月別アーカイブ: 2018年3月

舌下免疫療法って何? その2

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前回に引き続きスギ花粉アレルギーに対する「舌下免疫療法」のお話です。

舌下免疫療法にも問題点はあります。実際にところ前回も少し書いたように治療が長引くので、ついつい薬をやめてしまう患者さんが多いのも実情です。治療の始めの方や花粉が飛んでいる時期こそ辛いので頑張って治療しようとは思うそうなのですが、花粉症の症状がおさまると、治療に対する決心も鈍ってしまうものなんですね。

海外では治療をきちんと継続する人が、1年目で7割、2年目では3割まで減ってしまうというデータがあります。日本では1年目で9割ほどだと言われているのですが、はらこどもクリニックでの実感としては、7割程度ではないでしょうか。

お手軽ゆえに始めやすいのですが、やめてしまうのも簡単なのですね。

治療を考えている方は、前回ご紹介した皮下免疫療法(増量期週1、維持期月1通院して注射)と舌下免疫療法(1日1回家で薬を服用)を比べてみて、お子さんにとってどちらが続けやすいか、またご自身がどちらが続けやすいか検討してみてください。

皮下免疫療法のネックは、やはりアレルゲンの増量期に頻繁に通院する必要があるところ。舌下免疫療法のネックは、ついつい面倒でお薬を飲み忘れてしまうところでしょう。ちなみに効果としては、一般的に皮下免疫療法のほうが高いといわれています。

安全のため、花粉が飛んでいる時期に治療の開始はしません。次に新規で始めるのは、花粉がおさまった5月頃からでしょうか。もし今シーズンの花粉症で辛い思いをしていて、この治療法に興味があるという方は、資料等をお渡しできますので、お気軽にご相談くださいね。

 

所沢市の小児科 はらこどもクリニック

〒359-1141 埼玉県所沢市小手指町2-1379
診療時間 午前 8:40〜12:00  午後 15:00〜18:00
受付時間 平日 8:30〜18:00  土曜日 8:30〜12:00
休診日 日曜日 祝日 (年末年始 お盆休みあり)

舌下免疫療法って何? その1

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以前に「子供の花粉症」の記事を書いた時に「舌下免疫療法」について少し触れました。「それってどんな治療なのですか?」というお問い合わせをいただいたので、今回は簡単にご紹介したいと思います。

「舌下免疫療法」とは、その名の通り舌の下に少量のアレルゲンを投与することで、アレルゲンに体を慣らして、アレルギー症状を和らげ、日常生活を改善するための治療です。現在5歳以上のダニアレルギー性鼻炎と12歳以上のスギ花粉症に対して保険治療が適用になっており、花粉症にお悩みの患者さんにとって選択肢の一つとなっています。(今後、スギ花粉アレルギーの方も、5歳から使える新しいお薬が増える予定です。)

治療としてはとてもシンプルなものです。1日1回、舌の下に決められた量の薬を入れ、数分保持した後に飲み込むというものです。

これまでも免疫療法はあったのですが、皮下療法、つまりアレルゲンを注射するという方法でした。こちらはお薬の増量期には週1、維持期には月1で来院してもらい注射をします。こちらの方は数は少ないものの、いちいち通院するのが面倒だという方もいます。

それに比べると、舌下療法は、家で簡単にできるので、非常にお手軽になっています。

もちろん、アレルゲンを体に入れるので副作用の問題はありますが、それほど心配は要りません。また、花粉が飛んでいる時期には、アレルギー治療薬と併用しても構わないお薬です。(もちろん、医師の指示のもとの服用が前提です。)

個人差はありますが、治療を行うと長期間にわたりアレルギー症状を抑えることができる可能性があります。ただし、その分治療自体も長期間にわたります。一般的に効果が出始めるのに2年程度かかると言われていて、大体3〜5年の治療期間を必要とします。その間は、基本的に毎日薬を飲み続けなければならず、薬の服用後数時間は、激しい運動やアルコール摂取の制限があるので、患者さん自身にも根気がいる治療法です。

お子さんに始めるのなら、早い方が良いかもしれません。花粉の時期は年度替りにあたるため、新生活が始まるなど環境の変化が激しい時期です。その時期に花粉症で苦しむのはつらいことですね。例えば12歳で治療を始めれば、中学卒業前に一定の効果は見られるでしょうから、高校、大学へと進んでいくときにつらい思いをしなくても良いかもしれません。また、運動はともかくお酒の方の心配はありませんから、薬を服用する時間にも少し余裕を持たせられるかもしれませんね。

少し長くなってしまったのでこのへんで。続きはまた後日。

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抗生物質:第三世代セフェム系の問題点

今市場に流通している抗生物質の中で最も新しいものが、第三世代セフェム系と言われるものです。新しい抗生物質というと、非常に効果が高そうなイメージがありますが、そうでもないところが、今医療界で問題となっているのです。

どんな薬にも病気に対して有効な成分が入っているわけですが、それが効果を発揮するには、有効成分が体の中にしっかりと吸収されないといけません。また、それを前提に1回の使用量が決まっています。

