・「タミフル」を処方しています。

現在これらのお薬は、インフルエンザに対して非常に有効な薬として世界中で認識されています。ついこの間までは、タミフルは日本でしか使用されていないような状態だったのですが、日本でインフルエンザの重篤者が少ないことが分かると、アメリカの小児科学会と家庭医学会は、インフルエンザに対し積極的にタミフルを使うよう提言するなど、積極使用に趣旨換えしました。

副作用として問題となっていた異常行動についても、タミフル・リレンザを服用した人とそうでない人で差がないことが分かっており、むしろ異常行動はインフルエンザ自体の影響によるものというデータが出ています。(ですので、未成年者の場合、薬の服用の有無に関係なく、親御さんがお子さんの様子をしっかりと見ておくことが重要です。)

タミフル・リレンザはインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。そのため、ウイルスが大量に増殖してから服用しても、高い効果は得られませんウイルスが増殖する前、出来るだけ早いうちに服用しないと意味がないのです。インフルエンザの検査キットが陽性を示すには、ある程度ウイルスの数が必要なので、インフルエンザを判断するのに10時間から1日待ってということをやるお医者さんもいるようですが、それでは遅きに失する場合が出てきます。

はらこどもクリニックでは今挙げた理由から、インフルエンザ検査が陰性であっても、疫学的臨床所見からインフルエンザと判断をしたら、抗インフルエンザ薬を処方する場合も有ります。タミフル・リレンザは仮にインフルエンザではなかったとしても、服用して特に問題はありません

また、吐いてしまうなどでどうしてもお薬が飲めないという場合には、「ラピアクタ」という点滴タイプのお薬もありますが、こちら余り処方する機会はありません。

インフルエンザの疑いがある時には、早めの対処が有効です。周辺でインフルエンザが流行っている様な場合には、早めに来院してくださいね。

 

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