抗生物質の使いすぎは、なぜいけないのか? その2

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前回に引き続き、抗生物質のお話です。

抗生物質の使いすぎは、耐性菌を生み出すと同時に、抗生物質が効きにくい体を作ってしまう場合があります。人間の体には常在菌と呼ばれるたくさんの菌が生きています。まず抗生物質を使うと、悪い細菌だけではなく、体に良い常在菌も殺してしまうことになります。それにより、体の調子を崩すこともあります。また、常在菌自体が抗生物質の耐性菌になってしまう場合もあります。これの怖いところは、常在菌がもつ薬剤耐性の遺伝子情報を他の菌に伝えることで、他の菌まで耐性菌に変化してしまうことです。もし、体の多くの常在菌が耐性菌になってしまえば、その人は抗生物質が効かない体になってしまう可能性もあるのです。

現在、前回のブログにあげた厚労省の動きなどから、大きな大学病院などでは、抗生物質は一医師の独断では勝手に使えないよう使用管理を行うところも出てきています。しかし、現実には、まだまだ抗生物質の使い過ぎは是正されているとは言えません。開業医の処方のチェックをする機関はありませんし、仮に開業医が抗生物質を処方しすぎたとしても、特に罰則などはないからです。

はらこどもクリニックでは、このような問題から、抗生物質を使わないでも治療が可能な場合には、なるべく抗生物質を使わないようにしてしています。また、もし抗生物質を使う場合でも、世代的に新しい抗生物質である万能的なセフェム系の薬は使わず、なるべく狭い範囲で菌を死滅できるような前世代の抗生物質を使うなどして、耐性菌の発生を防ぐようにしています。例えば、子供がよくかかる感染症に「溶連菌」がありますが、溶連菌はペニシリン感受性が高く良く効くので、ペニシリンを処方するなどしています。こうすればセフェム系への耐性が出来てしまうことはなく、安心だからです。

抗生物質は非常に効果の高い薬です。しかし、特に子供に対し使いすぎてしまうことは、子供たちの将来に大きな影を落としかねません。子供を育てている親御さん方にもそのことを十分に知っていただけたら幸いです。

所沢市の小児科 はらこどもクリニック

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