しかし、第三世代セフェム系の抗生物質は、総じて吸収率が低く、良くて15〜20%程度しかないと言われています。これは他の抗生物質に比べると、著しく低い値です。吸収されなかった成分はどこに行ってしまうかというと、そのまま排泄されてしまいます。それを揶揄して「DU処方」などという言葉もあるくらいです。DUとは「D:だいたいU:うんこになる」の略だそうです。実際のところ、これだけ吸収率が低いと、感染部に有効成分がしっかり届くとは考えにくいです。

このような問題があるので、第三世代セフェム系は、海外ではほとんど使われていません。ほとんどの薬が、日本でしか出回っていないのです。なぜ日本でこれだけ使われてしまっているのか非常に疑問なのですが、やたらめったら抗生物質を使いがちな抗生物質大国ということなのでしょう。

こういった現状を踏まえ、はらこどもクリニックでは、第三世代セフェム系の抗生物質は置いていません。

 

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乳幼児健診はとても大切

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小さなお子さんが健やかに育っているかを確認し、子育てについての様々な悩みを相談できるのが乳幼児健診です。所沢市では、国によって定められた4ヶ月、1歳6ヶ月、3歳の3回は、基本的に保健センターでの集団健診となり、10ヶ月健診は医療機関で行うようになっています。(乳幼児健診の実施時期や実施場所は、自治体によって異なりますので、所沢市以外の方は、「乳幼児健診 自治体名」で調べてみましょう。)

乳幼児健診はとても大切です。乳幼児健診をしっかりとできるかによって、お子さんの「運命が変わる」こともあるのです。お子さんが今現在病気に罹っていないかはもちろん、生まれつきの疾患などを持っていないか、発育・発達に異常がないかなどを調べていきます。そこで何らかの病気が見つかることもありますし、身長や体重が成長曲線から外れていないかなども調べてもらえます。

あるお子さんの例では、健診で身長の伸びが悪いということがわかり、その後は専門医によって成長ホルモンが正常に出ているかの検査を行い、大きくなった現在では、身長について定期的に検査し、低身長の治療を行っているというケースもあります。

先ほど書いたように所沢市では基本的に4回健診があるわけですが、本来はこの4回以外にも成育のハブとなる時期にはやったほうが良いのです。特に行政のシステムの中に乳幼児健診が組み込まれている中では、健診の連続性が保てなかったり、健診後のフォローなどがやりきれず、健診さえできればOKという状態になってしまうこともあるからです。

親御さんがお子さんを見てちょっと様子がおかしいな?とか、ちゃんと育っているのかな?など不安になってしまった時に、乳幼児健診を行って、きちんと医師に診てもらい不安を解消することは、子育てにおいてとても有意義なことです。ですので、気になることがあったら、いつでもお気軽に乳幼児健診の相談をしてください。

ちなみに乳幼児健診については、医師の側でも課題になっています。健診においてしっかりと子供を診るには、様々なポイントがあり、若手の医師に対しては、本来はきちんとした教育が必要なのです。しかし、乳幼児健診の正しいやり方というのは体系化されているとは言えず、若い医師たちが経験を積みにくい分野でもあるのです。

そういった問題を少しでも解決しようと、原院長は医療誌に若手医師やコメディカル(医師以外の医療従事者)向けに「乳幼児健診のコツ」を編集・寄稿したり、乳幼児健診の効果的なやり方をまとめた書籍を出版するなどの活動を行っています。(※書籍については、まだ出版前ですので、出版時期が明確になりましたら、またブログにてお知らせいたします。)

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そもそも「抗生物質」ってなに?

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1月から2月にかけて、抗生物質の乱用による様々な弊害をこのブログでお伝えしてきました。しかし、そもそも「抗生物質」とは何なのか?を書いていなかったので、今さらながら書いてみたいと思います。

抗生物質とは、簡潔に言うと「抗菌薬」です。つまり細菌による感染症に対して有効な薬のことを言います。逆に言えば、細菌以外の原因で引き起こされた病気には効果はありません。

分かりやすいところで言えば「風邪」です。風邪はそのほとんどが何らかのウイルスによって引き起こされます。ウイルスは細菌ではありません。したがって抗生物質が風邪に効くことはほぼ無いといって良いでしょう。

しかしこう書くと「風邪の時にも抗生物質処方されたけど?」と思われる方も多いと思います。それは全くその通りで、風邪の時に抗生物質を処方することは珍しいことではありませんでした。これには処方する医師側からすると「保険」的な意味合いが強いようです。

「万が一細菌性の風邪だったら…」、「万が一症状がひどくなって肺炎を引き起こしたら…」、「万が一風邪によって抵抗力が落ち、他の感染症を併発してしまったら…」などなど、この万が一が起こらないよう、もしくは万が一が起きたときに責められないよう抗生物質を処方してしまうのです。

これには患者さん側の意識も関係していて、「抗生物質を飲めば病気が早く治る」とか「抗生物質は万能薬で何にでも効く」といったイメージがあることも問題のひとつです。これは日本だけの問題ではなく、イギリスでも3割以上の人が、風邪に抗生物質が効くと思っているそうです。ちなみに抗生物質を処方しがちかどうかは、医師の教育環境(例えば出身大学、研修先の病院など)に関係なく、抗生物質を処方する医師は処方してしまうというデータが出ています。

もう一度言いますが、抗生物質の乱用には様々な弊害があります。抗生物質を飲んでも風邪が早く治るわけではありません。子供たちの将来のためにも、そのことを記憶に留めておいていただけると幸いです。

 

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